ファッションにはバービーとの長い歴史がある。この有名な人形は、2015年にはモスキーノ(Moschino)のオールピンクのコレクションで、デザイナーであるジェレミー・スコット氏のインスピレーションの源となり、2023年のシャネル(Chanel)のクルーズ・ショーのルックでは、同ブランドのデザイナー、ヴィルジニー・ヴィアール氏がマリブ・バービー(Malibu Barbie)を参考にした。さらに、セリーヌ(Céline)やディオール(Dior)などのブランドが、コレクターアイテムのバービーに自分たちの作品を着せてコラボレーションを行っている。
とはいえ、レッドカーペットのようなエンターテインメント固有のマーケティング機会を通じてファッションがバービーと関与できるようになったのは、7月21日に映画『バービー(Barbie)』が公開される今年になってからのことだ。これまでバービーがスクリーンに登場した作品としては、2003年のマテル・エンターテイメント(Mattel Entertainment)の『バービーの白鳥の湖(Barbie of Swan Lake)』や2012年のNetflixのシリーズ『バービー・ライフ・イン・ザ・ドリームハウス(Barbie Life in the Dreamhouse)』といったアニメーション映画がある。だが、バービーが実写化されたのは、今回が初めてだ。
またバービーはゲーミングに参入した最初の大型知的財産(IP)消費財のひとつでもある。1996年に発売されたPCゲーム『バービーファッションデザイナー(Barbie Fashion Designer)』では、プレイヤーがゲーム内で衣装をデザインし、そのデザイン要素をプリントアウトして接着すると、現実のバービー人形に着せることができた。これは、消費者がデジタルファッションを物理的なサンプルとして目にする最初の機会となっている。
昨年の映画の発表に先立ち、バービーはファッションブランドのあいだでトレンドとなっていた。ファッションとのコラボレーションの事例を以下に紹介する。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy」の記事です。
ファッションにはバービーとの長い歴史がある。この有名な人形は、2015年にはモスキーノ(Moschino)のオールピンクのコレクションで、デザイナーであるジェレミー・スコット氏のインスピレーションの源となり、2023年のシャネル(Chanel)のクルーズ・ショーのルックでは、同ブランドのデザイナー、ヴィルジニー・ヴィアール氏がマリブ・バービー(Malibu Barbie)を参考にした。さらに、セリーヌ(Céline)やディオール(Dior)などのブランドが、コレクターアイテムのバービーに自分たちの作品を着せてコラボレーションを行っている。
とはいえ、レッドカーペットのようなエンターテインメント固有のマーケティング機会を通じてファッションがバービーと関与できるようになったのは、7月21日に映画『バービー(Barbie)』が公開される今年になってからのことだ。これまでバービーがスクリーンに登場した作品としては、2003年のマテル・エンターテイメント(Mattel Entertainment)の『バービーの白鳥の湖(Barbie of Swan Lake)』や2012年のNetflixのシリーズ『バービー・ライフ・イン・ザ・ドリームハウス(Barbie Life in the Dreamhouse)』といったアニメーション映画がある。だが、バービーが実写化されたのは、今回が初めてだ。
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またバービーはゲーミングに参入した最初の大型知的財産(IP)消費財のひとつでもある。1996年に発売されたPCゲーム『バービーファッションデザイナー(Barbie Fashion Designer)』では、プレイヤーがゲーム内で衣装をデザインし、そのデザイン要素をプリントアウトして接着すると、現実のバービー人形に着せることができた。これは、消費者がデジタルファッションを物理的なサンプルとして目にする最初の機会となっている。
バービーはファッションとポップカルチャーのアイコン
昨年の映画の発表に先立ち、バービーはファッションブランドのあいだでトレンドとなっていた。たとえば、バルマン(Balmain)は、バービーに着想を得た服のラインとNFTコレクションを制作し、2022年1月にリリースしている。
バルマンのローンチに関するGlossyのインタビューで、バービーを所有するマテル(Mattel)のプレジデント兼チーフオペレーティングオフィサーであるリチャード・ディクソン氏は、バービーをポップカルチャーとファッションの接点だと説明している。「文化をつなげることは、マテルの戦略の重要な構成要素であり、またバービーはファッションとポップカルチャーのアイコンとして世界的に認識されていて、ブランドとアート、コレクター収集価値との間に興味深い接点を生み出している」と同氏は述べた。NFTのコレクターズアイテムの人気は衰えているが、エンターテインメントとファッションの融合は衰えていない。
映画の公開にあたり、マテルはアルド(Aldo)やフォーエバー21(Forever 21)といったファッションブランドや、ブルーミングデールズ(Bloomingdale’s)などの小売店と提携している。マテルによれば、これらのアイテムは単なるファッションアイテムではなく、ファッション、バービー、ノスタルジーを結びつけるコレクターグッズであるという発想に基づいている。ブランドや小売業者は、今回の映画に関連する限定版の衣料品やアクセサリーを、あるものはライセンスモデルによって、またあるものはマテルとのコラボレーションによって制作している。マテルは今回の映画に関して、バービーの名称とロゴを使用するライセンス料をブランド側が一律で支払うか、あるいはマテルが商品売上の5~15%を受け取るという、独自のライセンスモデルを提供している。
