エヴィアンはなぜ、マーケ予算の8割をデジタルに費やすか?

エヴィアン(Evian)は、マーケティングをSnapchat、インスタグラム、そしてインフルエンサーに大きく賭ける方向に舵を切った。

エヴィアンのマーケティングは、水がどれだけ「ピュア」であるかをセールスポイントとしてフォーカスしていた以前とは大きく違って来ている。「ライフスタイルを象徴する物へと進化した。高級イベントやレストラン、ホテルで提供されているエヴィアン。ボトルに入った水は購入者の人となり、何を話題にするか、の延長となっているのだ」と語るのは、エヴィアンの親会社であるダノン・ウォーターズ(Danone Waters)のマーケティングバイスプレジデントであるオリビア・サンチェス氏だ。

アメリカにおいてエヴィアンは、広告予算の80%をデジタルに使っている。特にソーシャルメディアと検索の比重が大きい。清涼飲料水よりも水を飲む傾向にあるミレニアル世代にリーチするためには、このふたつがもっともコスト効率が良いとサンチェス氏は言う。「従来のマーケティングチェンネルから離れようとしている」。

Snapchatが大反響

現在、エヴィアンがもっとも興味を注いでいるプラットフォームがSnapchatとインスタグラムだ。この夏に行われた「Live Young(若く生きろ)」キャンペーンでは、何百万ものエヴィアンのボトルのパッケージにSnapchatで使えるコードを加えた。消費者がこのコードをスキャンするとブランド独自のSnapchat用レンズにアクセスできるというものだ。それは赤ちゃんの格好に自分の顔が当てはまって踊らせるというフィルターになっており、大人気となった。サンチェス氏によると、なんとアメリカでは2730万人がこのフィルターを利用したという。これはSnapchatユーザーの42%となる。キャンペーンが終わったいま、このブランデッドフィルターを手に入れるためにはエヴィアンが開発したゲームアプリをプレイして、迷路をくぐり抜けてエヴィアンのボトルを獲得してポイントを稼がなくてはいけない。ゲーム内で1000ポイントを獲得すれば、このSnapchatのフィルターが手に入る。

アメリカではペットボトルに入った水は今年、180億ドル(約2兆円)のマーケットとなっている。そしてリサーチ企業ミンテル(Mintel)によるとそれは240億ドル(約2.7兆円)にまで伸びるだろうとのことだ。ここにおいて、エヴィアンの競合他社はただ他のペットボトル水ブランドに限らない。浄水フィルターや水筒なども競合に含まれる。

「ターゲットのマーケットにリーチするのが目標であれば、Snapchatは非常に競争力のあるプラットフォームだと思う。Snapchatのリーチはほかのプラットフォームのものよりもコストがかかるとは思わない。というのも高いレベルのエンゲージメントでユーザーとやり取りができるからだ」と、サンチェス氏は言う。

しかし、サンチェス氏によると、エヴィアンはSnapchatの新しい3D拡張現実(AR)レンズをすぐに使いはじめる計画は無いとのことだ。

ファッションとリンク

一方、インスタグラムではエヴィアンはイベントやUSオープンなどのスポンサーイベントをストーリー上でライブ放送をしている。またファッションインフルエンサーとパートナーを組んでマーケティングも行っている。キアラ・フェラーニ氏は1100万人のフォロワーを抱えるライフスタイルインフルエンサーだが、彼女とパートナーを組んで限定デザインのガラスボトルとペットボトルを作る、ということも行った。750mlのガラスボトルと500mlのプラスチックのペットボトルにはフェラーニ氏のアイコン的デザインであるまつ毛の伸びた目のシンボルが描かれている。またパリのコンセプトストアであるコレット(Colette)の「ウォーターバー」限定で330mlのガラスボトルも用意され、そこではエヴィアン主催のパーティを開催。これら限定ボトルが合計いくつ提供されているのか、サンチェス氏は語らなかったが、世界中30カ国で提供されているという。

高級レストランや舞台裏でのランウェイモデルに飲まれているエヴィアンがファッションと結びつくのは非常に自然だとサンチェス氏は説明する。キーは自分が飲む水に何かを象徴させることだ。「自分が誰であるか、ファッションと同様に水もそれを表現する」と彼女は言った。

健康維持や向上に役立つ機能性飲料はアメリカで成長中のトレンドだが、エヴィアンは水にフレーバーや特別な栄養素などを加えたりはすることはない、とサンチェス氏は言う。

「ああいった機能性がある、という主張に対して、消費者は最終的には懐疑的になるだろう。水がどれだけピュアで、どれだけミネラルを持っているかということが一番重要になる。機能性を持った水はいずれなくなるトレンドだと思う」と、彼女は語った。

Yuyu Chen(原文 / 訳:塚本 紺)
Image from The Drum