Meta(メタ)のテキストベースのソーシャルプラットフォーム、Threads(スレッズ)は、7月5日にローンチしたあと、最初の5日間で1億人のユーザーを獲得、史上もっとも急成長したアプリとなった。Threadsは参加がシームレスで、新規ユーザーにはインスタグラムでフォローしているのと同じアカウントを自動的にフォローするオプションが与えられるため、フォロワー数が急速に増えることでドーパミンがすばやく放出される仕組みになっている。
『ヴォーグ(Vogue)』の元編集者でインフルエンサーに転身したジェナ・レナート氏は次のように語る。「(アプリ)から別のアプリへの移行がとても簡単。自然な流れのような感じ。みんなに『ねえ、ちょっと、Threadsっていう新しいアプリがあってね」といちいち説明する必要もない」。レナート氏はインスタグラムに11万3000人のフォロワーがおり、TikTokのフォロワー数は11万7000人、Threadsのフォロワー数は約8500人だ。
Threadsのユーザーには、美容やファッションのブランドやコンテンツクリエイターが多数おり、その多くは、また別の新たなプラットフォームを活用していくかどうか、まだ悩み中だ。だが、全面的に(そして急速に)飛び込んでいる人もいれば、Threadsをフィルターのかかっていない別の自分の一面を解き放つ場と捉えているユーザーもいる。このアプリは、Reddit(レディット)のスレッドをゆるくしたものとインスタグラムのコメント欄をさらに活発にしたものを足して2で割ったような、短い会話の場としても浮上している。ミケイラ・ノゲイラ氏(Threadsのフォロワー数13万7000人)、マニーMUAことマニー・グティエレス氏(Threadsのフォロワー数12万8000人)、ティンクス氏(フォロワー数5万人)といったインフルエンサーはみな、このアプリに参加している。
日常的な何かをシェアするのに適した場
インフルエンサーにとって、Threadsはまだ収益化できるものではない。いまのところ、インフルエンサーにとってどんな場所なのだろうか?
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy」の記事です。
Meta(メタ)のテキストベースのソーシャルプラットフォーム、Threads(スレッズ)は、7月5日にローンチしたあと、最初の5日間で1億人のユーザーを獲得、史上もっとも急成長したアプリとなった。Threadsは参加がシームレスで、新規ユーザーにはインスタグラムでフォローしているのと同じアカウントを自動的にフォローするオプションが与えられるため、フォロワー数が急速に増えることでドーパミンがすばやく放出される仕組みになっている。
『ヴォーグ(Vogue)』の元編集者でインフルエンサーに転身したジェナ・レナート氏は次のように語る。「(アプリ)から別のアプリへの移行がとても簡単。自然な流れのような感じ。みんなに『ねえ、ちょっと、Threadsっていう新しいアプリがあってね」といちいち説明する必要もない」。レナート氏はインスタグラムに11万3000人のフォロワーがおり、TikTokのフォロワー数は11万7000人、Threadsのフォロワー数は約8500人だ。
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Threadsのユーザーには、美容やファッションのブランドやコンテンツクリエイターが多数おり、その多くは、また別の新たなプラットフォームを活用していくかどうか、まだ悩み中だ。だが、全面的に(そして急速に)飛び込んでいる人もいれば、Threadsをフィルターのかかっていない別の自分の一面を解き放つ場と捉えているユーザーもいる。このアプリは、Reddit(レディット)のスレッドをゆるくしたものとインスタグラムのコメント欄をさらに活発にしたものを足して2で割ったような、短い会話の場としても浮上している。ミケイラ・ノゲイラ氏(Threadsのフォロワー数13万7000人)、マニーMUAことマニー・グティエレス氏(Threadsのフォロワー数12万8000人)、ティンクス氏(フォロワー数5万人)といったインフルエンサーはみな、このアプリに参加している。
