最新の業界調査によると、買い物客は物価上昇への対策としてホリデーギフトカードを買い込む可能性が高く、小売企業はすでにその需要を満たすための準備を進めている。
小売企業は数カ月前から、ギフトカードへの関心を指摘してきた。2月に、当時スターバックス(Starbucks)のCEOだったハワード・シュルツ氏は、第1四半期のギフトカードの売上が「驚異的な記録」の33億ドル(約4850億円)に達したと述べた。9月初めに、クーラーブランドのイエティ(Yeti)は、ソフトクーラーとギアケースのリコールの影響を受けた顧客が、「ギフトカードを選ぶ割合が予想を上回った」と語った。春にはヌードルズアンドカンパニー(Noodles & Co.)が、デジタルメニューボードを使用して「ギフトカードをより積極的にプロモートする」試みを行ったと述べている。ターゲット(Target)などいくつかの小売企業もまた、パーソナルケアなど特定のカテゴリーで一定金額を消費した顧客にギフトカードを進呈することで、割引の方法としてギフトカードを使いはじめた。
フィンテック企業のファイサーブ(Fiserv)が発表した最新のギフトカードゲージ(Gift Card Gauge)によると、今年は消費者の3分の2以上(68%)以上がホリデーのためにギフトカードを購入する予定だという。ギフトカードと決済管理サービスを提供するブラックホークネットワーク(Blackhawk Network)は、買い物客がホリデーのショッピング予算の43%をギフトカードに費やすと予想しており、これは前年比で21%の増加にあたる。ガートナー(Gartner)によると、ギフト用品のカテゴリーで昨年もっとも多かったのはギフトカードで、ディレクターアナリストのカッシー・ソチャ氏は、「今後数年間はこの傾向が変化しないと考えている」と米モダンリテールに語った。
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
最新の業界調査によると、買い物客は物価上昇への対策としてホリデーギフトカードを買い込む可能性が高く、小売企業はすでにその需要を満たすための準備を進めている。
小売企業は数カ月前から、ギフトカードへの関心を指摘してきた。2月に、当時スターバックス(Starbucks)のCEOだったハワード・シュルツ氏は、第1四半期のギフトカードの売上が「驚異的な記録」の33億ドル(約4850億円)に達したと述べた。9月初めに、クーラーブランドのイエティ(Yeti)は、ソフトクーラーとギアケースのリコールの影響を受けた顧客が、「ギフトカードを選ぶ割合が予想を上回った」と語った。春にはヌードルズアンドカンパニー(Noodles & Co.)が、デジタルメニューボードを使用して「ギフトカードをより積極的にプロモートする」試みを行ったと述べている。ターゲット(Target)などいくつかの小売企業もまた、パーソナルケアなど特定のカテゴリーで一定金額を消費した顧客にギフトカードを進呈することで、割引の方法としてギフトカードを使いはじめた。
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フィンテック企業のファイサーブ(Fiserv)が発表した最新のギフトカードゲージ(Gift Card Gauge)によると、今年は消費者の3分の2以上(68%)以上がホリデーのためにギフトカードを購入する予定だという。ギフトカードと決済管理サービスを提供するブラックホークネットワーク(Blackhawk Network)は、買い物客がホリデーのショッピング予算の43%をギフトカードに費やすと予想しており、これは前年比で21%の増加にあたる。ガートナー(Gartner)によると、ギフト用品のカテゴリーで昨年もっとも多かったのはギフトカードで、ディレクターアナリストのカッシー・ソチャ氏は、「今後数年間はこの傾向が変化しないと考えている」と米モダンリテールに語った。
ギフトカードへの支出が増加している
インフレは昨年と比べて収まったものの、買い物客は生活必需品に十分な予算を確保するため、自由裁量の支出には依然として気を配っている。しかしギフトは、買い物客が支出を控える可能性が低いカテゴリーのひとつだ。実際に、家族や友人へのギフトは今でも、アクセサリーや宝石類などの商品を超えて、もっとも守られているカテゴリーのひとつだと、ガートナーの調査は明らかにしている。ブラックホークネットワークは、今年の1人あたりのギフトカードへの支出が3%増加すると予想している。
