スポーツ飲料メーカーとして、世界的に有名なゲータレードは、ブランディングを目的としたVR(バーチャルリアリティ)コンテンツを製作。メジャーリーグのスター選手ブライス・ハーパーが、ワシントン・ナショナルズ戦でバットを振るという場面をリアルな体験としてユーザーに提供した。利用したのは、VRヘッドセットとヘッドフォンという2つのデバイス。アクションビデオ、CG動画、バイナリーオーディオ(頭の位置により聴こえ方が変わる音源)などの技術を組み合わせることにより、一体感のある一人称体験を作り上げた。
スポーツ飲料メーカーとして、世界的に有名なゲータレードは、ブランディングを目的としたVR(バーチャルリアリティ)コンテンツを製作。メジャーリーグのスター選手ブライス・ハーパーが、ワシントン・ナショナルズ戦でバットを振るという場面をリアルな体験としてユーザーに提供した。
利用したのは、VRヘッドセットとヘッドフォンという2つのデバイス。アクションビデオ、CG動画、バイナリーオーディオ(頭の位置により聴こえ方が変わる音源)などの技術を組み合わせることにより、一体感のある一人称体験を作り上げた。
ブライス・ハーパー選手とともにVR体験を楽しむ少年野球チームメンバー
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2日間に渡った映像制作で利用されたのは、14機ものGoProカメラ。その後、ハーパー視点でアスリートの生の体験や動きを再現するのに、3カ月もの編集期間を要したという。
VR体験では、バッターボックスに立つハーパー選手の視点で撮影された全天球映像とともに、彼の心のなかの声を再生。まるで、自分がハーパー選手になり変わったのような臨場感を味わえる。VR体験を得るには専用のハードウェアが必要だが、YouTube360に誰でも楽しめる全天球映像コンテンツがアップロードされた。
YouTube360にアップされた全天球映像。VRヘッドセットで試聴すると、よりリアルな体験となる
「試合中のプロ野球選手がカーブと速球を見分ける瞬間、頭の中で何を行っているのかをユーザーに体験して欲しかった」と、ゲータレードのユーザーエンゲージメントディレクターのケニー・ミッチェル氏は語った。
VR技術が熟成しつつあるなか、ブランドはVRに特化したマーケティングを次々と展開しはじめた。しかし、VRはいまだ高価であるという点から、ブランドコンテンツを制作してもディストリビューションできないという問題がある。実際、いまのところ主要なVRハードウェアは、おおよそ200米ドルほどするのだ(Googleカード・ボードという段ボールでできた低価格のVRキットは例外で、30米ドルほどで購入できる)。
コンテンツマネジメント会社リシティによると、VRマーケティングを実施するためにブランドは、2つの課題をクリアしなくてはならないという。1つ目はVRコンテンツの制作方法の習得、2つ目はコンテンツディストリビューションのマネジメントだ。2016年から消費者向けのVRハードウェアが続々と販売されるため、VRコンテンツのディストリビューションは、さらに加速すると予測される。
先述のミッチェル氏はメジャーリーグの試合に限らず、将来的には多種多様なスポーツイベントの実体験ができるようなコンテンツを作っていきたいと語る。「私たちはVRが開発されているからそれに乗っかったのではない。私たちは今までと違う、新しいことに取り組みたいと考えたのだ」。
Rachel Raudenbush(原文 / 加藤鈴)