日常的な何かをシェアするのに適した場
インフルエンサーにとって、Threadsはまだ収益化できるものではない。そのため、いまのところは、スポンサードコンテンツと並んだときの見え方を考えずに、インフルエンサーが自由に投稿できる場となっている。Z世代のウェルネス&ランニングインフルエンサー、ケイト・グラバン氏にとって、Threadsはテキストベースのアプリを使う初めての機会だ。彼女はTwitterを使ったことがない。新たなアプリをまたダウンロードするのを躊躇したが、実際に参加してみたところ、「自分のちょっとした考えを発信するプラットフォーム」を持つのは初めてだと気づいたという。これまでのところ、その「ちょっとした考え」には、スーパーグープ(Supergoop)やラ・ロッシュ・ポゼ(La Roche-Posay)の美容製品について思ったこと、バービーコアのサックスポッツ(Saks Potts)のホルター・トップを買った報告、毎日のエプソムソルトのお風呂といった健康に関する儀式についての詳細などが含まれている。
グラバン氏は明らかにさらなる可能性をThreadsに見出している。1週間前、彼女は「Threadsで一緒に最初のブランド取引をしたいと思っていて、私に連絡をしたい人!!! ともに歴史を作ろう」と投稿した。多くのブランドが興味を示しているとリプライしているが、あるユーザーは「お願い、頼むからここを安全な場所のままにしておいてほしい」と書いた。グラバン氏はTikTokに11万3000人、インスタグラムに3万4000人、Threadsで約4000人のフォロワーがいる。TikTokとインスタグラムでの彼女のパートナーには、ホカ(Hoka)とアウトドアボイシズ(Outdoor Voices)がいる。
TikTokに36万2000人、インスタグラムには110万人のフォロワーがいる美容インフルエンサーのニコル・コンシリオ氏は、Threadsで3万2000人のフォロワーを獲得した。ブランドが大規模なインスタグラムキャンペーンでインフルエンサーと契約する際に、Threadsの投稿を成果物としてすぐに追加するようになるかどうかについては、コンシリオ氏は疑問だという。
いまのところ、Threadsで商品について話すのは、ほかのアプリにくらべて何となく売り込みっぽい感じがしないと、グラバン氏は述べた。「つねに商品について話していると、インスタグラムやTikTokでは、たまに自分が販売員になったかのように感じることがある。私は製品の箱を開けて見せるタイプのPRをやる人間ではない。写真撮影全般や何かの動画制作を必ずしもやりたいわけではないと思うこともよくある。だからサックスポッツのトップスについて考えていたとき、Threadsは完璧なプラットフォームだと感じた。もっと日常的なものを共有するのにぴったりだ」。
ディスカッションが盛んなThreadsはコミュニティ形成に有意義
グラバン氏は、ソーシャルメディア・ベースのウェルネス・コミュニティでポッドキャストの「シーモスガーリーズ(Sea Moss Girlies)」の共同設立者でもある。このコミュニティにはインスタグラムに4万3000人、Threadsには現在4800人のフォロワーがおり、Threadsはコミュニティ形成に有意義であることがすぐに証明されたという。「コミュニティと交流する方法をずっと探していた。というのも、インスタグラム(のエンゲージメントに関して)は、ミームに『いいね!』をしたり、コメント欄で話したりする程度だったからだ。私たちは、誰かの1日を通しての瞬間をもっと見たい。たとえば、みんなはウェルネスのルーティンでどんな感じのことをやってるの? めんどくさくてウンザリする瞬間はどんなとき? とか。Threadsは、コミュニティがウェルネスに関与するための本当によいプラットフォームだ」。シーモスガーリーズのThreadsのアカウントでは、グラバン氏はミームをシェアし、ポッドキャストを宣伝し、フォロワーがシェアした「シーモスガーリーな瞬間」をリポストしている。その中には、真昼のエプソムソルトのお風呂、メンタルヘルス・ウォーキング、アボカドを食べることなどがある。
