ブランドとパブリッシャーが、ユーザーのFacebookメッセージに忍び込もうとしている。
デジタスLBi(DigitasLBi)のモバイル担当責任者であるイリコ・イライア氏は、「企業がFacebookの『Messenger(メッセンジャー)』をマルチチャンネル・エクスペリエンスの一部として、消費者に語りかける方法と見なすようになれば、刺激的なものになる」と語る。
これまでブランドとパブリッシャーは、7億超のユーザーを抱える「Messenger」をサービスとしてどのように活用してきたのだろうか? 今回は、その例をいくつか紹介する。
ブランドとパブリッシャーが、ユーザーのFacebookメッセージに忍び込もうとしている。
アメリカの大学生の間で、憧れの異性にプライベートメッセージを送る手段として開発されたFacebook。現在は、それをカスタマーサービスプラットフォームとして活用するブランドや、新たな配信チャネルを探しているパブリッシャーの間で、愛用されている。
デジタスLBi(DigitasLBi)のモバイル担当責任者であるイリコ・イライア氏は、「企業がFacebookの『Messenger(メッセンジャー)』をマルチチャンネル・エクスペリエンスの一部として、消費者に語りかける方法と見なすようになれば、刺激的なものになる」と語る。
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これまでブランドとパブリッシャーは、7億超のユーザーを抱える「Messenger」をサービスとしてどのように活用してきたのだろうか? 今回は、その例をいくつか紹介する。
ニュース配信のための「Messenger」
ドイツのタブロイド紙「ビルト(Bild)」は、ベルリンを拠点とするスタートアップ企業スペクトルム(Spectrm)の助けを借りて、「Messenger」を利用した最新ニュースの配信テストを開始した。いまのところ、ニュースの内容はサッカー選手の移籍に関する情報や、リアリティー番組「私はセレブよ、ここから出しなさい!(原題:I’m a Celebrity…Get Me Out of Here!)」に関する更新ニュースに限られている。
「ビルト」の編集長であるユリアン・ライヒェルト氏は、テストは「うまくいっている」と語る。しかし、何人の読者が登録してパーソナル・アップデートをスマートフォンで受け取っているのか、その正確な数字については、ドイツ大手メディアのアクセル・シュプリンガー(Axel Springer)が運営する同サイトは、固く口を閉ざしたままだ。
先述した、デジタスLBiのイライア氏は「このような使い方は出発点としてちょうどいいが、もっと高速化され、洗練される必要がある」と語る。「記者との交流が可能になれば、このサービスは興味深いものになる。そうなれば、階層的なリンク配信だけではない、本物のサービスになる」。
パブリッシャーのはじめての活用例
顧客サービスのための「Messenger」
米DIGIDAYが2015年11月に報じたように、国際的なホテルグループ、ハイアット(Hyatt)は顧客サービスのチャンネルのひとつとして「Businesses on Messenger」に飛びついた最初のブランドのひとつだ。「Messenger」を導入することで、「メッセージ入力中」や「既読」などのアイコンが、顧客に人間的な繋がりを感じさせることができるとして、ハイアットの顧客サービスのひとつに加わった。
ハイアットは、「Messenger」を宿泊客と有意義な会話をするための手段としていると述べ、プライベートな会話ができることを特筆すべき点としている。ブランドがオープンなプラットフォームで顧客と接する場合、怒りに満ちた投稿などが大きな頭痛の種となるからだ。
ボットのための「Messenger」
Facebookは2016年1月上旬、開発者が「Messenger」用のボットを開発できる新しいツールを公開した。これにより、ブランドは2016年バージョンのチャットボットが使えるようになった。たとえばディズニー(Disney)は、同社が手がけるテレビ番組「ザ・マペッツ(The Muppets)」に登場するキャラクター「ミス・ピギー」の「Messenger」ボットを発表。ユーザーは、キャラクターそのままのミス・ピギーと、チャットができる。
開発を手がけたインパーソン(Imperson)の最高技術責任者(CTO)エイアル・ファイフェル氏は、このボットは娯楽のみを目的とするものだという。ディズニーの脚本家たちがスクリプトの作成に協力したおかげで、ユーザーはミス・ピギーと本物の会話を楽しんでいるような気分が味わえる。話題はもっぱら、彼女の番組「ミス・ピギーとの夜更かし(原題:Up Late with Miss Piggy)」についてだ。
ブランドはこれを活用すれば、マスコットやセレブのふりをすることができる。ユニバーサル・スタジオは2015年10月21日、「バック・トゥー・ザ・フューチャーの日」を記念して、作品に登場するキャラクター、ドク・ブラウンと、彼がどのようにして「フューチャー」を見つけているのかについてチャットする機会をユーザーに提供した。斬新なプロダクト・プレイスメントとして、ペプシなどのブランドが会話中に登場したりする。
ドク・ブラウンとのチャット
商取引のための「Messenger」
Facebookは2014年、元ペイパル(PayPal)社長のデヴィッド・マーカス氏をMessenger部門に迎え入れ、以来、摩擦の少ないP2P決済の開発に取り組んできた。
一方、旅行や配送ビジネスは受注処理に「Messenger」を活用してきた。ユーザーは「Messenger」を使って、Uber(ウーバー)を利用する際のオーダー、ホテルの予約、KLMオランダ航空からの旅行日程の受信、アパレルブランドのエバーレーン(Everlane)で購入した商品の追跡などができる。また、ここ数カ月、Facebookはバーチャル・アシスタント「M」のテストを行ってきた。Facebookは、何か買おうと考えているユーザーにとってのスタート地点になることをMに期待してる。
エバーレーンとのやり取り
Facebookは、「Messenger」からの売上を追求するつもりはないといっているが、Facebookの長期収益計画は、ユーザーおよび、ユーザーがブランドとどのように交流しているのかに関する貴重な情報を発掘していくことにある。イライア氏は、「もし、商取引や各種サービス、公共料金など、すべての支払が行われるルートが構築できるなら、そこには収益に繋がる大きな機会がある」と語った。
Lucinda Southern(原文 / 訳:ガリレオ)
Image via Kārlis Dambrāns