ロマンチックで超フェミニンなカルト的ブランド、ラブシャックファンシー（LoveShackFancy）と提携した最新コラボで、GAPはコテージコア（田舎をイメージした美学:cottagecore=cottage（田舎小屋）＋core（熱狂的な））を目指している。

春のバービーコレクションに続き、 今年第2弾となる8月4日発売のガーリーなコラボレーションのラインは、ベーシックファッションの小売業者であるGAPのシグネチャーとなっているロゴが入ったトレーナーに、ラブシャックファンシーのフローラルなアレンジを加えている。GAPの再建努力のなかでローンチされる今回のコレクションの顔に起用されたのは、グラミー賞受賞ミュージシャンのシアラ氏だ。昨年不運なかたちで終了したイージー（Yeezy）とのコラボレーションもあり、GAPの今年第1四半期の売上は13％減少している。

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ロゴ入りの花柄パーカーは、ジーンズ、スカート、ワンピース、パンツ、アウターウェア、ボタンダウン、アクセサリーを含む全76点のコレクションのうちのひとつ。発売日には両ブランドのウェブサイトで販売される。どちらのブランドも全実店舗でコレクションのアイテムを販売するが、一部の店舗では全アイテムを扱う予定だ。このコレクション向けにリニューアルされたGAPのベストセラーのスタイルには、90年代を象徴するルーズデニムやカーキ、ヴィンテージポケットTシャツ、ロゼットをあしらったビッグホワイトシャツなどがある。

世代を超えて親しまれているブランド同士のコラボレーション

GAPのグローバルCEO兼プレジデントのマーク・ブライトバード氏は、メールで「当社のアイコニックな製品を再発明する機会がすべてのコラボレーションの基礎であり、ラブシャックファンシーのようなパートナーに、当社のアイコンを独自のレンズを通してリミックスするためのプラットフォームを提供している」と語り、コラボレーションは「我々のコレクションの関連性を維持している」と付け加えた。

また、ラブシャックファンシーの創業者でクリエイティブディレクターのレベッカ・ヘッセル・コーエン氏は、メールで次のように述べている。「ラブシャックファンシーとGAPはどちらも世代を超えて共有されてきたスタイルを支持している。当社はよりロマンチックでノスタルジック、GAPは実用的でベーシック。両社の美学を融合させるのは本当にモダンな感じがする」。

今回のコレクションのキャンペーンは、ファッションフォトグラファーのゾーイ・グロスマン氏がスタイルを撮影し、シアラ氏がモデルを務めた。また、シアラ氏の2人の子ども、フューチャーとシエナも登場し、コレクションのお揃いの子供服を紹介している。このコレクションのアイテムはウィメンズ、メンズ、キッズ、ベビーと全世代を対象としている。

新規顧客をGAPファミリーに迎え入れるチャンス

フェアリーテールのようなスタイルで、ミレニアル世代から10代の若者に好まれているラブシャックファンシーのワンピースの価格帯は、通常300ドル（約4万3000円）から700ドル（約10万円）だ。GAPとのコラボレーションアイテムの価格は、それよりも入手しやすい17ドル（約2440円）から248ドル（約3万5630円）となる予定。ブライトバード氏によると、2つのブランドの顧客層には重なる部分があるという。「両方のブランドを知っていて、そこで買い物をしている顧客がいる一方で、これは世界中の新規顧客をGAPファミリーに迎え入れるチャンスでもあると理解している」と同氏は語った。

「今回のコラボレーションは、そのストーリー性から特に私の心情に近いものがある。80年代から90年代に育った私にとって、GAPは究極の存在だった。新学期が始まるたびに、母に連れられてGAPで新しい洋服を買っていた」とコーエン氏。同氏は、GAPには「信じられないほどのスケール」があると述べている。

コーエン氏は、コレクションのサイズ展開についても言及している。2022年、Business Insider（ビジネスインサイダー）の記事は、ラブシャックファンシーを「スキニーでリッチな女の子の夢の世界」と表現した。

「より手に入れやすい価格帯とプラスサイズを含むサイズ展開で、ラブシャックファンシーの喜び、気まぐれ、ロマンスを、信じられないほど多様なGAPのコミュニティに紹介できることにとても興奮している。誰もが自分の着るものに力強さや自信、美しさを感じるべきだという、当社のコミットメントと信念を反映している」とコーエン氏は語っている。

コラボによってイメージを刷新し、消費者に個性的な商品を提供

4月、GAPは7月公開の映画をめぐるバービーのブランドコラボレーションマニアに加わった。また、親会社であるGAP Inc.の新CEOとして、マテル（Mattel）の元COOのリチャード・ディクソン氏が8月22日に就任することが7月下旬に発表されている。

「コラボやパートナーシップによって当社のアイコニックなスタイルに新鮮なイメージをもたらし、消費者に新しく個性的なものを提供することで成功を収めてきた」とブライトバード氏は語った。GAPは2022年にもファッションアイコンのダッパー・ダン氏とのコラボを成功させている。

そしてラブシャックファンシーもコラボレーションに熱心だ。2013年のローンチ以来、サーフウェアブランドのハーリー（Hurley）、スキーウェアブランドのボグナー（Bogner）、アクティブウェアブランドのバンディエール（Bandier）、アクセサリーブランドのソフィアウェブスター（Sophia Webster）、バッグブランドのステイト（State）、ドールブランドのアメリカンガール（American Girl）、ホームブランドのポッタリーバーン（Pottery Barn）などに、ブランドのシグネチャーである花柄やフリル、レースを提供してきた。

アディダスと同様、GAPも昨年のカニエ・ウェスト氏の騒動が原因で終了したイージーとのパートナーシップの影響をいまだ払拭できずにいる。2022年9月、GAPはウェスト氏の反ユダヤ主義的な発言を受けて、イージーとの10年間の契約を2年で打ち切ると同時に、2022年1月に発表されていたイージーとバレンシアガ（Balenciaga）とのパートナーシップも終了させた。しかし、だからといってこのファッション小売業者が新たなパートナー探しを躊躇することはない。

ブライトバード氏によれば、GAPには「世界に公表できる日が待ちきれないほど」のさらなるコラボレーションの発表が控えているという。

[原文：Gap and LoveShackFancy’s new collab features Ciara in cottagecore sweatshirts]

LIZ FLORA（翻訳：Maya Kishida 編集：山岸祐加子）