Z世代がこれまでの常識を覆したおかげで、ダイヤモンドのショッピングが変わりつつある。若い顧客は、ダイヤモンドを特別な日のために取っておくべきだとは考えていないし、特別な見た目や価格帯であるべきだとも思っていない。
8月中旬、パンドラ(Pandora)はラボグロウンダイヤモンドの取り組みを強化すると発表した。またダイヤモンドに特化したブリリアントアース(Brilliant Earth)も、TikTokを通じて新規顧客を獲得していることを決算報告で明らかにしている。
ラボグロウンダイヤモンドの会社プラムダイヤモンズ(Plum Diamonds)の創業者であるクリスティ・カリネン氏は、TikTokのようなプラットフォームを通じて多くの消費者がダイヤモンドに関する知識を深めるにつれ、ラボグロウンダイヤモンドの人気はますます高まっていくだろうと話す。「認知度が高まると、関心も高まる」とカリネン氏は述べた。2023年のスタティスタ(Statista)の統計によると、23歳から45歳の買い物客の77%がラボ・ダイヤモンドを知っていると同氏は指摘した。この割合は年々増加している。
天然ダイヤよりもラボグロウンダイヤへの注目が高まる
Z世代がこれまでの常識を覆したおかげで、ダイヤモンドのショッピングが変わりつつある。若い顧客は、ダイヤモンドを特別な日のために取っておくべきだとは考えていないし、特別な見た目や価格帯であるべきだとも思っていない。
8月中旬、パンドラ(Pandora)はラボグロウンダイヤモンドの取り組みを強化すると発表した。またダイヤモンドに特化したブリリアントアース(Brilliant Earth)も、TikTokを通じて新規顧客を獲得していることを決算報告で明らかにしている。
ラボグロウンダイヤモンドの会社プラムダイヤモンズ(Plum Diamonds)の創業者であるクリスティ・カリネン氏は、TikTokのようなプラットフォームを通じて多くの消費者がダイヤモンドに関する知識を深めるにつれ、ラボグロウンダイヤモンドの人気はますます高まっていくだろうと話す。「認知度が高まると、関心も高まる」とカリネン氏は述べた。2023年のスタティスタ(Statista)の統計によると、23歳から45歳の買い物客の77%がラボ・ダイヤモンドを知っていると同氏は指摘した。この割合は年々増加している。
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天然ダイヤよりもラボグロウンダイヤへの注目が高まる
学生ローン、ますます高額になる結婚式、住宅市場に参入する際の生活費の上昇といった経済的なプレッシャーが、若い世代のダイヤモンド選びに影響を及ぼしている。通常、天然ダイヤモンドとラボグロウンダイヤモンドでは、カラットサイズにもよるが、1000ドル(約14.5万円)から2000ドル(約29万円)の差がある。さらに、多くのZ世代やミレニアル世代は天然ダイヤモンドの採掘方法を懸念しており、代替品を求めている。2018年、米国連邦取引委員会は、炭素化学組成が採掘されたダイヤモンドと同一であることから、ラボグロウンダイヤモンドを「本物の」ダイヤモンドに分類した。
ハッシュタグ#labgrowndiamondsはTikTokで2億7640万ビューとなっている。希少な鉱物の宝石であるモアサナイトも、TikTokでは人気が高まっており、そのハッシュタグの再生回数は8億6900万ビューに達している。また、#LabGrownGemstonesは63万ビューだ。それとは対照的に、#naturaldiamondsの再生回数はわずか1億6200万ビューである。
ブリリアントアース、ドーシー(Dorsey)、ブライ(Vrai)など、多くのラボグロウンダイヤモンド企業にとって、ソーシャルメディア、特にTikTokは、顧客がいる場所で顧客に出会うという戦略の中心となっている。昨年、ドーシーの売上は前年比600%増となり、さらにラボグロウンジュエリーのアイテムのウェイティングリストが2万5000人に達した。同社は現在までに100万個以上のラボグロウンストーンを販売している。創業者のメグ・ストラチャン氏はeメールで、成功の一因はブランドのソーシャルプレゼンスにあると語った。TikTokではUGC(ユーザー生成コンテンツ)経由で有機的に認知度が高まったという。ドーシーはまだTikTokのアカウントを持っていない。
