2021年後半、D2C水着ブランドのアンディースイム(Andie Swim)はパンデミックにより推進されたeコマースの急成長に沸いていた。同社は利益を上げて成長してはいたものの、創業者のメラニー・トラビス氏は水着市場で「軍を抜いて先頭に立つ」能力があると考えていたという。そこで、アンディーは2021年12月、サベージ × フェンティ(Savage x Fenty)にも投資しているジェイ・Z氏の投資会社、マーシーベンチャーズ(Marcy Ventures)から2000万ドル(約27.7億円)を調達し、成長に向けたシーディングを開始した。これにより、創業からの6年間で調達した資金総額は3000万ドル(約41.6億円)を超えた。
小売拡大とドロップコレクションの成功
1年半が経ったいま、そのような尽力の多くが実を結び始めている。2021年以来、アンディースイムは俳優のミンディ・カリング氏のようなセレブやインフルエンサー、ウィメンズウェアブランドのファンムモン(Fanm Mon)などのブランドと定期的にコラボレーションをローンチしている。さらに、新しい卸売戦略を取り入れ、昨秋にノードストロム(Nordstrom)とのテストを行った後、ノードストロームで販売することになった。3月にはマリブに初の常設旗艦店をオープン。現時点では、アンディーの小売プレゼンスは旗艦店とノードストローム1社に限られているが、ポップアップショップを開く可能性はあるとトラビス氏は語っている。
「当社にとっては、非常にアクティブな時期が続いている」とトラヴィス氏。「集めた資金の多くは雇用に充てられた。アンディーの新しい計画・運営担当バイスプレジデントであるプージャ・パリク氏のように、グロシエ(Glossier)や他企業から幹部を招いた。現在、3週間ごとに新製品を発売している。ノードストロムで取り扱われているが、これは大きな動きだ。当社のように競争の激しいカテゴリーにいる場合は、多様化しなければならない」。
定期的なドロップはアンディースイムにとって、特に高い成果を出している。今年は収益の25%増を予想しており、これは2018年の収益と比較すると75%の増加を意味する。通常は少量生産であるためコストが制限され、また、アンディーの話題性を維持することができる。たとえば、6月には話題の新作映画に合わせて、バービー(Barbie)テーマのオールピンクのコレクションをリリースした。
卸売の拡大計画
しかし、トラヴィス氏がアンディーの継続的な成長の可能性がもっとも高いと考えていることとは?
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy」の記事です。
2021年後半、D2C水着ブランドのアンディースイム(Andie Swim)はパンデミックにより推進されたeコマースの急成長に沸いていた。同社は利益を上げて成長してはいたものの、創業者のメラニー・トラビス氏は水着市場で「軍を抜いて先頭に立つ」能力があると考えていたという。そこで、アンディーは2021年12月、サベージ × フェンティ(Savage x Fenty)にも投資しているジェイ・Z氏の投資会社、マーシーベンチャーズ(Marcy Ventures)から2000万ドル(約27.7億円)を調達し、成長に向けたシーディングを開始した。これにより、創業からの6年間で調達した資金総額は3000万ドル(約41.6億円)を超えた。
小売拡大とドロップコレクションの成功
1年半が経ったいま、そのような尽力の多くが実を結び始めている。2021年以来、アンディースイムは俳優のミンディ・カリング氏のようなセレブやインフルエンサー、ウィメンズウェアブランドのファンムモン(Fanm Mon)などのブランドと定期的にコラボレーションをローンチしている。さらに、新しい卸売戦略を取り入れ、昨秋にノードストロム(Nordstrom)とのテストを行った後、ノードストロームで販売することになった。3月にはマリブに初の常設旗艦店をオープン。現時点では、アンディーの小売プレゼンスは旗艦店とノードストローム1社に限られているが、ポップアップショップを開く可能性はあるとトラビス氏は語っている。
