食品と飲料の新興企業がメニューに登場する機会が増えてきている。そのことから、同じカテゴリーに属する多くのブランドが、同様のパートナーシップを追い求めるようになっている。
オリーブオイル企業のグラーザ(Graza)は9月初め、ニューヨーク市のスーパームーンベイクハウス(Supermoon Bakehouse)と共同で、オリーブオイルをかけたソフトクリームやエクレアケーキを発売した。この立ち上げは、ブライトランド(Brightland)とライブラベーカリー(Librae Bakery)による同様のコラボレーションに続くものだ。
こうした話題性のある食品と飲料のコラボレーションは、新興の消費者向けブランドにとってますます人気の高いマーケティングツールとなりつつある。アジア食品企業のオムソム(Omsom)は昨年、サラダチェーンのチョップト(Chop’t)と契約を結び、東南アジア系の新メニューにオムソムのソースを使用することになった。店舗に材料を供給しているのは食品・飲料企業だけではない。パーソナルケアブランドのダブ(Dove)もこのトレンドに乗り、自社のボディスクラブに着想を得たスムージーを作るため、ジュースプレス(Juice Press)と提携した。
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
食品と飲料の新興企業がメニューに登場する機会が増えてきている。そのことから、同じカテゴリーに属する多くのブランドが、同様のパートナーシップを追い求めるようになっている。
オリーブオイル企業のグラーザ(Graza)は9月初め、ニューヨーク市のスーパームーンベイクハウス(Supermoon Bakehouse)と共同で、オリーブオイルをかけたソフトクリームやエクレアケーキを発売した。この立ち上げは、ブライトランド(Brightland)とライブラベーカリー(Librae Bakery)による同様のコラボレーションに続くものだ。
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こうした話題性のある食品と飲料のコラボレーションは、新興の消費者向けブランドにとってますます人気の高いマーケティングツールとなりつつある。アジア食品企業のオムソム(Omsom)は昨年、サラダチェーンのチョップト(Chop’t)と契約を結び、東南アジア系の新メニューにオムソムのソースを使用することになった。店舗に材料を供給しているのは食品・飲料企業だけではない。パーソナルケアブランドのダブ(Dove)もこのトレンドに乗り、自社のボディスクラブに着想を得たスムージーを作るため、ジュースプレス(Juice Press)と提携した。
ブランドを試してもらうきっかけに
このようなコラボレーションに取り組んだ創業者たちによると、コラボレーションは、オンラインで話題になるとともに、顧客に自社商品を試してもらうなど、いくつかの利点があるという。顧客は新しいタイプのオリーブオイルを試すために、20ドル(約2980円)を支払う気にはならないかもしれないが、お気に入りのベーカリーがそのオリーブオイルをかけたアイスクリームを作っていれば、試してみようとするかもしれない。
食品・飲料ブランドから引く手あまたのコラボレーションパートナーのひとつが、ロサンゼルスの人気食料品であるエレウォン(Erewhon)だ。食料品チェーン店である同社は、ブランドの飲料を立て続けに出しており、モデルのヘイリー・ビーバーが監修した20ドル(約2980円)近いピンクのスムージーを発売してバイラル化した。
スキンケアブランドのエージェントネイチャー(Agent Nateur)は2022年9月、ブランドのスムージーでエレウォンと提携し、1カ月の期間中に1万6000杯以上のスムージーを販売した。この成功を受け、エレウォンは9月にこのスムージーのボトル入り商品の販売を全店舗で開始した。
エージェントネイチャーの創設者であり、レシピを考案したジーナ・コーウェル氏は、2022年にベストセラーのコラーゲンサプリメントであるホーリーメイン(Holi Mane)の販売を開始したところ、エレウォンが同社にコラボレーションの話を持ちかけたという。ホーリーメインのサプリメントを使ったこのスムージーは、髪、肌、爪のための美容万能薬という位置づけだ。
コーウェル氏は「フルサイズの商品を買う前に試せるよい方法だ」と話す。このサプリメントは、真珠パウダーと海洋性コラーゲンから作られ、1袋99ドル(約1万4800円)だが、スムージーの価格はその5分の1以下だ。
エレウォンでの販売は本質的には卸売契約と同じなので、大きな売り上げの増加はなかったものの、小売店での知名度アップに繋がった。「どの小売店に出店するかを厳選しており、エレウォンは我々の卸売先のトップ5に入る」と、コーウェル氏は述べている。エージェントネイチャーの焦点は2020年にD2C(ダイレクト販売)へと移行し、現在では売上の65%を占める。このサプリメントが「あらゆるスムージーの追加オプションとしてメニューに残る」と同氏は認めている。
ブランドの価値を共有
エレウォンのスムージー部門で最近ヒットした、もうひとつのブランド飲料は、エレウォントニックバー(Erewhon Tonic Bar)と呼ばれるもので、飲料新興企業のウィラズ(Willa’s)製のオーツミルクで作られた「パーフェクトデートラテ」だ。このラテは、食品インフルエンサーのダーダイーツ(Dada Eats)のサマ・ダーダ氏とのコラボレーションによるもので、スニッカードゥードル風味のコーヒードリンクに代わる健康的な代替品として、5月にリリースされた。
ウィラズの創設者であるクリスティーナ・ドール・ドレーク氏は、ダーダ氏とエレウォンがいくつかのバージョンを試した結果、自社製品が代替ミルクとして選ばれたと、米モダンリテールに語った。このラテのブランド提携は、エレウォンにおけるブランド認知度を高めるとともに、ダーダ氏とのオーガニックなインフルエンサーキャンペーンが生まれたと同氏は説明した。「うれしかったのは、美味しくて健康的な代替レシピを作り出すという当社の価値を共有するインフルエンサーと仕事ができたことだ」と同氏は述べた。
このラテのリリースから2カ月後、ウィラズの売上は4倍に急増した。しかし、これはTikTokとインスタグラムでいくつかのバイラルな投稿があったことや、ダーダイーツとのコラボレーションが話題になったことなど、いくつかの要因によるもので、売上の増加を促進した要因をひとつに絞るのは困難だと同氏は語った。
パーフェクトデートラテは、カフェやジュースバー、そのほかのファストカジュアルスポットとの提携を通じて、食品サービス事業を成長させるというウィラズの戦略の一部でもある。「収益化への道をめざしている創設者にとしては、これはサンプリングの機会であり、同時にB2Bの売上を生み出す機会でもある」とドレーク氏は述べた。このようなタイプの取引は、オフィスや大学などの法人顧客にも商品を供給している同社の食品サービス事業と同様の仕組みだ。「こうした店のひとつで、当社のことを知ったという話を耳にしている」。
ブランドのクロスプロモーションに
CPG(消費者向けパッケージ商品)コンサルタントのネート・ローゼン氏によると、これらのブランドのレシピは「メニューに新鮮さを吹き込み、その商品を際立たせる」。同氏はこのようなパートナーシップを、代替肉ブランドのインポッシブル・フーズ(Impossible Foods)がベアバーガー(Bareburger)のようなレストランのメニューに自社のハンバーガーを載せるという初期の戦略になぞらえている。「これによって理論的には小売の売上が増加するが、それだけでなく、すでに多くの人が訪れている店で、ブランドをクロスプロモーションするためにも良い方法だ」と、同氏は述べている。
その例として、ウィラズは、自社のオーツミルクをメニューで宣伝できるようなビジネスと、さらにコラボレーションをしたいと考えている。「お気に入りの店で当社のことを発見できるよう、これらのコラボレーションをさらに推し進めていく」とドレーク氏は述べた。
Gabriela Barkho(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Agent Nateur