持続可能性、透明性、包括性という価値観が顧客を惹きつける
一方、ブライのプレジデント、モナ・アカヴィ氏いわく、ブランドのフォロワー数とエンゲージメントは昨年1年間でTikTokで飛躍的に伸びたと述べた。また、ブリリアントアースは四半期ごとにTikTokでのマーケティング費用を増やしている。
ブリリアントアースのTikTokのフォロワー数は38万8000人で、動画の再生回数は320万ビューに達している。売上の大半は口コミによるおすすめによって牽引されているが、ブランドのTikTokインフルエンサーが重要な原動力となっていると、ブリリアントアースのCEOベス・ガースタイン氏は言う。
「私たちは以前からTikTokに傾倒していた。TikTokは、Z世代やミレニアル世代のオーディエンスにとって重要なプラットフォームだ」と、ガースタイン氏は述べた。「TikTokでこのブランドを見つけてくれる人が増えているので、当社が強い存在感を示すことは重要だ」。ブリリアントアースは、説明やインフルエンサーコンテンツ、ブランドのスタッフによるUGCを投稿している。ガースタイン氏は、プラットフォーム別のマーケティングへの投資額については明言を避けた。
ガースタイン氏は8月9日に行われた直近の2023年第二四半期決算発表で、ターゲットとするZ世代やミレニアル世代の購買層の成長と認知度を高めるために、ソーシャルメディア優先戦略に今後も依存する計画だと述べた。最近の提携では、TikTokインフルエンサーのディーン・アングラート氏とケイリン・ミラー=キーズ氏が婚約指輪を選ぶ様子に焦点を当て、100万ビューを記録している。同ブランドはホリデーシーズンに向けてさらなる提携を開始する計画で、メンズ・ジュエリーの販売促進や、低価格のダイヤモンドギフトをTikTokで宣伝することに注力している。
「持続可能性、透明性、包括性など、Z世代にとって重要な価値観の多くが、当社の中核をなしている」とガースタイン氏は言う。「より包括的な指輪のサイズからオンラインでの肌の色に合わせた試着ツールにいたるまでのすべてが、そうした価値観に賛同する顧客を惹きつけるためのものだ」。
伝統的なダイヤモンドブランドの売上は減少
ダイヤモンドは、もはや特別な日のために取っておくものではなくなっている。さらに、若い消費者は、カラーダイヤモンドのアイテムを含むダイヤモンドジュエリーをパーソナルギフトとして購入する傾向が強まっている。ブリリアントアースは、8月初めに発表したジュエラーのローガン・ホロウェル(Logan Hollowell)とのラボグロウン宝石のコラボレーションで、このトレンドに乗り出している。
米国とカナダでは、ダイヤモンドの婚約指輪市場は2019年に286億ドル(約4.2兆円)と評価された。コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニー(Bain & Company)のレポートによると、主にZ世代のミレニアル世代が牽引し、2027年までに397億ドル(約5.8兆円)に達すると予想されており、Z世代が「2022年のラグジュアリー市場の成長全体」を占めている。この2つの層を合わせると、2025年までにジュエリーを含むラグジュアリー支出の70%を占めるようになると予測されている。
伝統的なダイヤモンドブランドが、ダイヤモンドの調達に関するコミュニケーションについて新しい基準を設定している一方で、多くの顧客はそれ以上のものを求めている。その結果、伝統的なダイヤモンドブランドの売上は減少している。デビアス(DeBeers)の2023年上半期決算報告では、売上高は前年同期比で21%減となった。一方、デンマークのジュエラー、パンドラは2022年7月にラボグロウンダイヤモンドへの恒久的な切り替えを行っている。
[原文:Fashion Briefing: Gen Z and TikTok are defining a new age of diamond shopping]
ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)