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「我々の目的は、シェア拡大ではなく『市場自体』の拡大」:デビッズティーの元創設者デビッド・シーガル氏

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こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です
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デビッズティー(DavidsTea)を2016年に退職後、デビッド・シーガル氏は共同創設者でショッピファイ(Shopify)のプレジデントであるハーレイ・フィンケルシュタイン氏とともに、ふたつ目の紅茶ブランドとしてファイヤーベリーティー(Firebelly Tea)を11月16日に立ち上げた。

デビッズティーは2015年6月に新規株式公開によって株式を公開し、2016年3月にはデビッズティーのスポークスパーソンが、「起業家としてほかの可能性を追求する時間が必要なため」シーガル氏が同社を退職すると発表した。そのあとで、シーガル氏はファストカジュアルの農家直送レストランチェーンであるマッドラディッシュ(Mad Radish)を開始した。そのあいだに、デビッズティーは大きな財務上の困難と売上減少を理由として、昨年にカナダで166、アメリカで44の店舗を閉店した。同ブランドは今年も苦闘を続けている。同社は第2四半期の決算発表において、売上が前年比で18.6%減少し、430万カナダドル(約3億8700万円)に落ち込んだことを報告している。

シーガル氏は現在、ファイアベリーにより紅茶の世界に戻ろうとしている。ファイアベリーは自らを「21世紀の紅茶ブランド」と称し、「今日の生活に合わせて精選された」商品を提供している。ファイアベリーは開始時点で20種類のフレイバーティー、7種類のティーメーカー、8種類のギフトセットを取りそろえており、価格帯はレモンバーベナのルーズリーフブレンドが15ドル(約1710円)、大型ティーポットが80ドル(約9120円)となる。これらの価格はデビッズティーや、ハーニー&サンズ(Harney & Sons)およびスタッシュティー(Stash Tea)といったプレミアムブランドと同等だ。デビッズティーは現在もカナダに24の店舗を抱えており、最盛期には200店舗を超えていたが、ファイアベリーはD2Cのブランドサイトとしてのみで販売を行い、小売店パートナーは持たない。

シーガル氏は、アメリカ人の飲み物の習慣を変えること、デビッズティー以来店舗の役割がどのように変化したか、そしてeコマースの可能性について、米モダンリテールに語ってくれた。以下の対談内容は簡素さと明瞭さを考慮し、編集を加えたものである。

◆ ◆ ◆

――あなたが2016年にデビッズティーを退職した理由と、今年になって再び紅茶の小売分野に戻ってきた理由を聞かせてほしい

私たちはデビッズティーを作り上げるのを大いに楽しんだ。これはすばらしい体験だった。私はデビッズティーでの仕事を実に誇りに思っている。私たちは紅茶に関するいくつかのステレオタイプを打破し、紅茶産業を多少前に進めることができた。しかし、急速に成長して株式を公開した大企業で見られるように、意見の食い違いが発生したため、私はこの会社を去るべきときだと判断した。私は紅茶業界に戻るつもりはなかった。実際に5年間離れていたわけだが、それでもこの業界を愛していた。私は商品が好きで、紅茶を作り出すのも好きだ。

過去20年間において、飲料品の品質は向上した。私が若かった頃、テキーラは……ひどい品質で、私は20代半ばの頃、二度とテキーラを飲まないと誓ったものだ。しかし今日では、非常に質の高いハイエンドのテキーラを飲むことができる。そして、ほとんどの飲料にも同じことが起きた。しかし紅茶だけは別だ。

――あなたの新しいブランドについてもう少し聞かせてほしい。「21世紀の紅茶ブランド」とは具体的にどのような意味なのか?

ショッピファイのプレジデントであるハーレイに会ったときに、彼は午後にコーヒーを飲むと、神経過敏になり眠れなくなると語っていた。私が彼のためにこの紅茶のコレクションを企画したところ、彼はそれをとても気に入ってくれた。私たちは、クリエイター、起業家、成功者、実現者、実力者を後押しできる飲料が紅茶だと気づいた。しかし、紅茶にはさまざまなステレオタイプが存在していた。多くの場合、女性的であるとか、病気のときに飲むものだとか、ヒッピーの飲み物だと考えられていた。

私たちは、アメリカの多様な文化のなかで、本当に良質な紅茶が定着することを目指している。私たちはデザインを重視することにした。紅茶の箱のデザインの元になったのは本棚に並んだ本だった。私たちの用品はすべて、スマートなデザインで統一感を持つコレクションとして設計されている。カウンターに置きたくなるようなデザインで、場所を取らないようなものだ。21世紀の紅茶ブランドとは、21世紀の生活を考慮したものだ。従来のティーバッグはそこらじゅうに散らばるか、キャビネットの暗い片隅にしまい込まれるものだった。私たちは、味と同様に保管についても重視したいため、パッケージも優れたものにする必要があった。また、私たちは箱の中のバッグを100%堆肥化可能にした最初のブランドのひとつだ。

――デビッズティーは、自社のビジネスのために多くの実店舗を設立したが、ファイアベリーはD2Cサイトにより開始された。ファイアベリーでこのようなオンライン専売モデルを選択した理由と、eコマースにどのような可能性を見出しているかを聞かせてほしい。

私は、世界が大幅に変化したと考えている。小売店舗はもう流通を行う場所ではなく、商品を見つける場所だ。今後何らかの小売の体験がある可能性は否定しないが、それはまさしく体験であり、商品を購入するための単なる小売店ではないだろう。

2008年にはすでにオンライン注文は確かに存在していたが、注文を行うことも、店舗を作り上げることも、今日のように簡単ではなかった。2008年にはなんとサーバー室があったので、それくらい当時とは変わっているということだ。当時の私たちはアロケーションチーム総出で、各店舗や倉庫にどれだけの商品を送るべきかを調べていたが、そのような作業はもう必要ない。今日ではオンラインモデルがはるかに効率化されたため、すべての労力はデザインや商品、そして商品のことを人々に伝えるために費やすことができる。

――アメリカの飲酒とカフェイン文化において、紅茶がどのような役割を果たすと見ているか? 紅茶の分野がコーヒーを凌駕する可能性はあるだろうか、そしてファイアベリーはそれを目標としているのか?

目標はこうだ。私たちは人々に、朝のコーヒーは自由に楽しんでほしいと伝えたい。コーヒーはすばらしいものだ。私はコーヒーに何も不満を持っていない。金曜日の夜に酒を飲むのもいいことだ。しかし午後2時には緑茶や紅茶を飲もう。

夜8時や9時、寝る準備をしている頃ならいつでもいいが、夜遅くにはカップ一杯の紅茶を飲もう。火曜日や水曜日の夜、友人と過ごすときでもいいだろう。紅茶を飲んでも問題ないのだ。明日の朝6時に起きて仕事に行かなくてはならないとわかっているときにいつもアルコール飲料を口にする必要はない。多くの紅茶メーカーは市場でのシェアを拡大しようと試みているが、我々の目的は市場そのものを拡大することだ。

[原文:Former DavidsTea founder David Segal on his new brand, Firebelly Tea]

Maile McCann(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Firebelly Tea