エンターテインメントとファッションのコラボは増加傾向
6月20日、ブルーミングデールズは、プライベートレーベルのアクア(Aqua)でバービーにインスパイアされた商品コレクションをローンチ、店頭のウィンドウやディスプレイで宣伝した。「『小売は劇場である』というコンセプトで立ち上げたブランドとして、ブルーミングデールズとポップカルチャーやエンターテインメントとのつながりは、マーケティング戦略において不可欠な部分だ」と、ブルーミングデールズのエグゼクティブバイスプレジデント兼チーフマーケティングオフィサーのフランク・バーマン氏は述べている。マテルとブルーミングデールズとの金銭的な取り決めについて、同社は公表を避けた。
エンターテインメント関連の存在とファッションとのコラボレーションは増加傾向にあり、バービーには歴史とノスタルジーという付加価値がある。Netflixは2021年に同社のエンターテインメントとリンクしたファッションアイテムのオンラインショップをローンチしており、Netflixのドラマ「ホルストン(Halston)」は2021年にサックス(Saks)とニーマンマーカス(Neiman Marcus)で販売されたドレスのセレクションに影響を与えている。さらに最近では、2023年4月にラコステ(Lacoste)が、Netflixでもっとも人気の番組にヒントを得たNetflixコレクションをローンチした。映画やテレビの視聴者は、Twitterやインスタグラム、Reddit(レディット)のチャットで、スクリーン上のルックについて熱い議論を交わすことが多く、近年、エンターテインメント業界と関連性のあるものに対するファッションファンの欲求が明白になっている。
エンターテインメント、ポップカルチャー、ファッションにかつてない規模で参入することで、マテルは時代の最先端を走っている。しかもそれはまだ始まったばかりのようだ。現在、マテルは今回のバービーのローンチにあたって、玩具メーカーのハズブロ(Hasbro)を含む競合他社ともコラボレーションを行っている。さらに他の玩具についても、より多くのオーディエンスにリーチすべく、競合他社とは初となる複数年のライセンス契約を結んでいる。
アルドのノスタルジーに満ちたバービー戦略
カナダのシューズブランド、アルドはバービー・コラボレーションにさりげないアプローチを採用した。19点のバービーのシューズとアクセサリーのコレクションを開発する際、50年の歴史ある同ブランドは、ノスタルジー、特にバービーのシグネチャーであるプラスチックのスティレットヒールとアクセサリーに焦点を当てた。このコレクションは30ドル(約4180円)から120ドル(約1万6710円)で、6月28日に発売された。
「当社のキャンペーンそのものが、バービーのアクセサリーで遊びながら『もう少しサイズが大きかったら自分も身につけられたのにな』と思ったあの瞬間にインスパイアされている」と、アルドのチーフブランド&プロダクトオフィサー、ダイアナラ・グルロン・アマルフィターノ氏は語る。
今回のコラボレーション、そしてPG-13指定のバービー映画のターゲットとなるオーディエンスは、現在バービー人形で遊んでいる子どもたちではなく、むしろバービー人形が大好きだった子ども時代を今懐かしんでいる大人の世代だ。実際、マテルの2023年第1四半期決算では、バービーで遊ぶ子どもの減少が示されており、バービーの売上高は恒常為替レートで前年同期比40%減となっている。
バービーにまつわる思い出をストーリーテリングとデザインに反映
マテルとアルドのコラボレーションプロセスが開始したのは2022年7月で、8月に共同デザインプロセスがスタートしている。開始から終了まで、ざっと6~8週間を要した。
「このコレクションは私たちのチームに純粋なノスタルジーを誘発し、コレクションがさらに特別なものに思えるようになった。アイテムがどれほどエモーショナルで意図されたものなのか伝わると思う」と、グルロン・アマルフィターノ氏は言う。「インスピレーションの元となったバービーにまつわる意味のある思い出はかなりたくさんあるので、ストーリーテリングとデザインに確実に反映させたかった」。靴の箱はバービーの特徴的な窓付きのパッケージを模しており、また、コレクションを飾る小さなバービーのチャームもある。
グルロン・アマルフィターノ氏によると、アルドのチームはコレクターズアイテムのようにこの商品にアプローチしている。「体験全体を通して、バービーを象徴する何かを喚起させる必要があった」と同氏は言う。「箱を開けてからコレクターズアイテムとして棚に並べるまで、あるいは日常生活でその製品を身につけるまで、感傷的な気分になるようにしなくてはならなかった」。
今回のローンチにあたり、ブランドは店舗のサイネージ、デジタル広告、ペイドメディア、ソーシャル投稿を含む全方位に向けたマーケティングアプローチを採用した。これまでのところアルドは、ソーシャルメディア上だけでバービーコンテンツで3100万以上のインプレッションを獲得している。TikTokでは、パートナーのインフルエンサーや買い物客からのオーガニックな投稿で、#BarbiexAldoのハッシュタグが2000万回以上再生されている。
さらにアルドは、これをマテルとの1回限りの仕事とは考えていない。「来年に向けて、さらなるマジックをいくつか準備しているかもしれないが、それは見てのお楽しみ」とグルロン・アマルフィターノ氏は語った。
[原文:Fashion Briefing: How Barbie mania signals the future fashion x entertainment]
ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)