ラグジュアリーファッションの再販サイト、ドラ・マール(Dora Maar)は2019年にローンチした。「2020年には基盤を築き、2021年には大躍進できた」と、ドラ・マールの創業者兼CEOのローレン・ウィルソン氏は最新のGlossyポッドキャストで述べている。再販企業におけるドラ・マールの差別化要因とは?
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy+」の記事です。
ラグジュアリーファッションの再販サイト、ドラ・マール(Dora Maar)は2019年にローンチした。パンデミックが始まって以来活況を見せている再販分野を考えると、それはよいタイミングだった。
「2020年には基盤を築き、2021年には大躍進できた」と、ドラ・マールの創業者兼CEOのローレン・ウィルソン氏は最新のGlossyポッドキャストで述べている。「前年比の成長は570%だった」
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再販企業におけるドラ・マールの差別化要因は、サイトとマーケティングチャネルで売り手にスポットライトを当てて、彼らを「ミューズ」と呼びインフルエンサーとして扱っている点だ。ドラ・マールの取り扱い製品はどれもいずれかのミューズのクローゼットに属している。
ウィルソン氏は、自身の職歴がドラ・マールのビジネスモデルのインスピレーションになったと述べている。
「クリスティーズ(Christie’s)、そしてモーダ・オペランディ(Moda Operandi)で働いていたとき、デザイナーや服を着る女性たち、服を所有している人たちのストーリーをいつも掘り下げていた。そこで『なぜ再販業界はそうしないのだろうか』と考えた」。
「これは小売の新しい方法だ」と同氏は言い添える。
今後は参加ミューズとブランドパートナーを増やすとともに、ドラ・マールの自動化とパーソナライズ機能の向上を計画している。また、同社はローンチ以来すでにホームとビューティカテゴリーを展開しているが、引き続き新しいカテゴリーに進出する予定もある。
「2022年のフォーカスは拡張だ」とウィルソン氏。
以下は会話からの追加のハイライトである。読みやすさのために若干編集を加えてある。
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マイクロインフルエンサーのパワー
「マイクロインフルエンサーは実にすばらしい。その人の市場がニッチであればあるほどコンバージョン率は高くなる。我々の平均的な顧客は、ピンクとレースとガーリーなものを愛する人だ。ミューズの多くはそのようなニッチのインフルエンサーで、米国南部に住む若い母親たちだ。アレッサンドラ・リッチ(Alessandra Rich)やジマーマン(Zimmerman)のようなブランドの美しいドレスを持っていて、カルト的なフォロワーを抱えている。フォロワーが何十万人もいるインフルエンサーをターゲットにしていないというわけではないが。確かにそのようなインフルエンサーはブランド認知度を高めてくれるし、すばらしいストーリーを共有してくれる。だが、それを実際に推進しているのはニッチなオーディエンスだ。我々は、ミューズのコンセプトに対して熱心に取り組んでくれるインフルエンサーを発見したい、そのようなミューズに成功してもらいたいと思っている。我々の人材獲得の主要チャネルにはミューズが他のミューズを紹介するものがある。そのような人たちは異なるニッチにいる友人なので、パーソナライゼーションを推進することになる。『このミューズが顧客から愛されているなら、その人と同じようなスタイルを提供している4人の友人たちもきっと気に入ってくれるだろう』ということ。これが我々がミューズのコミュニティとネットワークを成長させている方法だ」。
有機的マーケティングと有料マーケティング
「話題のブランドの多くが必死になってソーシャルメディアマーケティングに金をかけているのを目にしている。それが顧客を獲得する方法だったからだ。だが、我々は状況を理解するために時間を費やした。『我々が成功するためには有機的な勢いが必要だ。ミューズと彼らのクローゼット、そしてクローゼットを利用する顧客がそのような推進力を提供しなければ。そうでなければ、うまくいかないだろう』と思った。なので、始めはデジタルマーケティングにそれほど支出しなかった。成長して拡張するにつれデジタルマーケティングを加えていった。デジタルマーケティングはもちろん必要なことだが、それはミューズ自身の推進力を基にして活用している。たとえば販売しているコレクションがロダルテ(Rodarte)x シャーリース(Charlese)(*訳注:ブランドと提携ミューズの名)ならそれについて語るべきだし、マルカリアン(Markarian) x シーシー・バーフィールド(CeCe Barfield)ならそれについて語るべきだ。
私が気に入っているのは、ドラ・マールでクローゼットを販売しているミューズがいて、誰かがその人から購入して「これは、ドラ・マールのローレン・レビソンのクローゼットから購入」という投稿をしてくれるのを目にすることだ。そして、ローレン・レビソンが自分のクローゼットから購入した人を再投稿する。これはコミュニティと接続性のすばらしいフライホイールであり、これこそがドラ・マールのとてもエキサイティングな点だと思う。ラグジュアリー分野でこのようなコミュニティを持っているところはない。この点こそが我々が成功させようとしているもの。もちろんマーケティングに資金を費やすことにはなる。『ずっと有機的なマーケティングだけをする』と言っている企業は現実を甘く見ている。だが、我が社の本質の基盤にある有機的なバイラリティは、この概念がうまく機能することを証明するために成功させなければならなかった。今ではそれを階層化して拡大する段階に来ている」。
カテゴリーの拡張について
「ラグジュアリーファッションからスタートしたのはそれが自分が一番よく知っている分野だったからだが、ミューズのクローゼットも一般的にラグジュアリーだ。1月に、プラットフォームのフレディ(Freddie)でホームカテゴリーのドマドウェル(DoMa Dwell)を立ち上げた。フレディはホーム関連の大企業シューマッハ(Schumacher)の子会社だ。フレディのインテリアデコレーターを何人か抜擢して、ミューズとしてクローゼット(洋服)とホーム製品の両方を販売してもらう。また、ビューティにもローンチした。我が社の強力な支援者兼アドバイザーのひとりはビューティとファッションとライフスタイルにおける大物だ。彼女のおかげですばらしいブランドと結びつくことができた。これからファッションウィークに向けて、『ファッションウィークへの準備』キャンペーンを実施するミューズもいる。ビューティやホーム、そのほかのカテゴリーは真のラグジュアリーなライフスタイルに影響を与えるものだ。ミューズはとても多くのさまざまな面で活動してくれる。なので、新しいカテゴリーを探ることはエキサイティングだ」。
[原文:Dora Maar founder Lauren Wilson: ‘There’s really something to be said for the micro-influencer’]
JILL MANOFF(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)