スキンケアブランドのブリス(Bliss)がよりフレッシュにブランドの若返りを試みてから3年、今、同ブランドはTikTokに賭けている。「TikTokはブランドにとって、本当に素晴らしいプラットフォームとなっている」とブリスの最高ブランド責任者、ティナ・ポッツィ氏は語る。
スキンケアブランドのブリス(Bliss)がよりフレッシュにブランドの若返りを試みてから3年、今、同ブランドはTikTokに賭けている。
ブリスは5月7日、LGBTQの若者を支援する非営利団体トレバー・プロジェクト(The Trevor Project)とともに、2回目の年間キャンペーンを開始した。キャンペーンは、ビューティインフルエンサーのハイラム・ヤーブロ氏とマニー・グティエレズ氏、そしてトレバー・プロジェクトの広報担当であるクリス・ブライト氏によるTikTokのライブ配信でのサイバーいじめの話から始まった。
ペップトックライブ(PepTok Live)と呼ばれるこのトークイベントは、ブリスの募金キャンペーンの宣伝にも役立った。ブランド名をタグ付けしたポジティブなコメントが投稿されるたびに、同社が1ドルをトレバー・プロジェクトに寄付する(最大10万ドル[約1100万円])という。このキャンペーンは、クリス・オルセン氏、エイヴェリ・サイラス氏、マーケル・ワシントン氏など、TikTok上の他のインフルエンサーたちによっても紹介されている。
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「TikTokは本当に素晴らしい」
同ブランドは昨年、インスタグラムライブを使って同様のキャンペーンを行ったが、今回はTikTokをライブストリーミングのプラットフォームとして選んだ。
「TikTokはブランドにとって、本当に素晴らしいプラットフォームとなっている」とブリスの最高ブランド責任者、ティナ・ポッツィ氏は語る。「急速に成長してきており、高いエンゲージメントを生んでいる。私たちは(TikTokが)もっともカルチャー的に重要性の高い場所だと思った。ポジティブなスペースを作ること、メンタルヘルスについてのスペースを作ることについて語る場所として、TikTokを選んだのは正しい判断だと感じられた。それは、(このトピックについて)率直に発言してきたインフルエンサーが(TikTokに)大勢いるからだ」。
ブリスは2020年2月からTikTokを活用しており、現在17万1000人以上のフォロワーがいる。TikTokのインフルエンサーたち、そしてバイラルになった音楽を活用したキャンペーンの恩恵を受けている。2020年9月に広告代理店のムーバーズ・プラス・シェイカーズ(Movers+Shakers)が制作した「#これがブリス(#ThisisBliss)」キャンペーンはハッシュタグで68億ビューを獲得したほか、今年初めには同ブランドによるビタミンC美容液のための「#自分のブリスを見つけよう(#FindYourBliss)」キャンペーンでTikTokの人気インフルエンサーたちにも協力を求めた。
Z世代攻略に小売店は重要
1996年にプレミアムスキンケアブランドとして創設されたブリスは2018年にグループを再編し、価格を引き下げ、大手小売店やドラッグストアに新たに焦点を当てた小売モデルへと移行した。多くの人に利用しやすくするこのポジショニングによって、若い消費者を引きつけている。ポッツィ氏によると、現在の主な年齢層は18歳〜34歳だという。
ポッツィ氏は、ターゲット(Target)とウォルマート(Walmart)での小売開始と商品の低価格化により、「我々がマステージ(高級感を維持しながら、大衆を対象とする)の領域に足を踏み入れるチャンスが生まれ」、それによって「(ターゲットとする)年齢層が下がった」と述べた。これは、2020年7月に行った、にきびケアなど若い消費者向けの製品カテゴリーへの新規投資と時期を同じくしている。新しいにきびケアシリーズでは、「シリーズのターゲットが確実に若者に集まることを知ったうえで、インフルエンサーマーケティングに加えて、これまでよりも大きな規模でメディアに投資した」と、ポッツィ氏は言った。
小売店の拡大は、Z世代を呼び込むうえでも非常に大きな要素となっている。ポッツィ氏は「Amazonは彼らにとって便利であり、非常に重要なチャンネルだ」と述べた。「彼らはその利便性を求めている。またターゲットやウォルマートでも、今でも非常に(堅実に)買い物をしている」。
若い消費者にとっては、(ターゲットやウォルマートのような)大手店舗で取り扱われていることはブランド価値において問題にならない、と彼女は付け加えた。「もはやそのような(大手小売フランチャイズで取り扱われていることが、ブランドにとってネガティブな影響を与えるという)連想はない」と彼女は言った。「これらの小売業者は、ビューティ関連プロダクトのために消費者が訪れる場所としての地位を確立することに注力してきた」。
ニューノーマルはこのまま続く
全体的には、ブリスはパンデミック中の戦略を継続するようだ。「(パンデミックで新しく生まれた)消費者の行動の多くは間違いなく持続する」と同氏は言う。「私たちの消費者は少し若いので、彼らは間違いなくオンラインでも買い物をしている。その消費行動はこのまま続くだろう」。
[原文:How Bliss tapped into TikTok for its Gen-Z evolution]
LIZ FLORA(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)