e.l.f.コスメティックス(e.l.f. Cosmetics)とチポトレ・メキシカン・グリル(Chipotle Mexican Grills:以下、チポトレ)は、パートナーシップを一層強固にし、第2弾となるメイクアップコレクションを2021年3月10日に発表した。
メイクアップとブリトーボウルは、完璧な組み合わせのようだ。
e.l.f.コスメティックス(e.l.f. Cosmetics)とチポトレ・メキシカン・グリル(Chipotle Mexican Grills:以下、チポトレ)はパートナーシップを一層強固にし、第2弾となるコスメコレクションを2021年3月10日に発表した。これは、アイシャドウのパレット、リップグロス、アボカドの形をしたスポンジ、チポトレの茶色い紙袋を模したポーチがセットになった8~18ドル(約900〜2000円)のコラボ商品で、e.l.f.コスメティックスのeコマースサイトやチポトレのオンラインストア、そしてライブコマースプラットフォームのNTWRKで購入できる。またチポトレは3月17日、e.l.f.コスメティックスとのコラボレーションヴィーガンメニューとして、Eyes. Chips. Face. Bowlの発売も開始している。なお両社のコラボレーション第1弾は、2020年5月に発売され、わずか4分で完売した。
「我々は文化を牽引し、Z世代の消費者から意識され続ける方法を常に模索している。そのひとつが、価値観の似たブランドとのパートナーシップだ」。こう語るのは、チポトレのデジタル&オフプレミス担当 バイスプレジデント、トレッシー・リーバーマン氏だ。「熱烈なファンの熱量を高めて、彼らから愛される商品を作ることにフォーカスしている」。チポトレは以前から、e.l.f.コスメティックスをはじめ、他ブランドとのコラボレーションを行ってきた。しかし、今回のようにメニューを発売するのは、はじめてのことだ。
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取り組みの中身
一方、e.l.f.コスメティックスのCMOであるコリー・マルキソット氏は、「このメニューは、植物由来の食材や原材料を中心としたライフスタイルや、信頼性の高い原材料によって作られた商品を支援するという我々のコミットメントを伝えるもので、新鮮かつ良質な材料が使われている」と語る。
同社が、このコラボレーションにおいてプロモーションに活用しているのは、インスタグラム、TikTok、YouTube、Twitter、Clubhouse(クラブハウス)といったソーシャルプラットフォーム。TikTokでは、以前のキャンペーンでヒットした楽曲『Eyes. Lips. Face.』のリミックス版を配信している。この新しい『Eyes. Chips. Face.』を歌うのは、オリジナル版と同様、歌手のiLL WaynoとHolla FyeSixWunだ。なお、3月10日からは、人気番組『ル・ポールズ・ドラァグ・レース・オールスターズ(RuPaul’s Drag Race All Stars)』で優勝経験のあるトリクシー・マテルと、同番組の出演者キム・チが、トリクシー・マテルのYouTubeでプロモーションを開始している。
また3月5日には、事前にインスタグラムでも、無料プレゼント企画を実施。さらに3月8日の国際女性デーには、前述したe.l.f.コスメティックスのマルキソット氏とチポトレのリーバーマン氏が、Clubhouseでトークセッションを行っている。加えてNTWRKでは、DJのブリタニー・スカイがホストとなり、3月10日に商品リリースコンテンツを展開した。
コレクションのひとつであるアイシャドウパレットは、チポトレの具材からインスピレーションを得ている。また、サルサソースの赤色から着想を得たメイク・イット・ホット(Make It Hot)リップグロスは、唇をぷっくりと見せる効果が期待できるという。これらを含め、すべてのコスメには、チポトレのチップスとワカモレの無料引換クーポンが付いているという。
中国では人気の手法
認知度向上を目的とした、美容ブランドと飲食チェーンのコラボレーションは、世界中で盛り上がりつつある。米国ではまだそこまで一般的ではないものの、中国では人気の手法だ。実際、2020年12月、ロレアルは中国のケンタッキーフライドチキンと組み、同社が展開する「ミルクティー風」化粧水のプロモーションのため、実際にミルクティーを販売するポップアップショップを中国に出店。ロレアルは以前にも中国で、火鍋専門店の电台巷(Dian Tai Xiang)とコラボレーションを実施している。
ここのところ、中国のミルクティーやタピオカミルクティーのチェーン企業に関心を寄せるブランドは増えており、フェンティ・ビューティー(Fenty Beauty)、クラランス(Clarins)、ロレアル、クリニーク(Clinique)などの美容ブランドが、中国飲料チェーンの喜茶(Heytea)と提携している。一方、メゾン・マルタン・マルジェラ(Maison Martin Margiela)も、同社が展開するフレグランス商品のプロモーションのために、2020年10月にシーソー・コーヒー(Seesaw Coffee)とのコラボレーションを実現している。
こうしたコラボレーションは、新規顧客の獲得に効果的だ。マルキソット氏によると、前回のチポトレとのコラボレーションによる売上は、100%が新規顧客によるものだったという。「ブランドの真の価値は、いかに消費者とのエンゲージメントを構築し、楽しませ、さまざまな体験を提供できるかを考えることだと信じている」と同氏。「時代遅れな慣習や制約から解放されたときに、魔法は起こる」。
新しい取り組みに積極的
e.l.f.コスメティックスもチポトレも、TikTokのような新しいデジタルプラットフォームで革新的な施策を展開することで知られている。そしてこうした取り組みは、パンデミック期において重要な役割を担った。また、e.l.f.コスメティックスは、トリラー(Triller)やTwitch(ツイッチ)にも、はやくから進出している。
「チポトレの認知を高めてアクセスを増やすことは、以前から進めているデジタル戦略の一環だ。だがパンデミックによって消費者の行動が変化すると、我々はすぐに配達料を無料化したり、メニューのアレンジ方法の紹介動画をTikTokで配信するなど、幅広い施策を展開した」とリーバーマン氏は述べる。チポトレの2020年のオンライン上での売上は、前年比174%増を記録したという。
また、「e.l.f.コスメティックスとチポトレは、どちらもディスラプション、つまり境界を越えること、新しい取り組みに抵抗がない」とマルキソット氏。「我々は、新しい方法で消費者とエンゲージメントを構築したいという価値観や志を、チポトレと共有している」。
[原文:Eyeshadow with a side of guac: E.l.f. debuts second Chipotle collab]
LIZ FLORA(翻訳:田崎亮子/編集:村上莞)