欧米のファッションリテーラー勢、徐々に営業を再開:ただし、試着室は立入禁止

いくつかの大手ファッションリテーラーに続き、米百貨店コールズ(Kohl’s)もまずは5月4日、続いて10日、さらに11日に実店舗の営業を再開した。無論、どの店舗にも安全対策は講じている――そのひとつが、試着室の閉鎖だ。

顧客に安心感を抱かせると同時に、失ったフットトラフィックと利益を多少でも取り戻したいリテーラー勢にとって、試着室の使用禁止は営業再開に向けた青写真の一部になりつつある。すべての試着室を立入禁止にしているところもあれば、他の試着法を模索しているところもある。ただし、 レベッカミンコフ(Rebecca Minkoff)といったブランドが言うように、試着室は店舗販売の核をなす要素であり、今後、それなしで顧客を惹き付けていけるのかは、定かでない。

ほかにも、米カジュアルブランド大手ギャップ(Gap)も5月に800以上の店舗を再開するが、トイレと試着室はすべて使用禁止にしており、フィラデルフィアを本拠とするアパレルメーカー、アーバン・アウトフィッターズ(Urban Outfitters)や米小売大手ターゲット(Target)も同様の動きを見せている。また、シアトル発の高級百貨店ノードストローム(Nordstrom)は、各々の状況に応じて、いくつかの店舗には試着室の使用を認めていくという。一方、マンハッタン5番街を拠点とする高級百貨店サックス・フィフス・アヴェニュー(Saks Fifth Avenue)など、試着室を通常どおり開放しているリテーラーの場合、試着済の衣服はすべてクリーニングを施し、24時間置いてから陳列棚に戻すことにしている。このように各社の対応にばらつきが生じている理由は、米国の大半の州が店舗営業再開の可否と消毒/清掃方法に関するガイドラインを設けている一方、不特定多数の人々が触れる商品の扱いに関する指針はないに等しいことにある。

「再開に向けて無数の要因を検討し、安全に配慮した、きわめて慎重な、段階的アプローチを採択した。来週(5月第3週)までに全店舗の約25%を再開する」と、コールズのCEO ミシェル・ガス氏はEメールで述べている。

スーツサプライの挑戦

ただし、応急的とはいえ、この措置では実店舗での買物ならではの利点が犠牲にされている。そのため、試着室の閉鎖という選択肢を端から持たないリテーラーもいる。そのひとつ、オランダを拠点に100以上の店舗を展開するメンズファッションブランド、スーツサプライ(Suitsupply)は完璧なフィッティングを実現するため、いわゆるハイタッチなエクスペリエンスの提供を重視している。同社はそこで、試着室内に透明なプレキシガラス製の仕切りを設置し、顧客との接触を最小限に抑えた採寸を可能にしたと、創設者フォッケ・ディヨング氏は言う。

「各店舗に許されている稼働率は以前よりもかなり低い」とディヨング氏。「幸い、我々の店舗はどこもかなり広いが、収容人数を制限されていることに変わりはない。そこで、対策のひとつとして共同ブラウジングを導入した。顧客は前もって店員とビデオチャットをし、試着したいものを選んでおけるし、我々はその顧客の来店に合わせてすべて揃えておくことができる。我々のビジネスはいわゆるハイタッチであり、より安全かつ簡便で、接触を最小限に抑えられる方法は、何でも試していきたい」。

スーツサプライはこの2カ月間、上海をはじめとする中国各地を皮切りに、店舗営業を着実に再開させている。5月第1週末には、アトランタやヒューストン、ダラスをはじめ、テキサス州のいくつかの店舗を再び開けた。

「なんとしても、安全な形で」

デジョン氏いわく、再開した店舗ではいずれも、最初の数週間はフットトラフィックが著しく少なかったが、これは想定内であり、その一方、足を運んでくれる顧客の購入額は閉鎖以前に比べて約30%増加しているという。また、氏によれば、再開後に顧客が来店してくれるか否かを測るデータは、いっさい集めなかったという。

「弊社の場合、オンラインはもともと売上の大部分を占めていたわけではない。全体の3割ほどでしかなく、店舗閉鎖時も急増はしなかった」とデジョン氏。「だからこそ店舗営業を再開する必要があったわけだが、再開した店の様子を見るかぎり、多くの人々は来店して買物をしたいと思っている。早く正常に戻りたいと願っている。ならば、我々としてはなんとしても、それを安全な形で提供するしかない」。

DANNY PARISI(原文 / 訳:SI Japan)