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「当社にとっては、非常にアクティブな時期が続いている」とトラヴィス氏。「集めた資金の多くは雇用に充てられた。アンディーの新しい計画・運営担当バイスプレジデントであるプージャ・パリク氏のように、グロシエ(Glossier)や他企業から幹部を招いた。現在、3週間ごとに新製品を発売している。ノードストロムで取り扱われているが、これは大きな動きだ。当社のように競争の激しいカテゴリーにいる場合は、多様化しなければならない」。
定期的なドロップはアンディースイムにとって、特に高い成果を出している。今年は収益の25%増を予想しており、これは2018年の収益と比較すると75%の増加を意味する。通常は少量生産であるためコストが制限され、また、アンディーの話題性を維持することができる。たとえば、6月には話題の新作映画に合わせて、バービー(Barbie)テーマのオールピンクのコレクションをリリースした。
卸売の拡大計画
しかし、トラヴィス氏がアンディーの継続的な成長の可能性がもっとも高いと考えているのは、卸売だ。現時点ではeコマースによる直接販売が売上の最大の部分を占めており、卸売は約10%である。だが、トラビス氏は、卸売事業を売上の50%を占めるまでに成長させたいという。
トラヴィス氏は、大規模な取引を開始するまで創業から6年待ったのは戦略的な動きだったと述べている。確立されたブランドになれば、どの卸売業者とどのようなキャパシティで提携するかの選択肢が多くなるからだ。たとえば、ノードストロームはアンディーの製品カタログの約70%を占める季節を問わないコアスタイルのみを購入しており、バービーカプセルのような期間限定コレクションは依然としてアンディーの直接チャネル限定となっている。
実店舗は安定した収入源
新しい旗艦店については、多くのポップアップ(中には1年近く続いたものもある)から学んだ教訓の多くをこの初の常設店舗に取り入れているとトラヴィス氏は語っている。まず、これらのポップアップはどの地域でどの製品が最適かを特定するのに役立った。同氏によると、マリブの店舗では、黒のワンピース水着ばかりが売れるニューヨークのポップアップストアと比べて、ビキニや明るい色の製品がずっと速く売れるという。
顧客獲得コストが70%も上昇し、MetaやGoogleなどのプラットフォームによるポリシーの変更が一夜にしてeコマース戦略を覆す可能性があるなか、実店舗の小売はより安定した収入源になるとトラヴィス氏は語る。
「eコマースのショップを設定するのは、実店舗の設置にかかる労力の1%ほどで済む」とトラヴィス氏。「だが、店舗には実証済みの戦略がある。Shopify(ショッピファイ)ストアを立ち上げるのは簡単かもしれないが、その存在を知ってもらうのは難しい。品揃えが豊富で、適切な場所に設置されて、良い商品が揃っている店舗には、自然と人が集まるだろう」。
店舗は、MetaやGoogleなどのテクノロジープラットフォームを介するよりも、顧客と直接的な関係を構築するのにも役立つ。リテンションプラットフォーム、キャッチ(Catch)のCOO、デニア・イーバーソウル氏によると、そのような直接的な関係はリテンションの向上につながる可能性があるという。そして、ブランドが消費者とつながることができるチャネルは多ければ多いほど良い。
トラヴィス氏は、アンディーの取締役会と一緒に、多角化、特にマーケティングの多角化に注力していると述べている。同社は何年もの間、成長を目指してMetaのデジタル広告に大きく依存してきたが、現在ではマーク・ザッカーバーグ氏のデジタル帝国からの脱却を試みていると同氏は述べている。
「取締役会は、いわば、(アンディーが)自分の足で立って成長するようにと励ましてくれた」とトラヴィス氏。「そのため、実店舗、卸売、他ブランドやインフルエンサーのオーディエンスとのクロスオーバーが実現できるコラボレーションに注力している。新規顧客の獲得源をひとつに依存しないように、できることは何でも行っている」。
[原文:For growth, Andie Swim is betting on wholesale and collaborations]
DANNY PARISI(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)