ブランドも消費者も同様に、ブランドロゴのない控えめでエレガントなあらゆるものを取り入れるようになり、昨年は静かなラグジュアリーがハイファッションの中心的な話題となった。派手さのない落ち着いたファッションの需要が高まっているおかげで、エルメネジルド・ゼニア(Ermenegildo Zegna)やロロ・ピアーナ(Loro Piana)といったブランドの人気が急上昇している。そしていま、静かなラグジュアリーのトレンドが、スニーカーにも波及している。
エレガントなメンズウェアで知られるトッド・スナイダー(Todd Snyder)は、9月13日に独自のスニーカーを発表した。トッド・スナイダーはこれまで、ニューバランス(New Balance)やコンバース(Converse)といった既存のスニーカーブランドとコラボレーションを行って様子を伺っていたが、今回はブランドとして初めてこのカテゴリーに全力で参入する。
スーツやイタリア製の服の精神をスニーカーに
スナイダー氏は声明で次のように述べている。「私自身のコート系シューズをリリースするというのは、特に我々の最初のフットウェアのスタイルや長年にわたる多くのコラボレーションに対する信じられないほどの需要を目にした経験を踏まえると、容易な決断だった。どんなブランドでも独自のシューズをリリースすることはできるが、私にとってこれは品質とフィット感に最大限の注意を払うに値するものだ」。
トッド・スナイダーのチーフプロダクトオフィサーであるアレハンドロ・レット氏は、トッド・スナイダー版スニーカーとは何かについて、チームは長い時間をかけて考えたという。そして、上質なレザーを使用した落ち着いた色調で、目立つブランドロゴのない、テニスにインスパイアされたコートシューズを考案した。その結果、スニーカーのシルエットでありながら、トッド・スナイダーの控えめな美学に合うデザイン感性を備えたシューズが完成した。
「トッド自身もスニーカーヘッズで、我々はこれまでも多くのスニーカーブランドと仕事をしてきた」とレット氏は言う。「だが、通常、コラボレーション以外では、我々はストリートウェアの世界ではあまり活躍していない。やや上品で控えめなものへと方向転換をしたが、それはトレンドに関係なく、つねに当社にとってうまくいくことだからだ。スーツやイタリア製の服の精神を拡張し、スニーカーに手工芸品の感覚を取り入れようと試みた」。
ブランドも消費者も同様に、ブランドロゴのない控えめでエレガントなあらゆるものを取り入れるようになり、昨年は静かなラグジュアリーがハイファッションの中心的な話題となった。派手さのない落ち着いたファッションの需要が高まっているおかげで、エルメネジルド・ゼニア(Ermenegildo Zegna)やロロ・ピアーナ(Loro Piana)といったブランドの人気が急上昇している。そしていま、静かなラグジュアリーのトレンドが、スニーカーにも波及している。
エレガントなメンズウェアで知られるトッド・スナイダー(Todd Snyder)は、9月13日に独自のスニーカーを発表した。トッド・スナイダーはこれまで、ニューバランス(New Balance)やコンバース(Converse)といった既存のスニーカーブランドとコラボレーションを行って様子を伺っていたが、今回はブランドとして初めてこのカテゴリーに全力で参入する。
スーツやイタリア製の服の精神をスニーカーに
スナイダー氏は声明で次のように述べている。「私自身のコート系シューズをリリースするというのは、特に我々の最初のフットウェアのスタイルや長年にわたる多くのコラボレーションに対する信じられないほどの需要を目にした経験を踏まえると、容易な決断だった。どんなブランドでも独自のシューズをリリースすることはできるが、私にとってこれは品質とフィット感に最大限の注意を払うに値するものだ」。
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トッド・スナイダーのチーフプロダクトオフィサーであるアレハンドロ・レット氏は、トッド・スナイダー版スニーカーとは何かについて、チームは長い時間をかけて考えたという。そして、上質なレザーを使用した落ち着いた色調で、目立つブランドロゴのない、テニスにインスパイアされたコートシューズを考案した。その結果、スニーカーのシルエットでありながら、トッド・スナイダーの控えめな美学に合うデザイン感性を備えたシューズが完成した。
