昨年はメタバースのローンチが頻繁に行われ、グッチやアディダスなどのブランドがNFTを発表した。しかし、新しいデータによると、メタバースやそのアプリケーション、メリットは英国と米国の消費者にはあまり知られていないようである。米国の消費者の17%がメタバース=Facebookだと思っていることがわかった。
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昨年はメタバースのローンチが頻繁に行われ、グッチ(Gucci)やアディダス(Adidas)などのブランドがNFTを発表した。しかし、新しいデータによると、メタバースやそのアプリケーション、メリットは英国と米国の消費者にはあまり知られていないようである。
米国と英国の半数がメタバースを知らない
マーケティングオートメーションプラットフォーム、クラヴィヨ(Klaviyo)がまとめた2022年1月と2月のデータによると、メタバースが何かを知らない消費者の割合は、米国で49%、英国で58%だという。
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調査は英国では1月、米国では2月に実施された。米国の消費者の17%がメタバース=Facebookだと思っていることがわかり、Facebookが昨年11月に社名をメタ(Meta)に変更したリブランディングは影響力があったといえる。
メタバースのアクティベーションを通じて新しい収益源を求めている企業にとって、メタバースについて消費者を教育してこのギャップに対処することはメリットがあるだろう。
メタバースやNFTへの疑念
この調査ではデジタルリテールについても取り上げられた。1000人を越える英国の回答者のうち96%がメタバースでの購入をオプトアウトすると回答。18〜24歳で同じ回答をしたのは93%。米国では18〜24歳の65%がメタバースでは購入しないと回答、少しだけ良い結果となった。
また、米国の18〜24歳の45%はNFTという概念が何であるかわからないと述べた。NFTを知っている人たちでもそのようなデジタル資産を購入する気はないと答えている。回答者の58%はNFTへの投資を考慮するつもりはないと回答している。
Z世代はデジタルリテールを狙うブランドのターゲット層であることが多い。しかし、メタバースユーザーを、ディスコード(Discord)などのコミュニティに取り込もうとするブランドによる最近の試みはさまざまな結果となっている。ディスコードはゲーマーやNFTファンに人気があるが、若いユーザーのあいだでは主にプライベートなコミュニケーションに使われている。
企業のメタバースマーケティングへの姿勢
クラヴィヨの共同創設者でチーフプロダクトオフィサーのエド・ハレン氏は次のように述べている。「世界中のブランドはデジタルプレゼンスの向上に尽力している。ナイキやディズニー(Disney)のような企業はメタバースのための人材を必死に採用しており、この動向は我々がパンデミックから抜け出すにつれてもっと大きくなるだろう」。
また同氏はこう続ける。「だが、このデータから明らかになったのは、企業はいきなり参入する前に、メタバースやNFT、暗号通貨などの概念に対して顧客が懐疑的であるということを認識する必要性だ。まず企業は意義のある方法で顧客の声に耳を傾け、メタバースマーケティングをビジネスモデルにゆっくりと導入すべきである」。
メタバースを理解している消費者のうち78%がメタバースは単なるマーケティングの誇大宣伝と考えており、メタバースマーケティングに関するブランドの意図に懐疑的である点は注目に値する。
メタバースで他人とつながる重要性
「皆、他人から学びたいと思っている。ブランドからは学びたくないのだ」と述べているのは、クラヴィヨのカスタマーアドボカシー責任者のヴァル・ガイスラー氏だ。「(メタバースを構築する鍵は)メタバースの経験者たちと初心者たちから成るコミュニティ。そして、ピアエデュケーションというアイデアを活用することだ」。
メタバースへの参入を切望しているブランドのローンチは、メタバースの展開を見守っている消費者には短期的だと思われるかもしれない。ナイキが買収したデジタルブランド、アーティファクト(RTFKT)が築いたような長期的な戦略は成功の可能性が高いかもしれない。アーティファクトは、そのメタバースコミュニティを、たとえばグループ瞑想といった他人とつながることのできるアクティビティに関与させている。
「皆が望んでいるのは他人とのつながりだ」とガイスラー氏。「多くの人たちにとってデジタルがそれを可能にする唯一の方法であることもある。そのニーズをサポートするコミュニティを構築すれば、ブランドとして構築したいものを推し進めるのに役立つ」。
そういえば、最近ではアロヨガ(Alo Yoga)とロブロックス(Roblox)の提携があった。これでは、ゲーム内でユーザーがアロヨガを利用できるようになっていた。
最後にもうひとつ。米国の消費者の43%は暗号通貨への投資経験がないにもかかわらず、暗号通貨に関心があると述べており、39%は絶対に投資しないと回答している。なので、暗号通貨と不安定な市場であるという評判がメタバースやNFTへの参入の障壁になっているのかもしれない。だが、デパートのセルフリッジ(Selfridges)や英国のファッションブランド、ロクサンダ(Roksanda)などのファッション業界ブランドはこの状況に対応しており、両者とも法定通貨で購入できるNFTを最近発表している。
[原文:Exclusive research: 49% of US consumers are unaware of the metaverse]
ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:ぬえよしこ、編集:黒田千聖)