Facebook 、新しい ブランドセーフティ の取り組みを発表:広告主からは不十分との声も

Facebookは、ブランドセーフティ強化の一環として、広告がどんなパブリッシャーの動画に表示されるかを広告主に対して可視化する取り組みに着手した。

9月10日付けの発表によると、広告主は今後、自ブランドのWatchおよびインスタント記事のインストリーム広告が、キャンペーン中およびその前後に、どんな動画のなかで表示されるかを確認し、特定のパブリッシャーやコンテンツカテゴリーへの表示をブロックできるようになる。また、Facebookが定期的に更新するリストをもとに、表示対象の見直しや更新が可能になる。

ただし、このリストでブロックできるのは、広告主が存在を認知しているパブリッシャーだけだ。広告主の知らないうちに、不適切なコンテンツ上に広告が表示されるリスクは、依然として残る。

ホワイトリストではない

「インプレッションのあとにパブリッシャーをブロックしても、すでにダメージを被った後であり、リーチを制限することしかできない」と、コンテクストターゲティングを行うプラットフォーム、プレサイスTV(Precise TV)の代表を務めるクリスティアン・ダンクル氏はいう。「ブランド関連性と安全性を保障するためには、Facebookはパブリッシャーのホワイトリストを作成する権利を認め、広告主に主導権を完全に委ねるべきだ」。

Facebookは、広告主にホワイトリストの使用を認め、広告がどこに表示されるかを選ぶ権利を全面的に認めることもできる。だが、そうすれば、Facebookの動画からの売上は制限されるだろう。そのため、Facebookはいまある大量のパブリッシャーの動画を収益化しつつ、さらに動画インベントリー(在庫)を増やせる方法を選んだ。ブランドからの広告収入を確保したいFacebookは、プレロール広告やミッドロール広告といったフォーマットを軸にこの取り組みを行っていて、ニュースフィード上のダイレクトレスポンス広告に重きをおくブランドにはあまり関係ない。Facebookは、ホワイトリストを利用したターゲティングで利益をあげられるほど、インストリーム広告の在庫を保持していないと、この記事のために取材した4人のメディア企業幹部は指摘した。

「市場がFacebookに期待するのは、ブランドの表示環境のコントロールをもっと認めつつ、リーチや利用可能な広告在庫を減らさないことだ」と、マレンロウ・メディアハブ(MullenLowe Mediahub)でデジタルパフォーマンスディレクターを務めるセルジオ・フェルナンデス氏はいう。「ブランドセーフティ戦略として表示対象を限定することを求めるならば、ブランドはそれに伴う問題として、この最後の点を考慮に入れなくてはならない。加えて、パブリッシャーが的確に分類されていれば、広告主やエージェンシーが適切な表示場所を選択しやすくなるだろう」。

将来に向けた収益化施策

Facebookはこれまで、売上のほとんどをニュースフィードのディスプレイ広告から得ており、インストリーム広告の占める割合は小さいため、ブランドセーフティの問題はきわめて限定的だ。だが、今回に先立って発表された、Watchの配信動画を収益化しやすくするクリエーター向けの改変により、広告在庫が増加すれば、ブランドセーフティへのリスクは高まるかもしれない。

Facebookは最近、広告主にとって安全な環境を提供するための取り組みを強化している。現在進行中の計画では、広告主が第三者企業を介してインストリーム広告のユーザーターゲティングを行うことが認められる見込みで、これはユーザーのFacebook上での動画視聴履歴に基づいて行われる。Facebookの積極姿勢にもかかわらず、一部のブランドはFacebookが実施したアップデートを利用しておらず、それに気づいてさえいないこともあると、フェルナンデス氏は指摘する。

米DIGIDAYが話を聞いた別のメディア幹部は、Facebookがメディア企業に対してWatchの売り込みを始めれば、状況は変わると考えている。「現在のところ、Watchは高度にキュレーションされたプレミアムな環境であり、きわめて安全だ」と語る同幹部は、Facebookとの関係悪化を懸念して、匿名を条件に取材に応じた。「収益化のハードルが下がったことに人々が気づいたいま、状況は変わりつつある。Facebookはブランドセーフティの問題に先手を打とうとしているのだ」。

広告主がYouTubeに匹敵するスケールをもつプレイヤーを渇望している昨今、スケールと安全性に、オーディエンスについての膨大な情報が加われば、Facebookはテレビ広告を切り崩せるかもしれない。

Seb Joseph(原文 / 訳:ガリレオ)