コンシリオ氏も同様に、Threadsは美容クリエイターにとって価値があると言う。「クリエイターとして、インスタグラム、YouTube、TikTok、Twitterなどすべてのプラットフォームに投稿するのはすでに難しい状況なので、最初は『ああ、ほらまたきた、別のアプリか』ってなった。しばらくはアプリのレモンエイト(Lemon8)にちょっとハマっていた。だから『ビーリアル(BeReal)やレモンエイトみたいに、最初はすごくワクワクするけど、そのうち忘れちゃうみたいになるのかな?』と思った。でもThreadsは実際に長く続きそうな気がする」。
「特に美容の世界では、すでにオープンなディスカッションがたくさんあるのが気に入っている。大勢が『お店について話そう、あなたの必需品は何?何が必要?』といった話をしている」とコンシリオ氏は述べた。彼女は初期の投稿で、興味深い質問を投げかけている。「ステップアップする必要があると思う美容ブランドは何?」これには20件のリプライが付いた。コンシリオ氏はまた、ワンサイズ(One Size)やブリオジオ(Briogeo)などのブランドの投稿にリプライするなど、アプリ上で美容ブランドとやりとりをしている。
レナート氏はフォロワーとより深くつながり、会話を育む可能性をThreadsの活用に見出している。インフルエンサーが商品についてインスタグラムのストーリーに投稿した際、結局リプライを送る唯一の方法は個人的にDMを送るしかないが、誰もがそれをやりたいわけではない。Threadsではリプライは公開されるため、ユーザーはより広く会話に加わり、より大きなコミュニティに参加することができる。レナート氏は、エンゲージメントは予想以上に高く、彼女のインスタグラム投稿のほとんどのコメント欄よりも大きいと語った。現在愛用しているアイクリームについてフォロワーに尋ねた投稿には、39件のリプライと17件の「いいね!」が付いた。インスタグラムへの投稿は虚空に何かを放り投げているように感じることがあるが、Threadsでのコンタクトはダイレクトな感じがするという。
そのためレナート氏は次のように述べた。「Threadsをやろうとしている人は会話に参加したいと思っていて、インスタグラムやTiktokではやらないような形で誰かと関わりたいと思っている。インスタグラムやTiktokをやる時は、画面をスクロールして(次から次へと先に進んで)楽しみたいと思っている」。
また、美容はそれ自体が自由形式の質問に向いているトピックであることにも留意すべきだ。「美容とは、友だちに『ねえ、私のマスカラ、OKかな?』とか、『みんなはメイベリン(Maybelline)の新しいマスカラ、試した?』といったことを聞く場所に存在するものだ」とレナート氏は述べた。
リンク共有の場としてのThreads
コンシリオ氏は、Threadsに投稿するコンテンツの種類を実験している。特にこのアプリの「アンチ・クリエイター」的な雰囲気を察しているからだ。それは前述したグラバン氏の投稿へのリプライにある「お願いだから」のようなコメントからもわかる。コンシリオ氏はリスクを冒して、サングラスをかけたときにメイクの跡がつかないようにするハックについて作成した動画を投稿することにした。この動画には18件のリプライと264件の「いいね!」が付いた(これは新しいアプリでは大きな数だ)。「じつはとても好意的な反響があった。実際のコンテンツをここに投稿することで、みんなに嫌われるんじゃないかと心配していたので衝撃的だった」と彼女は語った。
この記事のために意見を述べた3人のインフルエンサーは全員、このアプリが特にテキストのみのフォーマットであることから、インスタグラムの洗練された美的感覚を必要としない自由があるという点を指摘している。洗練されたルックへの拒絶は、TikTokの人気にも貢献しているといわれている。それはビーリアルの人気にも(たとえその人気が一瞬だったとしても)あてはまる。「ある意味、ちょっぴりはめを外せるような気もする」とコンシリオ氏は述べた。彼女は、このアプリのためにミームを作る実験もしているという。
それでも洗練された美学が完全に廃れたとはいえない。新たに出現したレモンエイトはそれに頼っているし、ピンタレスト(Pinterest)も依然として人気がある。