「トッド自身もスニーカーヘッズで、我々はこれまでも多くのスニーカーブランドと仕事をしてきた」とレット氏は言う。「だが、通常、コラボレーション以外では、我々はストリートウェアの世界ではあまり活躍していない。やや上品で控えめなものへと方向転換をしたが、それはトレンドに関係なく、つねに当社にとってうまくいくことだからだ。スーツやイタリア製の服の精神を拡張し、スニーカーに手工芸品の感覚を取り入れようと試みた」。
スニーカーヘッズが考える、静かなラグジュアリー
ストックX(StockX)のスニーカーとコレクターグッズのマーチャンダイジングディレクター、ドリュー・ヘインズ氏は、2010年代後半に一般的だったロゴを多用した派手なデザインとは対照的に、ブランド要素が控えめなスニーカーへと大きくシフトしている傾向を目の当たりにしていると語る。
「スニーカーでは、ブランディングが控えめなグレー、白、黒のスニーカーへのトレンドを目にしている。誰もが欲しがる最近のスニーカーのコラボレーションには、ベースとなったモデルと微妙にしか違わないものもある」。
ヘインズはアディダス(Adidas)のサンバ(Samba)を例に挙げた。ベースとなるモデルは100ドル(約1万4800円)以下で売られている。しかし、アディダスと英国人デザイナー、グレース・ウェールズ・ボナー氏とのコラボレーションのような、人気のあるサンバのリミテッドエディションは、ストックXではその5倍から6倍の価格で売られていることが多い。通常のサンバとウェールズ・ボナー×アディダスのサンバの違いはごくわずかで、素材と後方のステッチに見られる程度だ。
「それこそがスニーカーヘッズが考える静かなラグジュアリーだ」とヘインズ氏は言う。「内情に通じているほかの誰かだけが認識できるような、ほんのちょっとした違いなんだ」。
ミニマルなブランディング
昨年、黒と白のシンプルなカラーのクラシックなシルエットであるナイキ・ダンク・パンダ(Nike Dunk Panda)は、ストックXでこれまでにもっとも売れたスニーカーとなった。一方、昨年ニューバランス(New Balance)のメイド・インUSA(Made in USA)ラインを引き継いだエメ・レオン・ドレ(Aimé Leon Dore)の創業者テディ・サンティス氏のようなデザイナーは、より控えめなスニーカーを取り入れている。これまでのところ、ニューバランスのサンティス時代の配色は落ち着いた傾向が主流となっている。一部のスニーカーは、クラシックなニューバランスの「N」のロゴをアッパーと同じ色にすることで実質的に目立たなくしている。
ラグジュアリーブランドでは、トッド・スナイダーやゼニアがスニーカーを取り入れつつも上品さをキープしている。2020年に発表されたゼニアのスニーカーで、ミニマルなブランディングと落ち着いた色が特色のトリプル・ステッチ(Triple Stitch)は、同ブランドでもっとも売れているフットウェアスタイルである。その売上高は、昨年1年間で540%以上も増加した。
派手なラグジュアリーから静かなラグジュアリーへ
レット氏いわく、スニーカーやストリートウェアに静かなラグジュアリーの美学が訪れるのは必然的な流れだ。
「すべてのラグジュアリーは長いあいだ、静かなラグジュアリーだった。ところが、ストリートウェアが浸透したことで、コラボレーションやロゴマニア、挑発的なブランディングなど、『うるさい(派手な)ラグジュアリー』が生まれた。『静かなラグジュアリー』というのは、我々が経験してきたことへの反動を表しているので、まさにその通りの言葉だ」。
ヘインズ氏にとって、控えめでブランドロゴのないスニーカーの流行は、伝統的なラグジュアリーとストリートウェアの融合の副産物だ。最初に有名なバレンシアガ(Balenciaga)のスニーカー、トリプルS(Triple S)のように、ストリートウェアのデザインセンスがラグジュアリーに浸透していった。そして今、伝統的なラグジュアリーの発想が逆にストリートファッションに浸透しつつある。
「私はラグジュアリーが派手だった時代に育った」とヘインズ氏は言う。「ストリートウェア後の時代には、それはもうデフォルトではない。派手なものと静かなもののバランスがある。さまざまな段階を経てきている。パンデミックの間はとても騒々しい世界にいたが、いまは正常へとシフトしつつある。どちらも共存できる。カラフルで奇抜なスニーカーはいまも売れている」。
[原文:Fashion Briefing: The quiet luxury trend comes to sneakers]
DANNY PARISI(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)