リプロダクティブ製品を手がけるD2Cブランドのナタリストが、メディアミックスを強化し、これまでよりも動画広告を次々と展開している。2019年に設立され、昨年10月にエバリー・ヘルスに買収された同社が目指しているのは、ブランド認知度を高め、顧客の目に触れる機会を増やし、事業を拡大することだ。
リプロダクティブ(性と生殖に関する)製品を手がけるD2C(direct-to consumer)ブランドのナタリスト(Natalist)が、メディアミックスを強化し、これまでよりも動画広告を次々と展開している。
2019年に設立され、昨年10月にエバリー・ヘルス(Everly Health)に買収された同社が目指しているのは、ブランド認知度を高め、顧客の目に触れる機会を増やし、事業を拡大することだ。
これまでとは対照的な戦略
エバリー・ヘルスのCMOでナタリストのゼネラルマネージャーを務めるジェニファー・ダショー氏によれば、ナタリストは昨年から、ブランド認知度の向上とオーディエンスの拡大に注力していたという。そのため同社では、デジタル広告と従来型のTV広告への依存をますます高めている。もっぱらオーガニックコンテンツマーケティングとオーガニック検索に頼っていたこれまでの戦略とは対照的だ。
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「TVでは、ネット配信でも通常の放送でもリーチとオーディエンスの拡大を重視した」と、ダショー氏はいう。「我々の主な目標は、最大限のやり方で人々に自社のイメージを届けることにあった。それがリーチを促すチャネルを選んだ大きな理由だ」。
同社の取り組みは、この10月に実施した「オールウェイズ・イン・オー(Always in Awe)」キャンペーンでピークに達した。このキャンペーンは、フリーフォーム(Freeform)、FX、ABC、ディスカバリー(Discovery)、CWテレビジョンネットワーク(The CW Television Network)、トゥービー(Tubi)を含むHulu(フールー)、NBCおよびディズニー・エンターテインメント(Disney Entertainment)などのストリーミングサービスで展開したものだ。また、従来型TVでも今後数カ月以内に展開する予定だという。
ダショー氏は、「ほかのチャネルと比べて、かなりの額をTVとデジタル動画の取り組みに費やしている」と語ったが、メディア支出に関してそれ以上の詳しい情報は明らかにしなかった。調査会社のカンター(Kantar)によれば、ナタリストが今年の1月~6月に費やした広告費は130万ドル(約1億8000万円)を超えており、昨年の2万2000ドル(約305万円)弱から急激に増えている(ただし、カンターが追跡していないソーシャルメディアへの支出は、これらの金額に含まれていない)。
ダショー氏によれば、ナタリストはオーディエンスを増やすために動画広告に力を入れているほか、最近になってインフルエンサーマーケティングと有料ソーシャルメディアの活用も始めたという。「我々は当初から、チャネルミックスを拡大したいと考えていた」と、同氏は付け加えた。
動画が自社ストーリーを伝える
動画中心の広告戦略は、買い物客に自社ブランドのことをよく知ってもらい、購入時に一番最初に想起してもらいたいと考えるスタートアップにとって賢明なやり方だと、広告エージェンシーのサムシング・ディファレント(Something Different)の共同設立者兼マネージング・パートナー、パティ・マコーネル氏は指摘する。
「女性のリプロダクティブヘルスに取り組むスタートアップにとっては特に、動画ほど自社のストーリーを伝えるのに適したメディアはない」と、マコーネル氏は米DIGIDAYの取材に対してeメールで回答した。「動画を利用すれば、ブランドは多くのオーディエンスに直接語りかけて感情に訴えることができる」
とりわけデジタル動画は、大手のディズニープラス(Disney+)やNetflix(ネットフリックス)が広告付きオプションを展開するなど、成長著しいメディアチャネルだ。イーマーケター(eMarketer)の予測によれば、今年は米国の広告主がコネクテッドTVに費やす金額が、昨年より23%多い211億6000万ドル(約2兆9300億円)になるという。
「動画広告では、どのブランドでもできることがたくさんある。スタートアップのブランドならもちろんだ」と、広告エージェンシーのダガー(Dagger)で健康およびウェルネス事業を率いるジェシカ・エラハルト氏はeメールで述べている。「マーケターが自社ブランドのためにインパクトのある動画コンテンツを作成しようと、さらに多くの時間と資金を費やし、知恵を絞っていることは間違いない」。
ナタリストの場合、キャンペーンを展開して支出を増やしてから間もないため、動画広告が投資に見合った成果をもたらしているかを判断するには早すぎる。だが、ブランド名を含んだ検索のトラフィックやソーシャルメディアのインプレッションが増加することを期待していると、ダショー氏は話す。
「我々はすべての取り組みで目標を達成する必要があり、その目標にぴったり合致したメディアミックスを展開しなければならない」と、ダショー氏は語った。
[原文:DTC reproductive brand ups video ad investment to get in front of more eyeballs]
Kimeko McCoy(翻訳:佐藤 卓/ガリレオ、編集:黒田千聖)