Facebook Messenger は、いまだ意義あるチャンネルか? : 新機能がブランドにもたらすもの

10月初頭にローンチされた、Facebook Messenger(メッセンジャー)の新しいプロダクト機能を使うことで、ブランドたちは13億人のFacebook Messengerユーザーとのコミュニケーションがさらに容易になった。

Messengerに対するブランドからの当初の興味関心が数年が経って収まったいま、チャットにおける広告の機会をさらに広げようとしているのがFacebookの狙いだろうと、マーケターたちは推測している。Facebookやインスタグラム(Instagram)におけるストーリーズ(Stories)の広告をMessengerへとリンクするこの新しいプロダクト機能は、Facebookのより広範な戦略の一環である、と360iの国内ペイド・ソーシャル戦略部門バイスプレジデントのフィリップ・フイン氏は語る。

「FacebookがMessengerのエコシステムを彼らが持つすべてのプラットフォームと統合し、さらに広告販売の機会を広げようとするなかで、長期的に必要なステップのひとつだと考える」と、彼は言う。

直接エンゲージメントを実現

Messengerは3年前、ブランドがカスタマーサービス、コマース、ブランド認知の向上、そしてエンターテイメント提供するためのツールとして多くの興味関心を集めた。ブランドのなかにはMessenger専用のチャットボットを開発したところもある。しかし、FacebookのAIを使ったボットが、人間スタッフの介在なしでは問い合わせの30%にしか反応できないということが分かり、興味は弱まった

しかし、Facebookのその他のプラットフォームやMessengerを使っている1億4000万のビジネスのなかには、Messengerが依然として意義を持つブランドやケースが存在している。

この新しい機能は、これまでチャットプラットフォームでビジネスを行う企業たちが抱えていたひとつの課題を解決してくれる。消費者と容易に、直接エンゲージメントを持つことができるというものだ。RPAのデジタル戦略バイスプレジデント、ディレクタであるマイク・ダーセット氏は、「ブランドが(チャットという分野に)姿を現す許可をユーザーから得ても、すぐに拒否される。それを回避するのは難しい」と語る。

ブランドたちによる全体的なMessenger活用はここ数年で低下してきているが、これは具体的にどのようなブランドや活用例であれば価値があるかに関する理解が深まっているからだと、フイン氏は言う。

「メッセージ体験が最適に」

新しい機能は、消費者との最初のコミュニケーションを生み出すのに特に便利だと、ドイチュ・ロサンゼルス(Deutsch Los Angeles)の戦略・デジタルのアソシエイト・ディレクターであるガーバーニ・チャドハ氏は言う。「マンツーマンのメッセージ状況に人々を導いてコンバージョンを生み出すのに使える素晴らしいツールだ。ブランドとエンゲージメントを持つことで、ユーザーが何かを得られるようになっている」。

通運会社のカーディナル・ロジスティクス(Cardinal Logistics)の場合、新しい運転手のリクルートにMessengerを活用した。これによって意義のある問い合わせ数がほぼ2倍になり、コストは55%も削減された。

Messengerをカスタマーサービスのプラットフォームとして使うビジネスもある。チャドハ氏によると、彼女のエージェンシーのクライアントは、Messengerにおけるカスタマーサービス関連の会話は、X世代やベイビーブーマー世代で多くが起きているとのことだ。

「Messengerやチャットボットを使いたければ、消費者が利用できるほかのオプションよりも効率的である必要があると、クライアントには常に伝えている。ビジネスの弱みを解決してくれるのであれば、使えばいい」と、ダーセット氏は言う。

「人間スタッフと自動化のあいだでのバランスを取ることで、メッセージ体験が最適になると、我々は考える」と、Facebook Messengerのピープル・トゥ・ビジネス・メッセージング部門責任者であるゼーブ・ローゼンスタイン氏は言う。「自動化によって、挨拶やFAQの紹介やパッケージのトラッキングといった特定の種類のやり取りを処理することができ、それによってより複雜な問い合わせを人間スタッフにフォーカスさせることができる」。

さまざまな分野での成功事例

カナダの航空会社、ウェストジェット(WestJet)では、カスタマーサービスにおける顧客の心理状況を測るカスタマー・センチメント分析の結果、メッセンジャー・チャットボットであるジュリエット(Juliet)をローンチしてから指標が25%ほども向上した。ジュリエットは現在、すべての顧客問い合わせのうち50%を監督しており、従来のカスタマーサービス・チャンネルと比べて5倍ものメッセージを処理できるため、従業員の生産性も改善した。

もうひとつの人気のあるチャットボット活用法はコマースだ。バーガーキング(Burger King)の場合、Facebook Messengerを通して注文するセットメニューを自分で組み合わせ、さらに支払いをし、ピックアップする店舗を指定できるようになっている。

2018年には、ファッション企業のマイケルコース(Michael Kors)は、特定のアイテムを発見し、質問に回答してくれるFacebook Messengerのチャットボットを開発した。以降、アクティブ・ユーザー数は37万5000人を越えており、毎月の新規ユーザー数は平均で4万5000人となっている。人間スタッフによるカスタマーサービスに移行させられずに、チャットボットとのやり取りで完了する割合は98.32%となっている。ほぼ全員がチャットボットのカスタマーサービスで完了している形だ。

昨年、ナイキはカイリー4スニーカーの限定リリースをFacebook Messenger上で行った。在庫すべてが1時間未満で売り切れた。

QVCの場合、Messengerを使ってスポンサードメッセージを作成するということを行っており、この結果、ほかのデジタルソリューションと比べて5.3倍の費用対効果を生んでいる。

この機能に関する改善課題

そんななか、マーケターたちが変更を期待しているのは、Messengerアプリを持っていないユーザーは、この機能を使えない点だ。彼らは誘導されても行き止まりにたどり着いてしまうと、チャドハ氏は言う。ひとつのプラットフォームでとどまることができれば、マーケターたちにとっても、より大きなメリットとなるだろうと、彼女は語った。

Deanna Ting(原文 / 訳:塚本 紺)