女子W杯、FOX のストリーミング 毎分36万人超が視聴

「テレビは死んだ」という常套句は、もはや死んだ。しかし、リアルタイムのテレビのリーチをプラットフォームでどう伸ばすかに関する議論は、いまもきわめて活発だ。

FOXスポーツ(Fox Sports)が放映した女子サッカーW杯を例にとろう。オーディエンスの大半が従来のテレビで試合を観戦したのは同社の予想通りだった。だが、同社はTwitterなどのプラットフォームを駆使し、サイトやアプリでのストリーミング視聴を伸ばした。獲得したオーディエンスの多くはおそらく、仕事中だったせいで、平日の試合をテレビでは見られなかったのだろう。

2019年の6月20日から7月2日までに行われた米国代表の4試合は、いずれも平日開催だった。これらの試合におけるストリーミングのオーディエンス数は、FOXスポーツで放送された女子サッカーW杯試合のなかで上位を独占した。トップは7月2日に行われた米国対イングランドの準決勝で、1分あたりの平均視聴者数は36万1000人を記録した。これに対し、日曜開催だった決勝戦のストリーミング視聴者数は、平均で1分あたり28万9000人だった。これらの数値は、昨年の男子サッカーW杯決勝戦の1分あたり平均50万人には及ばないものの、前回2015年の女子W杯での記録を上回り、米国対イングランド戦におけるストリーミングのオーディエンス数は、2018年のNFL NFCチャンピオンシップの1分あたり平均48万6000人に迫る値だ。

Twitterでもライブ番組

FOXスポーツがテレビとストリーミングの放映権を獲得し、今年放送した女子W杯のオーディエンスの大半はテレビが占めた。ニールセン(Nielsen)によれば、決勝戦を従来型テレビで視聴した人は1400万人にのぼった。

「我々は『どこにでもいるべき(we need to be everywhere)』という戦略方針のもと、最適なプラットフォーム、タイミング、オーディエンスの特定に努めている」と、FOXスポーツのデジタル担当エグゼクティブバイスプレジデント、デビッド・カッツ氏はいう。

FOXスポーツは試合の開催日に合わせてTwitterでライブ番組を配信し、オーディエンス数を伸ばした。昨年の男子W杯でもTwitterライブ番組を配信したが、成果は今回の方が上だった。FOXスポーツの広報担当者によれば、今年の番組はエピソードあたり平均41万8000回、大会通算で1040万回視聴され、昨年の番組を47%上回った。

インタラクティブな放送

昨年の番組が事前収録したものを試合のタイミングで配信したことに対し、今年の番組は実際のライブ配信だったことも好成績の要因のひとつだろう。ライブにこだわったことで、オーディエンス参加の要素を盛り込むことができた。たとえば、番組内で視聴者のツイートを取り上げ、ライブ投票を実施し、決勝戦のハーフタイムには20分間のQ&Aコーナーを設けた。

大会中にゴールが決まるたび、FOXスポーツは5分以内にそのゴールの映像をTwitterに投稿し、試合にチャンネルを合わせるよう促した。

「我々は1カ月の開催期間中、アプリとソーシャルプラットフォームを合わせて3000本以上の動画コンテンツを製作した。これらはすべて試合のライブ放送への関心を高めるためだった」と、カッツ氏はいう。

テレビの減少を補うため

主要スポーツリーグは、従来型テレビとオンラインを問わず、あるいは両者の合計で、可能なかぎり最大のオーディエンス数を獲得する目標を隠そうともしない。たとえばNBAの場合、ESPNの報道によると、直近のシーズンで視聴率が低下したため、放映権契約は2025年まで有効であるにも関わらず、NBAコミッショナーのアダム・シルバー氏は現行の契約のオーディエンス数変動に関する条項を書き換えようとしている。

従来型テレビのオーディエンス数減少を補うため、テレビネットワークがストリーミングを活用することは、広告主にとってもますます重要になってきている。今年のアップフロント交渉では、広告主はテレビネットワークに対し、従来型テレビの衰退を食い止めるためにデジタルオーディエンス数を伸ばせるのかや、ネットワーク側が求める拠出に見合った成果は期待できるのかといった質問が相次いだと、あるエージェンシー幹部は語った。

Tim Peterson (原文 / 訳:ガリレオ)
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