ナイトウェアのD2C新興企業であるルーニャ（Lunya）は、事業の再編を目指して、連邦倒産法11章の破産を申請した。
正確に言うと、同社は6月16日にサブチャプターVの条項に基づいて、11章を申請した。この条項は無担保債務が750万ドル（約10億9000万円）以下の小規模企業を対象としており、このような企業が11章の手続きを迅速かつ安価に完遂し、企業の再建と事業の継続ができるよう支援することを目的としている。
同社の11章申請は、D2Cブランドを現在蝕んでいる大きな問題を浮き彫りにしている。すなわち、AppleのiOS 14更新が、それまで自社ウェブサイトでの売上を伸ばすためにデジタルマーケティングに大きく依存していたブランドに打撃を与えたことだ。また、小売店舗をさらに増やすことで成長を回復できたブランドがある一方で、高価な賃貸料金によって経営が悪化していったブランドもある。
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ナイトウェアのD2C新興企業であるルーニャ（Lunya）は、事業の再編を目指して、連邦倒産法11章の破産を申請した。
正確に言うと、同社は6月16日にサブチャプターVの条項に基づいて、11章を申請した。この条項は無担保債務が750万ドル（約10億9000万円）以下の小規模企業を対象としており、このような企業が11章の手続きを迅速かつ安価に完遂し、企業の再建と事業の継続ができるよう支援することを目的としている。
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同社の11章申請は、D2Cブランドを現在蝕んでいる大きな問題を浮き彫りにしている。すなわち、AppleのiOS 14更新が、それまで自社ウェブサイトでの売上を伸ばそうとデジタルマーケティングに大きく依存していたブランドに打撃を与えたことだ。また、小売店舗をさらに増やすことで成長を回復できたブランドがある一方で、高価な賃貸料金によって経営が悪化していったブランドもある。
コロナ禍とiOS 14更新の影響
ルーニャのCEOを務めるブレア・ローソン氏は、米モダンリテールへの声明で、同氏が1年前に創設者のアシュリー・メリル氏から最高責任者の職を引き継いで以来、同社の収益性改善に取り組んできたと語った。「当社は運用経費を劇的に削減し、チームを効率化して、在庫を最適化し、マーケティングの効率も向上した」と、同氏は記している。
同氏は、ルーニャがサブチャプターVに従って11章を申請したことについて、「ルーニャを収益性の高い自立したビジネスにするための最後の手順だ。この申請によって、いくつかの古い負債や、高価なレンタル料金を清算しながら、通常通りの事業運営を続けることができる。私はルーニャの将来については非常に楽観している。サブチャプターVを申請したことで、黒字への転換を果たし、『休息をより良いものにする』というルーニャの使命に専念できる」と付け加えている。
ローソン氏が11章申請の一部として公表した宣言によると、同社の収益は2020年と2021年がピークで、5000万ドル（約72億5000万円）をわずかに超えていた。2022年には収益がわずか3500万ドル（約50億8000万円）に下落した。同社が困難に陥ったのは2021年半ばからだった。同社はその年、Covidによって引き起こされたeコマースの成長が続くと信じ、在庫量を大幅に増やした。
しかし2021年6月から、「月ごとの収益が前年より減少しはじめ」、同社はこれがAppleのiOS 14の更新によるものだとした。ローソン氏は、この変更について、「ソーシャルメディアのユーザーの興味や購買傾向に基づいて広告を効果的にターゲティングするブランドの能力を著しく損なった」と記している。それによって、「チームメンバーは、2021年の販売をサポートするために、最終的に必要とされた在庫より約60％多く発注することになった」。
高すぎる賃料
同社の問題点はそれだけではなかった。同社は2020年から2022年までに数店舗をオープンし、現在は合計店舗の直営店を運営している。しかし、「チャネルを多様化するため、チームは小売店舗のリース契約を数多く結んだが、それらの店舗はルーニャの事業規模に対して広すぎ、賃料も高すぎた」。
ルーニャの店舗ネットワークは過去の12カ月で、毎月平均13万5000ドル（約1960万円）の損失を出した。また、そうした努力にもかかわらず、2022年の時点で同社の収益の83％はeコマースからのものであり、小売店舗と卸売りでの売上はそれぞれ8％にすぎなかった。2023年第1四半期の収益は、前年同期と比べてさらに29％減少した。
ローソン氏の宣言によると、同氏が2022年6月にCEOに就任したときの職務は、状況を好転させることだった。これには、季節商品のローンチを減らし、代わりに同社でもっとも売れている商品に注力することや、卸売の配送を拡大して不要な経費を切り詰めることなどが含まれていた。しかし、申請によると、「債務者はいまだ、該当する契約条件に従ってベンダーに全額を支払うことができないままであるため、当社の作業はまだ完了していない」。
メリル氏が2012年に創業したルーニャは、シルクのパジャマや、バスローブ、スリープスカートなどのナイトウェア販売で知られてきた。2019年にはラーゴ（Lahgo）というメンズ事業を開始した。ラーゴは、以前は別のブランドとして運用していたが、現在はルーニャのウェブサイトで販売している。
従業員は約40人。同社が債務を負っている債権者には、同ブランドが店舗を運営するために利用しているプラットフォームのリープ（Leap）や、代替金融プロバイダのクリアコ（ClearCo）などがある。
[原文：DTC sleepwear startup Lunya has filed for Chapter 11 bankruptcy]
Anna Hensel（翻訳：ジェスコーポレーション、編集：戸田美子）
Image via Lunya