経済が不確定な現在の時期において、ギフトカードには多くの利点があると、内部関係者は米モダンリテールに語っている。ギフトカードを買うと、買い物客が支払う金額は一定だ。これに対して、ホリデーが到来したときにスウェットシャツやキャンドルなど特定の商品を買おうとすると、価格が上昇している可能性がある。また、ギフトを渡す相手が特定の商品を欲しがっていることを買い物客が知っている場合、ギフトカードはその商品を購入する助けとなる。これらの人々は「欲しがっている品物そのものを買ってあげることはできないが、予算で支援できる」と考えるだろうとブラックホークネットワークのグローバルコマース担当シニアバイスプレジデントを務めるブレット・ナーリンガー氏は米モダンリテールに語った。
受け取る側について、「消費者は、ちょうどいいセールや割引があるまで購入を控えている傾向がある。ギフトカードをプレゼントすることで、受け取る側は商品を最安値で購入することができる」とソチャ氏は語る。
Z世代がギフトカードに期待するもの
冬のホリデー用のギフトカードは通常、4月か5月に生産がはじまると、小売ギフトカード組合(Retail Gift Card Association)の広報担当者は米モダンリテールに語った。しかし、eカードはより短い期間、つまり数カ月ではなく数週間で発行できる。小売企業は、先手を打つ必要がないとしても、ギフトカードへの需要の集中に備え、いくつかの準備が可能だと情報源は語る。
まず、Z世代はもっともギフトカードを多く購入する世代のひとつで、小売企業はこの世代向けにデジタルカードを必ず提供する必要があると、ナーリンガー氏は説明する。ブラックホークネットワークの調査によると、Z世代が今年ギフトカードに費やす金額は、昨年より56%増えると予測される。これは、ミレニアル世代の19%、X世代の25%、ベビーブーマー世代の9%の増加よりはるかに大きい。
「この世代は、スマートフォンでモバイルギフトカードを使うことにまったく抵抗がなく、使い方を完全に心得ている。小売企業は、デジタル体験が整っていることを確認するべきだ」と、ナーリンガー氏は述べている。
一方、提供されるギフトカードのタイプも変化しつつある。Z世代のギフトやギフトカードへの見方はほかの世代とは異なると、ナーリンガー氏は述べている。「この世代は量販店には見向きもしない。地元の店やチャリティーを求めている。サステナビリティを何よりも優先する。そして、食事でも楽しいことでも、とにかく体験を求めている」と、同氏は説明している。
Z世代のこのような考え方は、ブラックホークネットワークが数百ものブランドギフトカードのパートナーとビジネスを行う方法を変えたとナーリンガー氏は語った。「この世代が贈りたいものとマッチするよう、商品ロードマップを定義するのに大いに役立つ」と同氏は説明する。たとえば、昨年からアメリカがん協会(American Cancer Society)やギフトオブカレッジ(Gift of College)などのパートナーを新たに引き入れた。
ブラックホークネットワークは、より多くの選択肢を求める顧客向けに、複数の小売店が参加する「ワンフォーオール(One For All)」カードの提供も開始した。カードには「買い物セラピー(Retail Therapy)」や「ゲームアンドグラブ(Game and Grub)」のように、特定の機会で使用するものもあれば、コールズ(Kohl’s)、ゲームストップ(GameStop)、チリーズ(Chili’s)などのブランドをミックスしたものもある。
「ギフトカードのこの分野は爆発的に伸びている」とナーリンガー氏は語る。「ワンフォーオール」カードは、欧州ではブラックホークネットワークのギフトカード売上額の30%近く、オーストラリアでは50%を占める。「米国では、現在もっとも急速に成長している分野だ」と同氏は述べた。
買い物客の需要に応える理想的ギフト
もちろん、すべての人々がデジタルギフトカードを望むわけではないため、小売企業は物理的なカードを好む人向けに、カードを置く場所を戦略的に決めることをファイーブは勧めている。同社によると、買い物客の64%はレジの近くでギフトカードを探し、36%は陳列棚の通路端(エンド)で、15%はグリーティングカード売り場の棚でギフトカードを探すという。また、買い物客の40%はグリーティングカードでギフトカードを「ラッピング」するので、「店頭での買い物をより便利にするために」その両方を同じ陳列棚に置くことを同社は勧めている。
ギフトカードは、小売企業にとって「在庫管理に関連する作業があまり必要なく、実際に利用する期間を1月と2月の長い期間に分散させることができる」とナーリンガー氏は述べる。一方、ソチャ氏は、「消費者にとって、この数年間における小売での買い物のテーマは、選択肢が欲しいということであり、ギフトカードはその選択肢を与える理想的なギフトだ」と述べている。
[原文:Gift card strategies are changing — here’s how retailers can prepare]
Julia Waldow(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)