「すべての卵を、ひとつの籠に入れてはいけない」:フレーバーウォーターのヒント創業者 K・ゴールディン氏

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カラ・ゴールディン氏がヒント(Hint)を設立したのは、2005年のことだ。当時、彼女自身がもっと水を飲むにはどうしたら良いかと考えていた。出した答えは「刻んだフルーツを水に加える」。こうすれば、従来のフレーバー飲料に使う甘味料を使わずに風味を出すことができる。こうして、ヒントは誕生した。

あれから15年近くを経て、ヒントは独立した清涼飲料メーカーとしては、年商1億ドル(約108億円)を超える米国最大手のひとつに成長した。ヒントの製品は自社サイトの以外にも、Amazonや街の食料品店でも販売している。さらに最近では、子ども向けの飲料や日焼け止めなど、新しい製品ラインにも乗り出した。

「いつコカ・コーラに買収されるのか。いつペプシに買収されるのか。長年、問われ続けてきた」と、ゴールディン氏は打ち明ける。「ヒントはいまや全国規模のブランドだ。コカ・コーラやペプシの販売網に頼らなくても店の棚に商品を並べるノウハウを手に入れた。物流的にも流通的にも、こんなことをやってのけたブランドは、ヒントのほかに存在しない。私たちはコカ・コーラやペプシ、ドクターペッパー・スナップル・グループとのつながりを持たずに、これだけの販路を確保した。一部の大手企業が持つような3000店もの販売店があったわけではない。一方で、彼らの原点は健康ではない。ヘルシーなイメージ作りに力を入れても、それは彼らの目指すゴールではない」。

今回のポッドキャストシリーズ「メイキング・マーケティング(Making Marketing)」では、米DIGIDAY副編集長シャリーン・パサックがカラ・ゴールディン氏をゲストに迎え、製品から会社を立ち上げること、ひとつのプラットフォームに過度に依存しないこと、新領域への事業拡大などをテーマに議論した。記事は取材内容の要約である。

製品からブランドへ

「ヒントを立ち上げたとき、正直なところ、会社を作ったという意識はなかった。事業計画書も書いたし、友人たちには『こんな会社を作るなんてすごい』と言ってもらった。しかし、私としては『ちょっと待って、これって会社なの?』という気持ちだった。私にとってヒントはあくまでも製品だった。これで会社ができるのかと、自らに問い続けた。私にしてみれば、それまで自宅で自分のために作っていた飲み物を作っただけ。それがホールフーズで売れるようになった。言ってみればそれだけだ。私は大企業で働いた経験もある。小さな会社を大きく成長させた経験もある。どんな会社であっても、そこには常に、いくつもの側面があった。いまの会社はと言えば、「飲み物を売る」、ただそれだけだ。ちっぽけで、退屈で、たったひとつの方向性しかない。あれから多くのことがあって、ウェルネス企業だ、デジタル企業だと、もてはやされるようになったが、それはある種の結果論であって、多くの偶然に助けられた。ヒントは飲料を本格的にオンラインで販売した最初のメーカーだが、このときAmazonと仕事をしなければ、自社サイトのdrinkhint.comを立ち上げることはなかっただろう。昔の同僚がAmazonで食料品を売っていなければ、そしてスターバックス(Starbucks)でヒントを飲んでいなければ、Amazonと関わることもなかったかもしれない」。

ひとつのプラットフォームに依存しすぎない

「私たちが新しいチャネルについて考えるとき、たとえばテレビもそうだったのだが、その目的は新しい顧客の開拓だ。テレビを視聴する顧客は一定程度いる。すべてではないにしても、特定の番組は見るだろう。そして、テレビを視聴する人々のなかに、ヒントの潜在的な顧客がいるかもしれない。一方で、この人々はもう店で買い物などしないかもしれない。店に行っても飲料売り場に足を運んだりしないかもしれない。ネットも使わない、ターゲティングの対象からも外れている、だからヒントのデジタル広告を目にすることもない。数年前の試みは純粋に実験だった。ある意味賭けでもあった。テレビとなると大事だ。ターゲットさえ決めかねた。どうやら、うまくいっているようではあるが。キャンペーンを組み立てる過程で私たちが学んだことは、Facebookがすべてではないということだ。もちろん、Facebookはいまも私たちの事業にとって大きな存在だし、私たちも彼らの事業にとって大きな存在だろう。なにしろ、私たちはFacebookに多額の予算を投じているのだから。それでも、私たちは時間をかけて学んできた。商品を納入する店舗にしても、デジタルキャンペーンにしても、あるいは商品をボトルに詰める業者にしても、すべての卵をひとつの籠に入れてはいけない」。

新しい健康カテゴリーへの取り組み

「数年前に日焼け止めを発売した。あれはある意味、偶然のたまものだった。正直、ヒントが日焼け止めを出すなんて少しも考えていなかった。実は以前に、顔にがんのサインと言われるできものができて切除した。それを機に日焼け止め探しをはじめたが、鉱物系の製品は使いたくなかった。そこで皮膚科の専門医に会って原材料の話を聞いた。すると知り合いのひとりが疾病管理センター(CDC)で働いていて、紫外線吸収剤のオキシベンゾンの研究について教えてくれた。オキシベンゾンはケミカル系の日焼け止めに含まれる化学物質だ。私はあれこれ質問をはじめた。なぜ、日焼け止めにこの物質が入っているのか? 飲料開発のときもそうだった。なぜ、水に甘味料を入れる必要があるのか? 結果、オキシベンゾンを使用しなくても効果的な日焼け止めが作れること、ヒントウォーターのフルーツエッセンスで日焼け止めの香り付けができることが分かった。これが日焼け止めの発売につながった。私は飲料メーカーの重役になりたくてなったわけではない。私にとって健康であることは何よりも重要だった。そもそも、私は健康のためにこの会社を作ったのだ。ヒントはこれからも健康問題の解決に資するような新しい製品を提供しつづけるだろう」。

Gianna Capadona(原文 / 訳:英じゅんこ)