欧州の航空会社イージージェット(easyJet)が10月1日に、自社モバイルアプリへ搭載した「ルック&ブック(Look&Book)」機能は、画像認識技術を利用して、欧州のどこかの写真を同社の休暇旅行先のひとつと位置情報と照合するものだ。目的地が不明でも、写真にもとづいて航空便を予約できる画像検索ツールとなる。
欧州の航空会社イージージェット(easyJet)が、目的地がわからなくても、写真だけに基づいて航空便を予約できる画像検索ツールを開発した。
10月1日にイージージェットのモバイルアプリに搭載されるこの「ルック&ブック(Look&Book)」機能は、画像認識技術を利用して、欧州のどこかの写真を同社の休暇旅行先のひとつと位置情報と照合する。目的地を認識するだけでなく、最寄りの空港の場所を潜在的な旅客に知らせ、アプリ内の予約フォームにそうした詳細を自動入力する。イージージェットは、欧州以外でさらに多くの航空便を運航しているので、ルック&ブックは今後、そうした目的地も認識するようになる。
インスタ活用に着目
インスタグラム(Instagram)の写真を用いると、もっとも照合が成功しやすい。インスタグラムの画像のほうが、ほかのソーシャルネットワークや個人が集めた写真よりも処理しやすいので、イージージェットは意図的にそうしている。インスタグラムの写真はジオタグ付きであることが多い、とプロジェクトを率いるイージージェットのデジタル体験担当責任者のダニエル・ヤング氏は指摘する。位置情報タグのほかにも、各空港にはビーチやビル、建築、文化のような多くのタグが付けられている。位置情報がない場合には、ルック&ブックは写真の主要なタグを確認し、それらのタグの多くが一致する空港と照合する。
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ルック&ブックが適切な機能であるのは、インスタグラムが検索エンジンとしてますます利用されるようになってきているからだ。ヤング氏は、インスタグラムを利用する人々に売り込み、特定のハッシュタグや位置情報、地域に注目して休暇旅行先を検索してもらう方法を求めていた。同氏によると、インスタグラムには現在、こうした行動の変化を捉えられる真の広告製品がないので、エージェンシーのVCCPやアプリ開発者のトラベルポート・デジタル(Travelport Digital)とともに、ルック&ブックを開発したという。
「インスタグラムの利用状況に注目すると、人々はインスタグラムを通じて素敵な写真を見ているが、それを取引に変える方法がないことが、すぐに明らかになった。我々が予約を増やせる機能を開発できるかどうか、何年も前からFacebookやSnapchat(スナップチャット)に問い合わせてきたが、休暇のために航空券を購入するのは、たとえばTシャツを購入するよりももっと複雑だ。インスタグラムで休暇先を検索するのと、その予約ができるのとでは、大きな違いがある」
画像検索の典型例
航空券を購入する前にインスタグラムのユーザーをイージージェットのエコシステムに引き戻せば、発見を増やすインスタグラムの傾向だけでなく、独自アプリ内での検索や選択、購入データの恩恵も受けられると、英広告大手WPPグループの新会社、VMLY&Rでイノベーション担当の責任者を務めるグレイシー・ペイジ氏は語る。「今年に入ってから、画像検索分野はすでに大いに盛り上がっているが、イージージェットは少数を自社のエコシステムに再び結びつけて先行している。消費者向けデバイスはますます高性能になり、複雑な計算プロセスに対応できるようになっているので、画像検索の典型例となる喜びに包まれながら、我々はスタートを切りつつある」。
10月第1週、インスタグラムの写真をアプリにアップロードするよう促すキャンペーンをはじめた。イージージェットの画像検索ツールは、より多くの画像を認識するようになるので、将来的には、ほかのソーシャルネットワークの画像や個人的に収集した画像を共有するよう人々に促すようになると、ヤング氏は述べている。
「電車を待つ顧客が、屋外広告板で素敵な休暇スポットを見つける。その場所がどこなのかわからないので、顧客は写真を撮って我々のアプリにアップロードし、その場所がどこであるかを知る――それが究極の目標だ」とヤング氏は語った。
Seb Joseph(原文 / 訳:ガリレオ)