消費財企業の広告トレンド、「食料雑貨サイト」が急上昇:Amazonがもたらした変革

消費財ブランドにとって、食料雑貨サイトにおける広告は、ますます優先度を高めている。インスタカート(Instacart)、ピーポッド(Peapod)、クローガー(Kroger)といったサイトで買い物をしている消費者の興味を引きたいと考えるクライアント企業たちからのメディアエージェンシーへの問い合わせが、昨年は急増した。

食料雑貨サイトで広告スペースを購入することに対する興味は高まっていると、メディアエージェンシーたちは言う。そんななかで、サイト側も広告主たちが広告購入をしやすくなるような投資を行っている。

広告プロダクトの中身はプラットフォームによって異なるが、典型的にはバナー広告や有料検索広告の配置を行って、ブランドたちは消費者たちの興味を引こうとしている。彼らの商品をそのまま、サイト上の買い物カートに入れてもらうことがポイントだ。

「(サイトの)買い物客の買い物リストに、自社のプロダクトを載せることが重要だと、ブランド企業たちは理解している。過去の注文によって、将来的な注文内容の大部分が決まる」と、eコマース分析企業プロフィテロ(Profitero)の戦略・インサイト部門シニアバイスプレジデントであるキース・アンダーソン氏は述べる。

インスタカートのケース

インスタカートを例に挙げると、有料検索、宅配プロモーション、クーポン、サンプル、マーケットプレイス広告といったオプションがブランドに提供されている。インスタカートのブランド・パートナーシップ部門責任者のジェニファー・メイヤー氏が説明してくれた。

「現時点で、インスタカートは1000以上のブランドとパートナーシップを結んでいる。消費財ブランドのトップ25はすべてがそこに含まれる。全体では、我々の広告ビジネスは昨年比で3桁の成長を見せている。もっとも力強い成長を見せているのは有料検索配置広告だ。ブランド企業はプレミアムなデジタル商品棚への自社製品の配置を入札することができる」と、メイヤー氏はeメールで述べた。本稿が公開されるまでには、年比較の成長に関する具体的な数字は得られなかった。

「いまは、消費者が自らの行動を変えようとする非常に重要な時期を迎えている。消費者を勝ち取るか否かを決めるチャンスがここにある。要するに、ブランドの観点から言うと、こういった特定のサイトに広告を開始する意義が非常に大きいということだ」と、マインドシェア(Mindshare)のコマース部門であるショッププラス(Shop+)のマネージング・ディレクター、ダイアナ・ゴードン氏は言う。

ジョージア・パシフィック(Georgia-Pacific)は2017年から2018年にかけて、オンラインにおける食料雑貨販売スペースに投資を開始した。「インスタカートのようなプラットフォームで、ほかではたどり着けていなかったユニークな顧客にリーチできるチャンスが埋もれていることに気付いた。食料雑貨の購入に際して、こういった便利なツールを活用する、より若い消費者たちにリーチできる能力を我々は拡大したいと考えている。そのため、この分野への興味もますます高まっている」と、eメールで回答してくれたのは、ジョージア・パシフィックのティッシュ・カテゴリー、ブランド構築リーダーであるサンティアゴ・アルボレーダ氏だ。また、ポートフォリオではさまざまなブランドを含めて、テスト・実験を行っていると加えた。

この分野におけるCPC

取材に答えてくれた情報源のひとりによると、この分野におけるCPCは、3ドル(約325円)以下が一般的のようだ。インスタカートはブランドと直接やりとりをしており、CPCは0.35ドル(約38円)から1.50ドル(約163円)のあいだで、カテゴリーに応じて対応している(インスタカートは実際のレートの公開は拒否した)。

クローガーの場合、プロモートIQ(PromoteIQ)によって管理されたオークションベースのマーケットプレイスを使っており、CPCは0.25ドル(約27円)から3ドルのあいだに収まっている。クローガーは本稿に対してコメントを返さなかったが、米DIGIDAYが報道したように、プレシジョンマーケティング(Precision Marketing)と呼ばれる彼らのリテール・メディア・プロダクトに期待を寄せているようだ。同社はこれを、ID-POSデータ分析マーケティングを行うサービス「84.51°」でサポートしており、これによって広告主により多くの顧客データを提供できるようになる。

ピーポッドも、オークションベースのモデルを使っているが、管理はクリテオ(Criteo)によるものだ。消費財ブランドに対するCPCは平均して2ドル(約217円)となっている。(ピーポッドからも、本稿に対するコメントを得られなかった)。

Amazonがルールを変えた

取材に応じてくれたメディアエージェンシーの情報源も、複数がAmazonの存在を業界のルールを変えるものとしてあげた。ブランドたちはAmazonのプラットフォーム上での広告の仕方を学んでおり、同時に消費者たちがオンラインで買い物をしている場所は、Amazonだけではないことも理解している。また、ターゲット(Target)やウォルマート(Walmart)といった、ほかのリテーラーたちも、企業のメディア支出を彼らの広告収入源とするチャンスに注目している。

「Amazonは本当に業界の在り方を変えた。クライアントのなかには、Amazonにも取り組んで良かった、あそこではいろいろと学んだ、しかし消費者はAmazonだけでなく、ほかの物を買うために、さまざまなプラットフォームを使っているため、ほかで何が出来るかを試したい、というところが出てきている。消費者が購入をしている場所を確実に捉えるために、我々はいかに支出するべきか、といった具合だ」と、ピュブリシスメディア(Publicis Media)のアメリカ・コマース部門責任者であるエイミー・ランジ氏は言う。

食料雑貨購入全体のうち、オンラインでの購入は現在、約5%を占めている。食料マーケティング・インスティチュート(Food Marketing Institute)とニールセン(Nielsen)は、今後5年から7年間で消費者の70%が食料雑貨をオンラインでするようになると予測している。

D2Cブランドに対する防戦

この分野での広告支出がもっとも多いのは、D2C(Direct to Consumer)ブランドの台頭のなかで苦戦している比較的大規模な消費財ブランドたちだ。「D2Cブランドへと向かっている消費者たちに防戦を張っているのが彼らだ。そんななかで、この種類(オンライン食料雑貨)の体験においては、自分たちが確実にリードしようとしている」と、ランジ氏は言う。

「デジタルの商品棚のようなものだ。ときに買い物客マーケティングの予算から持ってこられる。ときにはトレード予算から持ってこられる。(ブランドたちは)すでにマーケティング支出に投入されている資金から、デジタル商品棚モデルへと再配分をする方法を探っている」と、フォレスター(Forrester)のリテール・アナリスト、サチャリタ・コダーリ氏は言う。

とはいえ、「デジタル商品棚」プロダクトはまだ開始されてから歴史も浅く、限られている。ほとんどのブランドたちは、フォーカスを検索とディスプレイ広告に据えている。

「現時点ではまだ業界に改革をもたらすようなものではない。ほとんどの場合、適切な条件で広告を獲得しており、検索結果に表示されていることに(ブランドたちは)フォーカスしている。ターゲットが打ち出した大きなメッセージは、メディア上であっても、ターゲットの顧客が目にするべき体験は何が適切かを見極めようとしている、という姿勢だ」と、ランジ氏は言う。これはターゲットのニューフロント(New Front)におけるプレゼンテーションに触れての発言だった。

Kristina Monllos(原文 / 訳:塚本 紺)