7月上旬に行われたリーバイス(Levi’s)の第2四半期決算説明会で、CEOのチップ・バーグ氏は、同社のロイヤルティプログラムが大きく成長していることを明らかにした。現在の会員数は2600万人で、2022年比で40%増加している。
「ロイヤルティ会員の取引と平均取引額は全セグメントで増加しており、メンバーシップの継続的な増加を推進する上で前向きな兆しとなっている」と、バーグ氏は説明会で述べた。「全体として、当社のデジタルおよびeコマース事業は、同業他社に比べて過小評価されたままであり、このチャネルは当社にとって非常に大きな売上と利益の機会を示している」。
顧客獲得コストが上昇し続けるなか、ファッションブランドは既存顧客を最大限活用すべく、あらゆる手を尽くしている。リーバイスのようなブランドはロイヤルティプログラムの刷新やリローンチにさらに依存するようになり、新しい特典を提供し、多くの会員を獲得するためにマーケティングでそうしたプログラムを推奨している。
たとえば、リーバイスは3月にスポンサーとしてヒップホップミュージックフェスティバルのローリング・ラウド(Rolling Loud)と提携、ロイヤルティプログラムのレッドタブ(Red Tab)の会員にフェスティバルのチケットをVIPパスにアップグレードするチャンスを提供した。2022年9月にロイヤルティプログラムが2周年を迎えたことを記念して、一部の会員に500ドル(約6万9000円)のギフトカードを配布するなど、リーバイスは時間をかけて特典やリワードの数を増やしている。
一方、他のブランドの施策は?
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy」の記事です。
7月上旬に行われたリーバイス(Levi’s)の第2四半期決算説明会で、CEOのチップ・バーグ氏は、同社のロイヤルティプログラムが大きく成長していることを明らかにした。現在の会員数は2600万人で、2022年比で40%増加している。
「ロイヤルティ会員の取引と平均取引額は全セグメントで増加しており、メンバーシップの継続的な増加を推進する上で前向きな兆しとなっている」と、バーグ氏は説明会で述べた。「全体として、当社のデジタルおよびeコマース事業は、同業他社に比べて過小評価されたままであり、このチャネルは当社にとって非常に大きな売上と利益の機会を示している」。
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顧客獲得コストが上昇し続けるなか、ファッションブランドは既存顧客を最大限活用すべく、あらゆる手を尽くしている。リーバイスのようなブランドはロイヤルティプログラムの刷新やリローンチにさらに依存するようになり、新しい特典を提供し、多くの会員を獲得するためにマーケティングでそうしたプログラムを推奨している。
たとえば、リーバイスは3月にスポンサーとしてヒップホップミュージックフェスティバルのローリング・ラウド(Rolling Loud)と提携、ロイヤルティプログラムのレッドタブ(Red Tab)の会員にフェスティバルのチケットをVIPパスにアップグレードするチャンスを提供した。2022年9月にロイヤルティプログラムが2周年を迎えたことを記念して、一部の会員に500ドル(約6万9000円)のギフトカードを配布するなど、リーバイスは時間をかけて特典やリワードの数を増やしている。
ロイヤルティプログラムを一新して新規会員を獲得
一方、他のブランドはロイヤルティプログラムを一新し、顧客をもっともコンバージョンの高い事業分野へと誘導している。サーフブランドのファリティ(Faherty)では、12月にロイヤルティプログラムをリローンチし、すべての階層の会員が店舗での限定イベントにいち早くアクセスできるようにした。共同創業者でチーフインパクトオフィサーのケリー・ドハティ氏によると、これは顧客への特典となるだけでなく、顧客を店舗に呼び込むことが売上につながる最善の方法だと判明したからだという。
「顧客獲得にかかるコストは上昇しているため、コア層のロイヤルティプログラムの構築に注力している」とドハティ氏は述べた。「当社には50以上の店舗があり、コンバージョン率は店舗がもっとも高いので、そこに人々に来てもらうためにリソースを投入している」。
Amazonプライムのような有料会員制度も、ブランドにとって定期的な顧客からの確実な取引源となっているが、新規会員の獲得は単発の顧客獲得と同じぐらい、いや、それ以上に難しいことかもしれない。Amazonの場合は、新規プライム顧客獲得に約160ドル(約2万2000円)を費やしている。一方、平均的なファッションブランドやアパレルブランドが新規顧客獲得に費やしている金額は約66ドル(約9140円)だ。Amazonとウォルマート(Walmart)はどちらも有料会員制をとっているが、最近では多くの無料オプションを提供し、こうしたプログラムへの参入価格を下げる試みを行っている。
たとえば、Amazonは今年のプライムデー期間中、月額2ドル(約280円)のプライム会員サブスクリプションを提供して新規会員と退会した会員を誘致している。一方、ウォルマートは、ウォルマートプラス(Walmart+)の30日間無料トライアルを継続して推進した。この4カ月間で、ウォルマートのプログラムは、Amazonプライムの2倍以上の非課金会員を獲得している。
消費者はロイヤルティプログラムを過大評価しがち
だが、特に業界全体の予算が逼迫するなかで、より少ない金額でより多くの価値を顧客に提供するという考えに難色を示すブランドもある。たとえば、セフォラ(Sephora)は昨年から、前年までは無料だったバースデーギフトを受け取る条件としてロイヤルティ会員に25ドル(約3460円)の購入を要求するようになった。
情報サービス会社インコグニ(Incogni)を率いるダリウス・ベレジェバス氏によると、消費者はロイヤルティプログラムがどれだけ節約になるかを過大評価しがちだという。今月行われたインコグニの調査では、人々はロイヤルティプログラムによって1カ月に平均56ドル(約7750円)の節約になると期待しているが、実際はもっと少ない場合が多いことがわかった。H&Mのロイヤルティプログラムでは1ドル(約138円)の買い物につき1ポイントが付与されるが、200ドル(約2万7690円)の買い物で200ポイントを獲得しても5ドル(約690円)のストアクレジットしか得られない、とベレジェバス氏は述べている。
[原文:Fashion brands are refreshing loyalty programs to increase customer lifetime value]
DANNY PARISI(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)