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米・セブンイレブン、5年ぶりにテレビCMを再開した理由:「テレビCMはいまでも効果的」

2020年夏、米・セブンイレブン(7-Eleven, Inc.)は5年ぶりにテレビCMを再開した。同社の最高マーケティング責任者、マリッサ・ジャラット氏によれば、当初その目的は、テレビ広告がコンビニエンスストア事業の業績にどう影響するかを評価するためのテストを行うことだったという。

「2020年にCMを試験的に展開して、テレビという広告媒体が非常に効率的かつ効果的であることがわかった」と、ジャラット氏は述べる。セブンイレブンでは、広告効果の測定指標として粗利益の改善や顧客来店頻度の増加といったデータ見ながら、再開したテレビCMが同社の業績に与えた影響を分析したという。「この成果が2021年におけるテレビCMの費用を増やす根拠にもなった」。

実際セブンイレブンは、テレビCMへの投資を前年比で275%増やすことを決断している。2021年の残りの数カ月間、コンビニエンスストア事業を展開する地域を対象に、地上波とケーブルテレビでCMを放映するという。またジャラット氏によると、そもそも同社はメディア広告費を「全体で倍に増やした」という。「継続的に広告を打つことで、ブランド認知度が上がる。顧客の来店意欲も高まり、リピーターが増えていくだろう」。

なお、2021年のメディア広告予算について、セブンイレブンは具体的な金額や支出の内訳を開示していない。ただ、調査会社カンター(Kantar)の調べによると、同社の広告費は2019年に1230万ドル(約13億5000万円)、テレビCMの試験運用を進めていた2020年は、1600万ドル(約17億5000万円)だったという。ただしこの金額には、ソーシャルメディア広告は含まれていない(カンターの調査対象外のため)。

テレビCMはいまでも効果的

セブンイレブンは1927年、米テキサス州のオーククリフで設立され、現在は日本に本社をおくセブン&アイ・ホールディングスの子会社となっている。その認知度は総じて高いが、ブランドの良さを再認識してもらえるよう、新たな投資を進め、新メニューであるエスプレッソや、ビッグ・ガルプ(Big Gulp)の新フレーバー、ホットスナックといった商品の販売を促進している。また、「セブンイレブンが宅配サービスもやっていると知る人はあまり多くない」とジャラット氏。同社は2018年から導入されたこのサービスについても、テレビCMを通じて周知していく意向だ。

「セブンイレブンがコンビニエンスストアだと知っていますか? と消費者に訊けば、『イエス』という答えが返ってくる。しかし、セブンイレブンのエスプレッソ、ピザ、宅配サービスとなると、認知度がいちじるしく下がる」とジャラット氏は指摘する。「この課題を解決しようと我々も努力してきたが、その取り組みに大きく貢献できる媒体がテレビだ」。

「大手ブランドにとって重要なのは、消費者に力強く訴えかけるストーリーをいかに伝えるかだ。現状、デジタル広告ではそれがうまくいくとは限らない」と、ブランド・コンサルタントでマーケティング会社メタフォース(Metaforce)の共同創業者でもあるアレン・アダムソン氏は主張する。「知名度の高い大手ブランドで、語るべきシンプルなストーリーがあるなら、強力なメッセージを発信できるテレビCMはいまでも効果的だ。ブランドの規模が大きくなればなるほど、その企業にとってテレビCMの重要性が増す。より広範なオーディエンスに対し、シンプルなメッセージで訴求できるからだ」。

適切なバランスが大事

セブンイレブンは今後、前年比で倍増した予算を原資にマーケティング活動を推進していくという。チャネルとしては、テレビCMに加えてデジタルラジオおよび従来型のラジオ、屋外広告、プログラマティック・ディスプレイ広告、ソーシャルメディア広告、検索広告が予定されている。

「広告予算全体と、テレビCMへの投資の、適切なバランスを考えなければならない」とジャラット氏はいう。「テレビCMが、我々が求めている消費者の認知度向上とブランドに対する再評価につながるのはわかっている。しかしその一方で、ターゲットに確実にメッセージを届けられるターゲティング効率のよいチャネルもあわせて、最適な配分で運用していく必要がある」。

[原文:‘Helps drive broad awareness’: Why 7-Eleven has returned to TV advertising after a 5 year hiatus

KRISTINA MONLLOS(翻訳:SI Japan、編集:村上莞)
ILLUSTRATION BY IVY LIU