今シーズンのロンドン・ファッションウィークでは、多くのブランドがアバンギャルドなデザインに焦点を当てていることが明らかになったが、ちょうど時を同じくしてラグジュアリーブランドのバーバリー(Burberry)のクリエイティ […]
今シーズンのロンドン・ファッションウィークでは、多くのブランドがアバンギャルドなデザインに焦点を当てていることが明らかになったが、ちょうど時を同じくしてラグジュアリーブランドのバーバリー(Burberry)のクリエイティブアイデンティティ、ウェブサイト、マーケティングのリニューアルが行われた。この2点をみれば、ラグジュアリーに変化が起きていることは明らかだ。ラグジュアリーブランドは古い戦略を見直しており、ブランドの多くがロイヤルティプログラムや顧客獲得戦略の新たなモデルを採用している。
ロンドン・ファッションウィークに合わせて開催されたデジタル・ファッションウィークでは、エピックゲームズ(Epic Games)との提携の下で9月15日にパネルディスカッションが行われ、ラグジュアリーブランドのクライアントを持つWeb3のエキスパートが、ブランドが現在取り入れている革新的な顧客獲得・維持戦術について語った。主なポイントは以下の通りである。
ラグジュアリーがWeb3に参加するのはなぜか
「Web3はデジタルファーストのエコシステムだが、我々はデジタルを活用して人々を現実世界のイベントに引き込んでいる。従来のラグジュアリーロイヤルティプログラムの主なポイントもそこにある。それがブランドがWeb3を検討している理由だ。ブランドは世界中の消費者、特にアジアやアメリカ大陸の消費者とのエンゲージメントを試みており、現実世界(の店舗)を訪れてブランドに関与するよう消費者を説得するためにデジタルの世界を活用している。そうしたことを行うのは、ラグジュアリーブランドは今日にいたるまで収益の大半を店頭販売で稼いでいるからだ」。——ブロックチェーン投資会社マルチコインキャピタル(Multicoin Capital)の投資家、アレクシア・ブジチッチ氏
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共創とAIで顧客とのエンゲージメントを図る
「創造への参入障壁が非常に高いため、従来は共創が非常に困難だった。デザインできるスキルがないか、あるいはブランドアイデンティティを理解するための優れたグラフィックがないかのどちらかだった。しかし新たなAIモデルが登場したことによって、ブランドはこれらのモデルに色やフォント、一般的な雰囲気といったブランドの本質をトレーニングさせ、そのおかげで消費者はブランドとうまく交流し、商品を共同で創造できるようになった。非常にシンプルなプロンプトを入力するだけで、そのブランドのアイデンティティに忠実な製品を作ることができる」。——ブジチッチ氏
「ブランドは共創を通してファン層や顧客の声に耳を傾け、プロトタイプを共有し、根底からアイデアを得ている。これは新しい形のリサーチであり、コレクションや今後生産されるアイテムなど、次のレベルに即座に統合されることが期待されている」。——Web3アドバイザリー会社レアラーシングス(Rarer Things)戦略アドバイザー、ステファン・コヴァック氏
マルチブランド・ロイヤルティプログラムの再考
「一般的にブランドが(マルチブランドロイヤルティ)プログラムに参加する場合、苦労して獲得したロイヤルティプログラムの顧客を他のブランドに奪われていると感じるし、またその連合プログラムに価値をもたらしているのは自分たちだと考える。そして、なぜ自分たちが参加しているのか疑問に思うようになる。そのようなプログラムの枠組みを、マルチブランド・ロイヤルティプログラムからマルチブランドのユーザー獲得プログラムへとシフトさせることに価値がある。(たとえば)カスタマーチャレンジを通じて、消費者はトークンを獲得できるといったものだ。その後、獲得したトークンを多くのブランドで使うことができる」——ブジチッチ氏
[原文:Emerging acquisition and retention strategies brands are trialing now]
ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)