ステファニー・ホートン氏は、ファッション業界でのマーケティング経験を活かして、パンデミックの最中に入社しGoogleショッピングの担当者となった。「最終的にどこで買い物をすることになろうが、Googleからその買い物の旅を始めてほしい」という言葉の真意とは。本記事は彼女のインタビューの抜粋である。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy+」の記事です。
グローバルコンシューマー・マーケティングディレクター・フォー・コマースとしてパンデミックのさなかにGoogleに入社したことは、ステファニー・ホートン氏にとって明白な次のステップというわけではなかった。それ以前はファーフェッチ(Farfetch)のCMO、アレクサンダー・ワン(Alexander Wang)のチーフストラテジーオフィサー、ショップボップ(Shopbop)のコミュニケーションのグローバルヘッドといった、比較的ファッションを中心とした役割に就いていた。とはいえ、彼女は新たな挑戦に向けての準備はできていた。
「私はキャリアを設計する性格ではない。いつも成り行きに任せているし、(自分にとって魅力を感じるのは)その仕事の範囲と、自分が何を学べるのか、その仕事には何か新しいことや革新的なことがあるのかどうかということだけ」とホートン氏は最新の米Glossyポッドキャストで語った。「(Googleは)物事の根幹を構築していて、アイデンティティを真に探している段階だったので、そうしたステージにあることの一部に参加できる絶好のチャンスだと思った。そして製品側では、本当に興味深く革新的だと感じる非常に多くのクールな物事が検討中だった」。
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入社して1年半が経った現在、彼女はGoogleショッピングの製品ビジョンを実現し、このプラットフォームが提供しているツールに対する消費者教育の面で大きな進歩を遂げている。そこには、Googleレンズや、Googleでの「ウィンドウショッピング」を容易にする新たなインターフェイスなどが含まれている。
「最終的にどこで買い物をすることになろうが、Googleからその買い物の旅を始めてほしいと思っている」と彼女は言う。「Googleはリテーラーでもなければ、マーケットプレイスでもない。Googleはまず訪れる場所であり、比較して、見つけて、絞り込み、インスピレーションを受け、選択することがまさにできる場所なのだ」。
以下、インタビューのハイライトを紹介する。なお、わかりやすさのため若干の編集を加えている。
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買い物客の行動の変化について
「人々はさらにeコマースに向かっている。そしてこの変化は、パンデミックが始まった当初に私たちが考えていたよりも、もう少し永続的に続くように思える。たしかに、より多くの消費者がインスピレーションを得るためにデジタルに目を向けるようになった。人々はアイデアを(オンラインで)検索しており、もはや迅速に取引するためのただの目的地ではなくなりつつある。アイデアを探す場所として本当に機能し始めている。実際にアイデアの検索回数は昨年に比べて60%増加しており、これは人々が『今すぐ何かを見つける必要がある』という以上の目的で、明らかにGoogleを利用していることを示している。
ショッパブルサーチもかなり目にしている。人はこれまで以上にオンラインで買い物をしているが、いまも店舗で得られるような視覚的でインスピレーションに満ちた体験を求めているのだ。だからこそ私たちは、ビューティやファッションのオンラインショッピングがさらに楽しいものになるよう、従来のウィンドウショッピングの体験を実現するために努力している。また、かつては未来への新しい道だったオムニチャネルが、いまではすっかりニューノーマルになった。人々は、オンラインでやっていることを店頭でもできるという期待を抱いている。そしてGoogleは、「近くで(探す)」や「クリック&コレクト」といったオプションを提供するために小売業者と協力して、(ふたつの世界を)融合させることができるという独特な立場にある」。
ショッピングの目的地 vs インスピレーション
「Googleはカスタマージャーニーのほぼ全領域をカバーしている。したがって、ほしいものがわからない場合でも、私たちはインスピレーションを与え、発見する手伝いができる。ほしいものがわかっている場合は、たとえば適切な価格や黒人が経営している店で買いたいなど、必要に応じた選択肢をフィルタリングするための優れたミッドファネルツールも用意している。そして支払いの準備ができたときには、支払いのオプションもある。つまりGoogleとしてはカスタマージャーニーのあらゆるポイントで顧客にサービスを提供し、なおかつそれをうまく行うこと、それが目標だ」。
デジタルを超えたマーケティング
「私にはいくつかのチームがある。ブランドマーケティングチームは、ブランドキャンペーンに専念している。テレビや屋外(広告)で目にするすばらしい作品はすべてそのチームによるものだし、すぐれたディスプレイ広告もすべてこのチームが考案している。また、4月には『ショップウィズGoogle』のInstagramをローンチするので、チームはそれにも取り組んでいる最中だ。私たちが何をどのように実現したいのか、これまでとは異なる方法で表現できるようになるので本当に楽しみにしている。
マーケティングは……私は風を伴うものだと常日頃から言っている。それは風のように吹いている。消費者がオンラインでいる場所でそうした消費者に出会う方法を認識しなくてはならないし、またマーケティングの際にも実際に消費者のいる場所で出会いたい。したがってデジタルは非常に重要だが、ほかの手段も決して軽視することはない。常に本当にクールで新しい革新的なものが現れるので、それも見逃したくないと思っている。だから『デジタル・マーケティングがすべてだ。我々がやっているのはそれだけだ』とか、『テレビがすべてだ、それしかやっていない』などと言う人には決してならない。360度のアプローチを持つことが、本当に、本当に重要なのだ」。
JILL MANOFF(翻訳:Maya Kishida 編集:猿渡さとみ)