7月のAmazonのプライムデーの期間中、コンシリオ氏とレナート氏はThreadsを活用して、自分たちがピックアップした買い物へのリンクをシェアした。その行為を不快に思うフォロワーもわずかにいたかもしれないが、これもまた機転の効いた動きとなった。インスタグラムやTikTokにはクリエイターのプライムデーのピックアップ商品が氾濫していたのに対し、Threadsはそうではなかったのだ。
このアプリはクリエイターに分析を提供していないが、レナート氏はThreadsのアカウントでピックアップ商品へのリンクをシェアすることで、全般的に自分のプライムデーのアフィリエイト報酬が上がったと考えている。「Threadsは、(フォロワーが)見逃したかもしれないリンクを宣伝するひとつの方法だ」と彼女は述べた。「フォロワーに商品を勧めるすばらしいやり方だと考えているが、リンク共有の場としても興味深いものになりそう。というのも、リールやインスタグラムの投稿やTikTokからのリンクはクリックすることができないからだ。プロフィールかストーリーからしかリンクできない」。
Threadsの将来はまだ不明だが、レナート氏は、すでに生活に欠かせないインスタグラムとつながっている点を考慮し、投稿を続ける気になると語った。「これがどこに向かっているのか、どのくらい続きそうなのか、見当がつくかと言われたら、もちろん私にはわからない。でもThreadsでの会話が好きだし、フォロワーとつながる形が気に入っている」。
タッチャが新発売のプロモーションにThreadsを活用する方法
タッチャ(Tatcha)は7月15日に新製品のインディゴクレンジングバーム(Indigo Cleansing Balm)を発売している。4万2000人近いフォロワーがいるThreadsで同ブランドをフォローしている人は、すでにご存知だろう。同ブランドはインスタグラムに120万人、TikTokには6万4000人のフォロワーがいる。Twitterでは存在感を示していない。
新しいアプリであるThreadsのタッチャのバイオには、2行目に「カミングスーン:インディゴクレンジングバーム」とある。7月10日に投稿された製品のプレビューのGIFは、43件のリプライと222件の「いいね!」を獲得した。新しいアプリで新発売をプレビューするという決定について、CMOのカイリーン・カンポス氏は次のように語る。「Threadsのローンチは、既存のコミュニティとつながると同時に、新しい人々とつながる新たな機会となった。新製品であるインディゴクレンジングバームをこのオーディエンスにも最初に見てもらうことは、成長中のThreadsのオーディエンスと新たな会話を始めるのに最適な方法だった」。
このアプリは非常に新しいため、タッチャは引き続き「機敏」にオーディエンスの発展に合わせて戦略を調整しながら、専用コンテンツを進化させて適応していく計画だ。初期の計画には、新製品に関する質問への回答など、製品教育にThreadsを活用することも含まれている。インディゴクレンジングバームは、オーバーナイトクリームも含む既存のインディゴ・コレクションの一部である。
今回のローンチでは、TikTokとインスタグラムも引き続き優先事項だとカンポス氏は語る。
Threadsをコミュニティとの会話によるコミュニケーションに利用しているブランドは、高いエンゲージメントを集めている。このプラットフォームで人気のあるアーリーアダプターのアカウントには、アルタ・ビューティ(Ulta Beauty、フォロワー数26万7000人)、レア・ビューティ(Rare Beauty、フォロワー数42万2000人)、ワンサイズ(One Size、1万8000人)などがある。
「Threadsは、パーソナライズされた魅力的な会話を通じて人々を魅了する、独特な機会を提供している」とカンポス氏は述べている。
[原文:Glossy Pop Newsletter: Threads is proving popular with beauty influencers]
SARA SPRUCH-FEINER(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)