11月下旬、メールの受信トレイには、ブラックフライデーとサイバーマンデーの買い物を促すブランドからのマーケティングメッセージが殺到しそうだ。一部のスタートアップは、メールで消費者の注意を引くのがさらに困難になると予想して、メールにSMSを加えて、マーケティングメッセージが人目につくようにしようとしている。
11月下旬、メールの受信トレイには、ブラックフライデーとサイバーマンデーの買い物を促すブランドからのマーケティングメッセージが殺到した。一部のスタートアップは、メールで消費者の注意を引くのがさらに困難になると予想して、メールにSMSを加えて、マーケティングメッセージが人目につくようにしようとしている。
あるメディアバイヤーによると、この1年半ほど、D2Cブランドのマーケターは、顧客の電話番号を把握してリストを作成し、テキストでマーケティングメッセージを送信することをかなり優先してきたという。こうした手法は、見られるようになってまだ間もないが、かなりのスピードで急増しているという。
「今年は去年と違うのは確かだ」。パフォーマンスマーケティング支援を行うデジショップ・ガール(Digishop Girl)のCEO、カティア・コンスタンティン氏はこう述べ、クライアントの約70%が現在、SMSマーケティングを利用していると付け加えた。「近年、有料のデジタル広告はより高額になり、ブランドはいま、なるべく費用をかけずに顧客にリーチする新たな手段を探している。メールには多くのノイズがあり、それほど多くのエンゲージメントが得られない。しかしSMSなら、それほど忙しくない顧客にリーチが可能だ」。
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この1年間、顧客獲得の手段としてSMSを利用してきたスタートアップもあれば、ホリデーシーズンに備えてSMS活用を仕込んできたスタートアップもある。メディアバイヤーによれば、この数カ月間、SMS用リストの作成を優先事項にし、ブラックフライデーとサイバーマンデーに先だって、顧客の電話番号情報を収集するために景品を用意したスタートアップもあるという。そしてホリデーシーズンを迎えたいま、彼らはそのリストを利用して商品の売り込みをはじめている。
週に2~3通を送信
なかでも防災グッズブランドのジュディ(Judy)や下着ブランドのライブリー(Lively)のようなD2Cブランドは、ブラックフライデーとサイバーマンデーでの購入を顧客に呼びかけるSMSを送信する計画だ。
「SMS活用は期待を集めている。当社では今年、SMSへの依存度がさらに高くなるだろう」と、ライブリーのCEO、ミシェル・コルデイロ・グラント氏は語り、今年もまた、ブラックフライデー向けに利用するつもりだと付け加えた。「SMS活用を開始したのは昨年だが、人々がPCよりもスマートフォンを利用することが確実になるなか、素晴らしい成果を上げた」。
ライブリーは新規の登録者に対し、週に2~3通のSMSを送信している。SMSをメールと似たようなチャネルと見なし、新しいキャンペーンや、商品に関する情報のほか、顧客が検討したものの購入に至らなかった商品に関するメッセージも送っている。「メールはどうも雑然としているが、SMSはそうした懸念点を省き顧客と簡潔に繋がることができる。完結さを担保するため、テキストで過剰にやりとりしないようにしている」と、コルデイロ・グラント氏は話す。
「非常に大きな効果がある」
11月末の週末、セール開始時にジュディは、セールのスタートを知らせるSMSを顧客に送信。そのあと、最初のリンクをクリックしなかった購読者に対して、セールが終わる前に別のSMSを送った。シャーマ・ブランズ(Sharma Brands)のCEOで、ジュディに投資し顧問を務めるニック・シャーマ氏への事前取材によると、CTRは「約70%で、コンバージョン率はたいてい25%を超える」ため、SMSの利用は「非常に大きな効果がある」という。
マーケターとメディアバイヤーは、SMSはより個人的なチャネルであるため、顧客とのやり取りが頻繁になりすぎないように注意していると語った。頻繁すぎると、登録解除に繋がる可能性が高くなるからだそうだ。
また、マーケターハイヤー(MarketerHire)のCEO、クリス・トイ氏によると、現在マーケティングチャネルとしてSMSを利用しはじめるブランドが増えているため、その利便性も向上しているという。また同氏は、今年はSMSの台頭が続くと予想しているとも述べている。
「まさに『寄らば大樹の陰』だ。我々だけがSMSを活用しても、うまくいくわけではない。SMSに慣れたD2Cブランドが多いほど成功確率も上がる。SMSマーケティングが大きな転換点に達するのはまだ先の話になるだろうが、上昇傾向にあるのは確かだ。おそらく、来年はさらに拡大するだろう」。
KRISTINA MONLLOS(翻訳:矢倉美登里/ガリレオ、編集:村上莞)