5月16日、ニュートロジーナ、アルタ・ビューティ、ラッシュ、ロッティロンドンが、メタバースビューティウィーク)に参加する初ブランドとして発表された。このイベントは6月12日〜16日までディセントラランド、Roblox、スペイシャルで開催される予定で、「現実が大きく変わる」というキャッチフレーズで宣伝されている。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy」の記事です。
5月16日、ニュートロジーナ(Neutrogena)、アルタ・ビューティ(Ulta Beauty)、ラッシュ(Lush)、ロッティロンドン(Lottie London)が、メタバースビューティウィーク(Metaverse Beauty Week、以下MBW)に参加する初のブランドとして発表された。このイベントは6月12日から16日までディセントラランド(Decentraland)、Roblox(ロブロックス)、スペイシャル(Spatial)で開催される予定で、「現実が大きく変わる(Reality Gets a Makeover)」というキャッチフレーズで宣伝されている。
イベントに参加するブランドや小売業者は、既存のファンをデジタル空間に引き込むと同時に、すでにWeb3環境で活動しているソーシャルゲーミングファンとつながることを望んでいる。各ブランドは、ARフィルターやデジタルウェアラブル、ゲーミフィケーションツールとして自社製品を再考し、アクティベーションを行う予定だ。
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ニュートロジーナのようなブランドにとって、これがバーチャル世界への最初の参入となる。ニュートロジーナの親会社であるジョンソン・エンド・ジョンソン(Johnson & Johnson)は、2022年3月にデジタルグッズの商標を申請している。また、ロッティロンドンやラッシュなど他の企業にしてみれば、MBWはより大きな環境でWeb3の取り組みをテストする機会となる。
コミュニティに特別な何かを提供
エシカルな化粧品会社であるラッシュは、2021年11月にインスタグラムとFacebookを「ブランドにとってよい場所ではない」と判断して退会したことで有名である。同社はMBW期間中にメタバースのアクティベーションをローンチするほか、専用のDiscord(ディスコード)を運営するなど、コミュニティ形成に努めている。また、コミュニティ主導のラッシュの既存のサブレディットには8万1000人のファンがいるなど、Reddit(レディット)のコミュニティの上位5%にランクインしている。ラッシュの幹部は、ブランドのオーディエンスがWeb3を通じてブランドともっと関わりたいと考えている点に自信を持っている。「(MBWに参加するのは)コミュニティを念頭に置いているからだ。メタバースに参加することで、店舗では手に入らない特別な何かを現実世界でコミュニティに与えたいと思っている」と、ラッシュのグローバルブランドディレクター、アナベル・ベイカー氏は述べた。ラッシュがMBWの来場者に対して計画している報酬の正確な詳細は、まだ明らかにされていない。
ラッシュは、3月にディセントラランドで最初のメタバース空間となるラッシュハウス(Lush House)をローンチした。これは、オースティンで開催されたSXSWの期間中に運営していた現実世界のラッシュハウスを反映したもので、SXSWと同時期に行われている。3月11日から30日にかけて、ディセントラランドのラッシュハウスには1000人が訪問した。
「MBWのイベントは、色彩という意味で、さらに感覚的なものになるだろう。ベストセラー商品のひとつを大きく取り上げ、当社独自のミュージックレーベルも含まれる予定だ」とベイカー氏は言う。またラッシュスパ(Lush Spa)の共感覚の面も取り入れる。さらにユーザーの前で溶けるメタバース最大のバスボムも発表する。ラッシュは指定されたディセントラランドのウェルネスゾーンで、毎日新しい体験を公開していく計画である。
ブランドの魅力やストーリーを伝えることに大きく貢献
ロッティロンドンにとって、MBWは3度目のメタバース進出となる。昨年5月には、プロムシーズンと、セレブリティのネイルアーティストであるチャウン・レジェンド氏とのコラボレーションというふたつのアクティベーションをディセントラランドにローンチしている。それぞれの体験には2600人の来場者を集め、来場証明となるプロトコル(POAP)とウェアラブルをユーザーに提供した。MBWでは、スペイシャルにてゲーミフィケーションの自動販売機を導入、顧客は製品にインスパイアされたスキンを試すことができる。またRobloxではミニゲームを開催し、ユーザーはロッティロンドンのTikTokのベストセラーを集めてタイムを競う。ゲーム中に貯まったポイントは、現実のブランド製品の賞品と交換することができる。
シアテ(Ciaté)、ロッティロンドン、スキンプラウド(Skin Proud)といったブランドの親会社、ブランドエージェンシーロンドン(Brand Agency London)でグローバルブランド・ディレクターを務めるノラ・ズカウスカイテ氏は、次のように話す。「2022年に実施したアクティベーションで、ブランドのPOAPやウェアラブルは、本当にあっという間にすべてなくなってしまい、活動を延長してさらに多くのものを再生産することになった。いま私たちは、さまざまなアクティベーションを行い、新しいスペースに顧客を引き込んで親しんでもらおうとしている最中だ。また、すでにそこにいるオーディエンスを活用し、そのニーズを理解することで、こちらが提供する体験が押しつけがましくなく、オーディエンスが行うことを補完するものになるよう努めている」。同ブランドは今回のイベントに先駆けて、ソーシャルメディア上でMBWのアクティベーションをプロモーションする予定だ。
「現時点では、これらのアクティベーションは直接的な収益貢献にはならないが、ブランドの魅力や大きなストーリーを伝える上で大きく貢献する」とズカウスカイテ氏は述べている。
「MBWは一般に向けたライブのパイロット版であり、そこからすべての結果を共有するつもりだ」と、このイベントの共同主催者であり、クリエイティブエージェンシーのカルトロンドン(Cult London)のCEOであるブライデイ=レイ・リップスコム氏は述べている。「予算や成長段階に関係なく、好奇心旺盛なすべての美容マーケターにメタバースの可能性を示すために、マスブランドとインディーズブランドの真の調和を持ちたいと考えている」。
[原文:Exclusive: Ulta Beauty and Lush among first to join Metaverse Beauty Week]
ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)