いまではインスタグラム上にはシューズ・ブランド、衣服ブランド、電子機器、さらには不動産に至るまで、偽の広告が蔓延している。なかには正規ブランドのロゴを使用した悪質なものも含まれている。こういった悪質な広告はブランドとインスタグラム両方の評判を落としてしまう。
インスタグラムの共同ファウンダーであるケビン・シストロム氏がすべての広告の審査をしていたのは、もはや遠い昔のことのようだ。
いまではインスタグラム上にはシューズ・ブランド、衣服ブランド、電子機器、さらには不動産に至るまで、偽の広告が蔓延している。なかには正規ブランドのロゴを使用した悪質なものも含まれている。
こういった悪質な広告はブランドとインスタグラム両方の評判を落としてしまう。
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アディダスの偽広告
アディダス(Adidas)のイージー・スニーカー(Yeezy)の販売チャンネルを自称するアカウントがその一例だ。この「Summer Discount」というアカウントによる広告ポストには「購入」リンクがあり、プロフィール画像にはアディダスのロゴが使用されている。
ストリートウェア小売であるポピュラー・デマンド(Popular Demand)のファウンダー兼CEO、そしてブランド・コンサルタントであるブレーク・リッチアーディ氏は、こういった種類の広告をいくつも見てきたという。
「私は業界にいて、こういったスニーカーが海賊版であることが分かるくらいの知識を持っているが、不幸なことにほとんどの消費者は違いを見分けることができない。ほとんどの人がインスタグラム上にある広告だという理由で、これがちゃんとしたものだと思ってしまうだろう。自分のフィードに現れて、アディダスのロゴが表示されているのだから。これはアディダスのブランドにとって非常に害がある」と、彼は語る。
Appleも餌食に
エンガジェット(Engadget)によって発見された、以下の広告もまたアディダスのロゴを冠しており、イージー・ブースト(Yeezy Boost)750と350を「7割引」で販売すると掲載している。
こういった広告を踏むとShoesoffSale.USやclassicboost.comといったサイトに遷移するのが普通だ。そこでは偽の靴が販売されており、サイトは安全ではないと警告が表示される。
英国で今年はじめに登場した広告も同様の手口であった。アカウント名は「Apple Store UK」、抽選でiPhoneが当たるという広告を出していた。この広告は英国の広告主を代表する業界団体ISBAに見つかり、最終的には停止させられた。
セルフサービスの功罪
インスタグラムは自らを、ブランドにとって安全な、かつ高級感のある美しい写真が集まるビジュアルプラットフォームとして売り込んでいる。違法な広告を表示させることは、それとは真逆の行為である。インスタグラムがプログラミングインターフェースをオープンした直後から、デートアプリ、バーチャルギャンブルそしてゲーム業界のブランドによるダイレクトレスポンスの広告が大量に流れ込んできた。
ストーリー上もフィード上も、インスタグラム広告は自社システムを通して届けられている。広告処理の自動化をすることでスケール面でのメリットがあるのは明確だ。インスタグラムは100万社もの広告主がいることを誇らしく語っている。しかしコントロールを失った場合のデメリットもまた、同様に明確になっている。
クレンショーコミュニケーションズ(Crenshaw Communications)のディレクターであり、自身もスニーカー愛好家であるクリス・ハリハー氏はこういった種類の広告のターゲットに頻繁になっているという。「これを見るのは、はじめてじゃない。この広告のブランディングは、非常に不誠実だ。イージーシリーズがこんな値段で売られるわけがないと分かる。これは違反のように思う」。
法律的観点からすると
ザ・ファッション・ロー(The Fashion Law)のファウンダーであり弁護士でもあるジュリー・ザーボ氏は、各種プラットフォームで売られている偽造品について、自身のサイト上で記事を書いたことがある。連邦法によると、インスタグラムのようなウェブサイトオペレーターは、偽造品を表示することで責任を問われる可能性があるが、著作権侵害行為を取り除くための対策をとっているプロバイダーは保護されると、彼女は語った。それが、その場しのぎの対策であってもだ。
インスタグラムの広報担当は「我々はインスタグラムで偽造品を売ることを許していない。このような種類の活動を確認した場合、我々は直ちに停止し、違反しているアカウントを取り除くことになっている」と回答した。インスタグラムの広告審査数は1週間に何百万件にものぼる。しかし、モグラ叩きのようになっている現状では、厳しく監督するのは難しい。
インスタグラムにとっては、小売業者がプラットフォーム上で直接販売できることは、重要な機能のひとつだ。月間ユーザー数が7億人であり、雑誌のようなレイアウトを持っていることでやり方さえ気をつければ小売業者にとっては最適なプラットフォームとなっている。偽造品問題は特にスニーカー業界で大きな問題だ。人気の商品がたくさん存在しており、偽造品がそこら中にあふれている。
インスタグラムの責任
ナイキ(nike)は自社の偽造品を取り除くため、そして売上の強化のためにAmazonで直接販売を開始すると先日発表した。インスタグラムでの直接販売も計画している。
インスタグラムだけの問題ではない。FacebookやTwitterといったほとんどのプラットフォームで、粗悪な広告は表示されている。Snapchatですら、自社システムの広告審査が適切に行われず、LowerMyBills.com(消費者金融)といった企業からのストーリー内広告が流れた。
「消費者のフィード上に、こういった広告を表示させてしまうことで、インスタグラムが広告を承認している形だ。Facebookがフェイクニュースをより管理しないといけなくなったのと同様に、インスタグラムも偽プロダクトの広告をより管理しないといけない」と、リッチアーディ氏は語った。
Shareen Pathak(原文 / 訳:塚本 紺)