D2Cスタートアップのあいだで、オンラインのプライベートグループの人気が高まっている。それは、フォーカスグループでもあり、インフルエンサーのキャンペーン計画ツールでもあり、一種の社交クラブでもある。このようなグループメンバーによって、熱狂的な顧客とインフルエンサーの境界線がぼやけてきている。
D2Cスタートアップのあいだで、オンラインのプライベートグループの人気が高まっている。それは、フォーカスグループでもあり、インフルエンサーのキャンペーン計画ツールでもあり、一種の社交クラブでもある。
インスタグラム、Facebook、ジュネーバ(Geneva)など複数のソーシャルプラットフォーム上で組織されたそのようなB2Bミニコミュニティは、インフルエンサー、創設者の友人、ときには忠実な顧客らで構成されていることが多い。このようなグループによって、大企業のビューティブランドのような巨額の市場調査予算のない小規模なブランドの創設者たちは本音のフィードバックをリアルタイムで得ることができる。
メッセージングツール「ジュネーバ」を活用
パンデミックになる前、ヘアケアブランドのセレモニア(Ceremonia)の創設者、バッバ・リベラ氏が同グランドのローンチを計画していたとき、製品についてのフィードバックやアイデアを交換するためにインフルエンサーの「インサイダーコミュニティ」のランチを企画した。パンデミック後は、バーチャルでの効果的な方法を模索した。
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リベラ氏いわく、「はじめにWhatsAppを使ったが、WhatsAppには制限が多いとすぐに気づいた」。それはグループのサイズについてだった。結局、彼女はSlackに似たメッセージングスタートアップのジュネーバを選び、193人のメンバーと毎週交流した。ウェルネスブランドのゴールド(Golde)とeテイラーのジニー(Geenie)は、ジュネーバが2021年5月に公式ローンチする前のベータ版を使っていた。
セレモニアのインサイダーグループのメンバーらは「皆、当社の製品開発にかかわっている」と、リベラ氏は言う。「メンバーたちの意見を聞いて、ラボからの最初のサンプルをテストしてもらい、フィードバックをもらい、そのプロセスを繰り返しては向上させている。アイデア構想からサンプリング、ローンチまで皆が携わっている」。
一方、ゴールドは、#ClubGoldeアンバサダープログラムのためにジュネーバを半年以上使っている。
「インスタグラムで互いの写真にコメントしたり、メールチェーンを利用するだけではなく、皆がつながれる場所を求めていた」と、ゴールドのパートナーシップ・コミュニティ責任者のメイトレヤ・ブルックス氏は言う。ジュネーバがなければ、Slackを選んだだろうということだ。ジュネーバはグループのビデオハングアウトやイベントカレンダーなどの機能を追加している。「個人的には、Slackは仕事にフォーカスしているが、ジュネーバはコミュニティを育成していると感じている。コミュニティはゴールドの基盤。新製品やブランドの最重要な側面などを考える際、コミュニティをいつも最優先事項にしている」とブルックス氏。
このグループ内でゴールドはキャンペーンの指示を共有し、一方、インフルエンサーはコンテンツのアイデアや投稿を互いに共有してインスピレーションを与えあっている。ビジネス面だけではなく、ウェルネス、レシピ、インテリアなどライフスタイルについての会話や、レストランやビオワインを推薦し合ったりして、社交クラブへと変化した。また、メンバーは実際のミートアップを計画するためにも利用している。
「個人に対して直接マーケティングするだけではないので、インスタグラムよりも協力的でコミュニティを感じられる」と、ブルックス氏。
曖昧になっているインフルエンサーと顧客の境界
このようなグループのメンバーによって熱狂的な顧客とインフルエンサーの境界線がぼやけてきている。グループの参加者からブランドの伝道者が生まれる。たとえば、セレモニアにはインフルエンサーだけでなく、マイクロインフルエンサーや同社のジュネーバグループの顧客も含まれている。インスタグラムのフォロワーはブランドにダイレクトメッセージして、フォームに記入するとグループに参加することができる。
インスタグラムのプライベートアカウントは、このようなグループを整理するもう1つの方法だ。最近ローンチしたZ世代向けウィッグのスタートアップ、ウェイブ(Waeve)はインスタグラムを利用して、「ウェイブ・ビー(Waeve Baes)」と呼ばれる300人のメンバーから成るプライベートグループを編成している。同ブランドは、インフルエンサーマーケティングと製品開発のインプットをこのグループに頼っている。
「どんなパッケージがいいか? どのスタイルが好きか? チュートリアル動画について重要なことは何か? などあらゆることを質問する」と言うのは、ウェイブの共同創設者兼CEOのメアリー・イメボレ氏。「会社が行うことすべてについて、まずグループと共有する」。
「メンバーは実質、当社のチームの一員だ。創設者は3人だが、当社のコミュニティには会社が成長するのを支援してくれる人たちが大勢いる。皆には会社の成長に関わる所有者のように感じてもらいたいと思っている」。
このようなグループは、ブランドが組織した消費者向けの非公開グループよりも明らかにビジネスにフォーカスしている。消費者向けの非公開グループは、グロッシアー(Glossier)、バースト(Versed)、グロウレシピ(Glow Recipe)、キュロロジー(Curology)などのビューティブランドが現在または過去に利用したマーケティング戦略だ。たとえば、グロウレシピは現在、@realglowgangというインスタグラムプライベートアカウントに2万人以上のメンバーを抱えており、サンプリングと製品フィードバックに利用している。
しかし、複数のブランドは、もっと幅広い顧客グループを自社のマイクロコミュニティに含められないかとほかのオプションを検討中だ。「コミュニティを拡大したいとは思うが、現時点では限定されたグループだ」とリベラ氏は語っている。
[原文:DTC Beauty brands are replacing focus groups with private online clubs]
LIZ FLORA (翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)