「シネマグラフ(Cinemagraphs)」とは静止画像の一部のみが微妙に動くように作られた画像ファイルのこと。かつてのGIFアニメーションを発展させた技法として、2015年のソーシャルメディア上で瞬く間に浸透した。また、同年にはアップルが「Live Photos」としてiPhoneに搭載したことも記憶に新しい。
このブームに呼応するように、Facebookは傘下のインスタグラムでループ動画の自動再生をサポートし、Pinterest(ピンタレスト)ではこの技法を用いた広告ピンを「シネマティックピン(Cinematic Pin)」としてブランド化しようとしている。これはApple同様、プラットフォーム側でもシネマグラフ対応への動きが進行中であることの表れである。
本記事にて、5つのブランドが展開した注目すべきシネマグラフ活用事例を紹介しよう。
「シネマグラフ(Cinemagraphs)」とは静止画像の一部のみが微妙に動くように作られた画像ファイルのこと。かつてのGIFアニメーションを発展させた技法として、2015年のソーシャルメディア上で瞬く間に浸透した。また、同年にはAppleが「Live Photos」としてiPhoneに搭載したことも記憶に新しい。
このブームに呼応するように、Facebookは傘下のインスタグラムでループ動画の自動再生をサポートし、Pinterest(ピンタレスト)ではこの技法を用いた広告ピンを「シネマティックピン(Cinematic Pin)」としてブランド化しようとしている。これはApple同様、プラットフォーム側でもシネマグラフ対応への動きが進行中であることの表れである。
こうしたなか、ビールのハイネケンと小売業者のセント・ジョンなどのブランドは、カクカクした従来のGIFアニメーションより魅惑的な、このフォーマットの活用を模索しはじめている。シネマグラフのブランド利用について、Pinterestブランド戦略チームのラーシ・バーラ氏は「Pinterestにピンされた画像は、それぞれのアイデアを表現している。そこに動きの要素をもたらすことで、より明確なストーリー性をもったアイデアとなる」と、好意的にとらえているようだ。
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そして2016年、より多くのブランドがシネマグラフの活用を試みることになるだろう。ソーシャルメディアに強いビジュアルマーケティング会社、キュラレート(Curalate)のCEOである、アプ・グプタ氏はシネマグラフを「ブランド自身の創造性を発揮するための手段として有効だ」と話している。
以下にて、5つのブランドが展開した注目すべきシネマグラフ活用事例を紹介しよう。
いちはやく取り組んだハイネケン
ハイネケンはインスタグラムでシネマグラフを使った最初のブランドのひとつであり、彼らがこの技法を使い始めたのは、実に2015年の初頭にまでさかのぼる。この先見的な取り組みは、シニア・メディアディレクターのロン・アムラム氏によるもので、この年のホリデーシーズンには、Facebookとインスタグラムの双方にシネマグラフを使ったキャンペーンを仕掛けた。ハイネケンのボトル背後でクリスマスオーナメントがゆらゆら動く様子が印象的である。
アムラム氏は「この技法はインスタグラムのような芸術性に訴えるSNS上で特に有効だ。しかしこれは単に目新しいガジェットではなく、ストーリーを伝えるためのものであることに注意するべきだ」と述べている。
S・ワイツマンは大御所を起用
2015年8月には、ニューヨーク発のシューズブランド「スチュアート・ワイツマン」がキャンペーンの一環としてシネマグラフを利用した。ここではインスタグラムの動画広告枠を買い、それを閲覧したユーザーに対して、Facebookでプロダクトの記事を配信するという手法を取っている。
このキャンペーンで同ブランドは、写真家のジェイミー・ベックとケビン・ブルク夫妻による「アン・ストリート・スタジオ」を起用。このふたりはシネマグラフのパイオニアとも呼ばれる存在であり、彼らの作品によって製品の印象が一段と強調されることとなった。
ネスレは「シネマティックピン」を活用
一方、Pinterestの「シネマティックピン」を活用したのは、ネスレのアイスクリームブランドである「Dreyer’s」だ。彼らはフローズンカスタード新商品の発表に、この新技法を導入している。ここではモバイルユーザーがPinterestページをスクロールしたり、画像をターゲットすることでアニメーションが生き生きと動き出す。
Pinterestのバーラ氏は「この仕組みはまるで優しい魔法のようで、決して破壊的なものではない」と語る。「ブランドのメッセージやメリットをよりリッチに紹介できる方法だ」。
写真コンペに乗っかったトヨタ
インスタグラム上で毎週特定のテーマのもとに実施される写真コンペ「ウィークエンド・ハッシュタグ・プロジェクト(Weekend Hashtag Project)」をうまく利用したのが自動車メーカーのトヨタだ。彼らは2015年夏、スチールカメラで動画を撮るというテーマを上手に活かし、森の中で土煙を上げるマウンテンバイカーのシネマグラフを投稿した。もちろんその写真には自社のSUVがしっかり写り込んでいる。
コークは2012年には類似技法を開発
実は、シネマグラフ的な手法へ真っ先に手を出していた、最初のブランドのひとつだったのが、コカ・コーラだ。2012年8月に同社が世に出していた上記のアニメーションGIF画像は、公開からわずか2週間で8万回以上もTumblrに「ノート」された。動きを背景の青い水面だけに限定することによって、微動だにしない真っ赤なコーラの缶が浮き上がって見える。そんなコントラスト効果が目を引く1枚だ。
Tanya Dua(原文 / 訳:ワタナベダイスケ)