高級美容ブランドのイソップ(Aesop)が出店ラッシュを続けている。
今年はニューヨークに4つの新店舗を開設し、同市における店舗数は合計14店舗になった。海外では7月にイタリアのローマ、5月には香港のコーズウェイベイに新店舗をオープンした。年末に向けて、米シアトル地域にもう1店舗を開く予定だ。
オーストラリアのブランドであるイソップは、フィジカルな店舗の拡大をめざしている。地域ゼネラルマネージャーのシルビー・キルダフ氏によると、同社はニューヨーク市を米国におけるプレゼンス拡大への「扉」とみなしている。ナチュラ&コー(Natura & Co)は、ロレアルが同社からイソップを25億ドル(約3730億円)の契約で買収したことを4月に発表した。これは美容品大手のロレアルにとっても過去最大規模の買収だ。
「イソップはニューヨークについて、アメリカのより多様な消費者と市場に入り込むための戦略的展開の一歩だとみなしている」と、キルダフ氏は語る。
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
高級美容ブランドのイソップ(Aesop)が出店ラッシュを続けている。
今年はニューヨークに4つの新店舗を開設し、同市における店舗数は合計14店舗になった。海外では7月にイタリアのローマ、5月には香港のコーズウェイベイに新店舗をオープンした。年末に向けて、米シアトル地域にもう1店舗を開く予定だ。
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オーストラリアのブランドであるイソップは、フィジカルな店舗の拡大をめざしている。地域ゼネラルマネージャーのシルビー・キルダフ氏によると、同社はニューヨーク市を米国におけるプレゼンス拡大への「扉」とみなしている。ナチュラ&コー(Natura & Co)は、ロレアルが同社からイソップを25億ドル(約3730億円)の契約で買収したことを4月に発表した。これは美容品大手のロレアルにとっても過去最大規模の買収だ。
「イソップはニューヨークについて、アメリカのより多様な消費者と市場に入り込むための戦略的展開の一歩だとみなしている」と、キルダフ氏は語る。
米国では16の州に進出
1987年に設立されたイソップは、オーストラリアのメルボルンに本社を置き、レスレクション・アロマティック・ハンドウォッシュ(Resurrection Aromatique Hand Wash)、ピュリファイング・フェイシャル・エクスフォリアント・ペースト(Purifying Facial Exfoliant Paste)、ゼラニウム・リーフ・ボディー・クレンザー(Geranium Leaf Body Cleanser)などの人気商品を含む、100を大きく超える独自の処方を有している。2012年から2022年にかけてイソップの売上は2800万ドル(約41億4000万円)から5億3700万ドル(約795億円)に成長した。買収された当時は、29の市場で395店舗を保有していた。
店舗以外にも、ホテルとのパートナーシップを長年にわたって築いてきた。昨年にはウォルドーフ・アストリア(Waldorf Astoria)ブランドと提携し、イソップの看板商品の一部をホテルやリゾート施設の客室用アメニティに採用した。
米国では現在、イリノイ州、ペンシルベニア州、テキサス州など16の州に店舗を構えている。ニューヨーク以外にもロサンゼルスやサンフランシスコなどに店舗拡大のチャンスがあると見ていると、キルダフ氏は語る。米国1号店は、ニューヨーク市のノリータ地区にある店舗で、2010年にオープンした。
「店舗をどこに開設するかは厳選している。通常は、我々のブランドに対する認知度が適切で、人通りが多いことを第一の条件にしている」と、キルダフ氏は述べる。国際都市や文化的なハブなど、同ブランドの買い物客の大部分が居住している場所を、主に店舗を開設する場所として検討していると、同氏は付け加えている。
大型店舗にも投資
店舗の多くは統一されたフォーマットで、柔らかい照明と、顧客が商品を試せる洗面台がある。規模は通常で1000平方フィート(約93平方メートル)程度だ。しかし、ニューヨークの新しいガンセボートストリートの店舗は最大店舗のひとつで、地主のオーロラキャピタルパートナーズ(Aurora Capital Associates)によると2000平方フィート(約186平方メートル)の広さがある。このような大規模な店舗にもさらに投資する予定だとキルダフ氏は述べる。
「このような大規模な店舗では、ブランドをより完全な方法で表現できる。ガンセボートの場合には、はるかに没入感のある体験も可能になる。店舗を訪問してみれば、いくつもの空間があることがわかる」と、同氏は述べている。また、ロンドンのリージェントストリートにも昨年開設した大規模な店舗がある。
コンドラットリテール(Kondrat Retail)の創設者であるレベッカ・コンドラット氏は、イソップのようなブランドにとって、店舗は決定的な役割を果たすと語る。同ブランドは何年にもわたり、このブランドに憧れるミレニアル世代の買い物客のあいだでカルト的ファンを集めてきた。より大規模な店舗により、買い物客は店員の目を気にすることなく、このブランドを探求できるようになると、同氏は述べている。
「大規模な店舗の利点は、店舗のレイアウトやマーチャンダイジングの観点から、より多くのことを試す余地があることだ。店舗の広さが500平方フィート(約46平方メートル)では工夫の余地が少ない」と、同氏は述べている。
コミュニティとつながる手段
ひとつの都市に多くの店舗を保有することで、人員の配置も効率的になると、同氏は述べる。ある店舗で商品が品切れになった場合、別の店舗から在庫を融通できる。しかし、ひとつの地域に店舗が多すぎると、互いに共食いしてしまう危険もある。
イソップのキルダフ氏は、それぞれの店舗は、同ブランドがさまざまな地域のコミュニティとつながるための手段だと語る。店舗では、LGBTQ+の著者による書籍を無償で提供した2023年のイソップクィアライブラリー(Aesop Queer Library)など、イベントやコミュニティ主体の取り組みを定期的に開催していると、同氏は付け加えた。
[原文:Following its acquisition by L’Oréal, Aesop continues its retail footprint expansion]
Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Aesop