自分好みの香水を見つけるためには、実際に店舗を訪れ、匂いを嗅ぐことだ。匂いを嗅がずに、どうやって好みの香水を見つけられるのだろうか?デジタル空間に匂いを作り出すことは不可能に思えるが、リサーチ企業L2の最新の報告書によると、ブランドや小売企業がこの溝を「視覚的」に埋めようとしているという。
現在は、UGC(ユーザー・ジェネレィテッド・コンテンツ:サイトのエンドユーザーによって作製、生成されるコンテンツのこと。電子掲示板(BBS)やブログ、プロフ、ウィキペディア、SNS、動画投稿サイトなど。)が急速に広まり、店舗での広告や美容スペシャリストに代わるものとして活用されている。セフォラ(Sephora)やイヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)などの香水販売企業は、香水の売上を伸ばすために、消費者やインフルエンサーによる製品レビューや推薦商品、香水パッケージの見栄えなどを注視しはじめたからだ。
「香水は本来ならもちろん視覚に訴えるような商品ではないが、香水を美しいボトルに入れたり、綺麗に包装することで、売り上げを伸ばすことができることを企業は知っている」と、L2社のリサーチ主任、ジェニー・シェン氏は話す。「UGC(ユーザー・ジェネレィテッド・コンテンツ)のみではあまり役に立たないが、包括的戦略の一環として、ブランドの魅力を引き延ばすことができる」。
自分好みの香水を見つけるためには、実際に店舗を訪れ、香りを嗅ぐことだ。香りを嗅がずに、どうやって好みの香水を見つけられるのだろうか? デジタル空間に香りを作り出すことは不可能に思えるが、リサーチ企業L2の最新の報告書によると、ブランドや小売企業がこの溝を「視覚的」に埋めようとしているという。
現在、広告や店舗の美容スペシャリストに代わるものとして活用されているのが、急速に広まっているUGC(User-Generated Contents:ユーザー生成コンテンツ)だ。小売のセフォラ(Sephora)からブランドのイヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)まで、香水を提供する企業は、その売上を伸ばすために、ファンやインフルエンサーによる製品レビューやレコメンドの可視化に傾倒しはじめた。
「香水は本来ならもちろん視覚に訴えるような商品ではない。だが、美しくパッケージされた香水ボトルはブランドストーリーを物語ることができると、賢明なブランドは気づきはじめている」と、L2社のリサーチ主任、ジェニー・シェン氏は話す。「UGCのみではあまり役に立たないが、包括的戦略の一環として、ブランドの魅力を引き立てることはできるのだ」。
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UGCは消費者に直接ブランドとつながる機会を提供すると同時に、ブランドに対するロイヤルティーも高める。調査報告書によると、商品購入が可能なUGCは、コンバージョン率を12%も上昇させることもあるという。実際、2014年と比較して2015年は、UGCを設けたブランドが2倍に増えた。
「これはソーシャルの声を支持する勢いが生んだ産物だ。運営者が制作したコンテンツではない、ユーザーたちの手で独自に発展していくコンテンツこそが、支持される」と、米大手化粧品ブランドのエスティローダー(Estée Lauder)社長、ジョン・デムゼイ氏はファッションメディア「ビジネス・オブ・ファッション(Business of Fashion)」のインタビューに答えている。「2015年には、有料メディアとほぼ同等の価値は得ている」と、付け加えた。
4つの香水ブランドが、いかにUGCを利用しているかを見ていこう。
セフォラ(Sephora)
セフォラのUGCソーシャルプラットフォームは、Pinterest(ピンタレスト)のUX、UIを真似た「ビューティーボード(Beauty Board)」だ。ここでは、ユーザー自らのメイクの写真を投稿することができ、また、それらの化粧品を購入もできる。
また、セフォラはこの「ビューティーボード」のユーザー投稿を、オランダのファッションブランド、ヴィクター&ロルフが製造する「フラワーボム」、イヴ・サンローランの「ブラックオピウム」や、ランコムの「ラヴィエベル」の香水商品ページにも自然になじませて掲載している。
イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)
L2の報告書には、イヴ・サンローランが同規模の香水ブランドのなかで、もっともUGCの活用に長けているとレポートしている。イヴ・サンローランが製造・販売する香水「ブラックオピウム(Black Opium)」の商品ページには、美しく表現された文言や動画だけではなく、UGCを閲覧することができるギャラリーも装備されているためだ。
また、イヴ・サンローランは自社の商品ページにUGCを統合させた唯一の香水ブランドだが、その運営はきちんと管理されている。「#yslbeauty(イヴ・サンローランビューティー)」というハッシュタグを使用して、商品紹介ページには、フィーチャーされた商品に特化したコンテンツ製作を手がけている。
ドルチェ&ガッバーナ(Dolce and Gabbana)
純粋なUGC以外にも、自らの商品を認知してもらうために、インフルエンサーを雇うブランドもいくつか存在する。ドルチェ&ガッバーナも、「ライトブルー(Light Blue)」という香水のコンテンツ制作のためにブラジル人メイクアップアーティストで、ユーチューバーのカミラ・コエーリョ氏とスペイン人ブロガーのガーラ・ゴンザレス氏を雇い入れている。
「多くのブランドにとって、インフルエンサーを雇い入れる事がUGCを行うにあたって最適な方法だ」と、エージェンシー、ケトル(Kettle)のシニアソーシャルストラテジスト、クリス・ギルバート氏は指摘する。厳密には完全なUGCではなくなるが、インフルエンサーの投稿により、「消費者に夢を売りながら、本物感を出す」ことができるのだと話す。
マークジェイコブス(Marc Jacobs)
2014年にニューヨークで開催されたファッションウィークで、マークジェイコブスは香水「デイジー(Daisy)」のポップアップストア(期間限定店舗)を出店させた。マークジェイコブスがインスタグラムに投稿した写真を「通貨」としてファンたちに利用してもらい、同ブランドの香水、財布やハンドバッグなどを販売したのだ。
「#mjdaisychain(マークジェイコブスデイジーチェーン)」のハッシュタグを付けて写真をインスタグラムに投稿すると、サンプルではあるが、液体タイプ、塗るタイプ、もしくは固形タイプの香水のいずれかをもらうことができる。また、写真をインスタグラムに投稿した最初の10人には 実物の商品の香水が贈られた。このポップアップストアでは、無料でマニキュアや店舗内の写真も提供していたそうだ。
Tanya Dua(原文 / 訳:BIG ROMAN)
Image via Thinkstock / Getty Images