誰かが近場でチョコレートを売る店を検索しているなら、自分たちの店もぜひその検索に引っかかってほしいと、ゴディバ(Godiva)は願っている。この有名ショコラティエは、目下ネット広告費を増やしており、マーケティング予算全体に占めるデジタルの割合は60%から70%に上昇、ターゲットも従来より若い世代を狙っている。
誰かが近場でチョコレートを売る店を検索しているなら、自分たちの店もぜひその検索に引っかかってほしいと、ゴディバ(Godiva)は願っている。チョコレートの高級ブランドとして知られるこの有名ショコラティエは、目下ネット広告費を増やしており、マーケティング予算全体に占めるデジタルの割合は60%から70%に上昇、ターゲット顧客も従来より若い世代を狙っている。
ゴディバは認知度も知名度も高いグローバルブランドである一方、消費者にとっては、日々普通に食べるチョコレートというよりは、特別な日のためのとっておきの逸品というイメージが強い。チーフマーケティングオフィサーとチーフイノベーションオフィサーを兼任するジョン・ギャロウェイ氏によると、同社は今後6年間で売上を5倍に増やす計画だが、(特定の商品カテゴリーで一番最初に想起される)トップオブマインドの向上もこの計画の一環で、リスティング広告、ソーシャル広告、プログラマティック広告の活用、さらにはポップシュガー(PopSugar)やBuzzFeedのようなパブリッシャーとの連携を通じて、これを実現したい考えだという。
ゴディバブランドの購入をもっと頻繁に検討してもらうため、同社はFacebook、インスタグラム(Instagram)、YouTubeなどのプラットフォームを通じた動画広告の配信を計画。動画はすべてデジタル広告を念頭に撮影されている。テレビ広告用の映像をデジタル広告向けに編集しなおすのではなく、最初から6秒や15秒の映像を用意した。すでに名のあるブランドがデジタル広告のみを目的としてキャンペーン映像を撮ることは、特に食品や飲料の有名ブランド(ファンタも今年、デジタル広告に注力している)を中心に増加傾向にあるようだ。ゴディバもブランデッドコンテンツをパブリッシャーのサイトで配信し、リスティング広告を活用しつつ、注目度アップを狙うという。
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「皆さんにゴディバの専門店に来てもらいたい」と、ギャロウェイ氏は言う。「そこで、そしてスーパーマーケットでも、ゴディバのあるワンランク上の日常を体験してもらいたい。これを実現するためにリスティング広告を活用する。消費者が近隣でチョコレートを買える店を検索するなら、その場の会話にゴディバの名前も出てきてほしい」。
オムニチャネル的なアプローチ
ゴディバは今年、媒体費に「数百万」ドル規模を投じる予定だが、プライベートカンパニーであることの制約を理由に具体的な金額への言及を避けた。マーケティングリサーチ会社のカンター(Kantar)によると、2019年上半期の媒体費は10万8000ドル(約1163万円)だった。ただしソーシャル広告費については把握していない。なお、これもカンターによると、2018年の媒体費は77万1000ドル(約8300万円)で、前年2017年の1010万ドル(約10.8億円)を下回った。
ゴディバは、媒体費全体に占めるデジタル広告費の比率(昨年は予算の60%)を「劇的に」伸ばすことを継続的な戦略の一環としてきたが、ギャロウェイ氏によると、昨年はこの取り組みの大部分がeコマース事業に注がれた。同社は今年、これとは異なるアプローチを採用しているという。
「今年は、CPG(一般消費財部門)事業、ネット通販事業、専門店事業のニーズに幅広く対応する、もっとオムニチャネル的なアプローチを取っている」と、ギャロウェイ氏は説明する。「今年の手法は従来よりずっと複合的だ」。
その一環として、動画を活用したブランドストーリーの展開にもっと注力する。しかも動画は、たとえばインスタグラムなら正方形と縦長のフォーマットを使用するなど、はじめからデジタルチャネル向けに撮影される。YouTubeやディスプレイ広告も同様だ。当然、デジタルチャネルに特化したコンテンツを作るという制作面での方針転換に伴い、ゴディバのデジタルシフトも進行する。同社はまた、この戦略を活用して、35歳から45歳という従来の購買層ではなく、20代から30代前半の消費者に訴求したい考えだという。
バレンタイン以外の訴求
デジタルコンテンツの制作は、マッキャンロンドン(McCann London)と15人からなる社内の撮影スタッフが担当している。
「ゴディバのブランドストーリーなど、いまさら語るべくもない」と、メタフォースの共同設立者で、ゴディバの「トップオブマインド」施策を担当するブランドコンサルタントのアレン・アダムソン氏は言う。「彼らに必要なのは、もっと頻繁に人の目にさらされることだ。高級品としての位置づけはすでにできている。購入量を増やすのに必要なのは、美味しさを訴求することではなく、何か普通に買いたくなるものとして、消費者に思い出してもらうことだ。もっと食べてもらうこと、バレンタインデー以外のセールスポイントが必要なのだ」。
なお、今年のマーケティング予算の残り30%はビジュアルマーチャンダイジング、店舗内での訴求施策、イベント、PR活動に投入される。
Kristina Monllos(原文 / 訳:英じゅんこ)