Facebookが広告主に対し、広告が表示される動画をより細かくコントロールできる機能を提供する予定だと、この件に詳しい3名のアドテク幹部が語った。この計画が実現すれば、広告主は不適切な動画のインストリーム広告にお金を払わないで済むことになる。
Facebookが広告主に対し、広告が表示される動画をより細かくコントロールできる機能を提供する予定だと、この件に詳しい3名のアドテク幹部が語った。この計画が実現すれば、広告主は不適切な動画のインストリーム広告にお金を払わないで済むことになる。
この計画についてFacebookにコメントを求めたが、回答は得られていない。だが、先の幹部らの話によれば、Facebookは、動画分析会社のオープンスレート(OpenSlate)やプリサイスTV(Precise.TV)との提携を模索しているという。これらの企業は、2017年にブランドセーフティの問題が大きく取り沙汰されたときに、YouTubeやその広告主を支援した実績を持っている。
Facebookは、2018年夏の後半にテストを計画している。これは、ブランドがユーザーの視聴している動画の内容に基づいて、インストリーム広告のターゲットを設定できるようにするための準備だ。このテストが成功すれば、コンテクスチュアルターゲティング(文脈ターゲティング)が導入されることになるだろうと、先のアドテク幹部のひとりは話した。一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:GDPR)が施行されて以来、コンテクスチュアルターゲティングはその価値が見直されつつある。したがって、Facebookが独自のコンテクスチュアルソリューションを提供するというのは、理にかなった動きだ。
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この分野における成長の鍵
いまのところ、Facebookの広告主は、インストリーム広告が表示されないようにしたい動画を、カテゴリーまたはパブリッシャー単位で選択することしかできない。そのため、購入したインストリーム広告が、名前すら聞いたことのないパブリッシャーの不適切なコンテンツに表示されるリスクがある。
「ニュースフィードのインストリーム広告では、文脈的な関連性に基づいたターゲティングがそれほどできない。どちらかといえば、オーディエンスベースのターゲティングだからだ」と、先の幹部のひとりは匿名を条件に語った。だが、「ニュースフィードに表示される動画コンテンツが増え、『IGTV』やFacebookの『Watch』の成長が期待されるなかで、状況は変わりつつある」という。「Facebookがインベントリー(在庫)をもっと売ろうと思うなら、インストリーム広告が表示される動画の種類を、ブランドがもっと細かくコントロールできるようにする必要があるのだ」と、この幹部は述べている。
Facebookにとっては、プレミアムなインベントリーでブランドセーフティの強力なオプションを提供することが、インストリーム動画広告を成長させる鍵となる可能性がある。いまでも、インストリーム広告がFacebookのビジネスに占める割合は、WatchやIGTVと比べて非常に大きいからだ。Facebookは、このようなインベントリーを増やすために、パブリッシャーからたくさんの動画インベントリーを購入しているだけでなく、ほかの企業が自社のインストリーム広告を販売することを許可している。広告主の多くは、Facebookの動画広告が得られる成果の割に高価だと感じているようだが、その一方でYouTubeに匹敵するライバルの登場をも望んでいる。
ブランドセーフティ問題
Facebookは、フェイクニュースやヘイトスピーチの追放に悪戦苦闘している。2018年のはじめには、ブランドにとってきわめて安全性が高いと考えられる動画の広告枠をブランドが購入できる機能などを発表した。だが、広告が表示される動画をほとんど選択できなかったため、広告バイヤーはFacebookの発表に慎重な姿勢を見せていた。Facebookは、そのような声に多少なりとも耳を傾けていたようだ。
広告幹部らは、Facebookの最近の動きを歓迎している。
「これまでは、ブランドセーフティに関して、GoogleやYouTubeと同じようなレベルでFacebookと連携することはできなかった。しかし、いまは、この点について話をはじめたいというFacebookの意思が感じられるようになっている」と、世界広告主連盟(World Federation of Advertisers)のCEO、ステファン・レールケ氏は述べている。「Facebookでのブランドセーフティに関していえば、広告主はブランドにとって適切なコンテンツを情報に基づいて選択できる機能を必要としている。それが実現すれば、いまよりはるかに細かい設定が可能になるため、ブランドオーナーは、自社の広告が挿入される場所について自ら責任を持てるようになる」。
一方、トータルメディア(Total Media)でメディアおよび投資担当責任者を務めるリズ・ダフ氏は、次のように述べている。「ほかのメディアチャンネルでは、不適切なコンテンツのブラックリストの作成がよく行われている。これと同じレベルのコントロールをFacebookが認めることは、ブランドによるインストリーム広告の利用拡大を阻害するのではなく、後押しするはずだ」。
「これまで、インストリーム(広告)の安全性に関する問題が注目を集めてきた。だが、この半年間で一般的の人々の認識が変化するなか、ブランドセーフティの全体的な重要性がより高まっているように思える」と、デジタルエージェンシーのウィ・アー・ソーシャル(We Are Social)でシニア有料メディアマネージャーを務めるコナー・リンチ氏は語った。
Seb Joseph(原文 / 訳:ガリレオ)