ドミノ・ピザ(Domino’s Pizza)は、2017年7月に「Amazon Alexa」による音声注文サービスを開始。2ヵ月で同社の1クリック注文システム「Easy Order」の5人に1人が音声で注文しており、順調な滑り出しを見せている。
ピザチェーンのドミノ・ピザ(Domino’s Pizza)が、音声認識サービス「Amazon Alexa」によるピザの注文を開始して2カ月。まずは上々なすべり出しを見せている。
英国ドミノ・ピザのデジタル責任者であるニック・ダッチ氏によると、サービスを開始してから2カ月のあいだに、同社が提供する1クリックでピザを注文できるイージーオーダー(Easy Order)を利用する顧客の20%が、クリックではなくAlexaから音声で注文を行った。
ドミノ・ピザは、イージーオーダーを2013年に導入し、2017年7月末にAlexaで同機能を公開。イージーオーダーを利用するには、まず専用のアカウントを作り、お気に入りの注文を保存しておく。顧客のプロフィール情報は、オンライン注文が可能なドミノ・ピザのWebサイトやモバイルアプリ、Facebook Messenger、Google Homeなどのプラットフォームに送信され、1クリックでピザが注文できるようになる。
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Amazonの1-Clickモデル
いわばイージーオーダーは、Amazonの1-Click注文の「ピザ配達版」のようなもの。今夏、ドミノ・ピザはAlexaでの音声注文と配達状況のトラッキングを積極的に売り込んできた。
ドミノ・ピザは、音声やイージーオーダーによる注文が現在のオンライン収益に占める割合を明らかにしていない。だが、Alexaによる注文状況の立ち上がりから、これが「適切な選択」だったことは証明されたとダッチ氏は語った。
ドミノ・ピザは、デスクトップやモバイルに次ぐ大きな販売チャネルを探しており、音声はAmazonモデルを拡大するうえでカギになるかもしれない。ドミノ・ピザは、「UberEATS(ウーバーイーツ)」や「デリバルー(Deliveroo)」のようなフードデリバリー企業を介さずに顧客に直接販売する方法を選んでいる。UberEATSなどのオンライン配達サービスの成長が続けば、同社のオンライン販売の収益を脅かす可能性があるからだ。
ドミノ・ピザ既存店の売上高は、6月25日までの26週間で前年比13%の減少だった。音声注文も含めてイージーオーダーは、売上減を解消する即効薬にはならないが、注文プロセスの簡略化によってピザを購入しやすくなったのは事実だ。Amazonは、今年9月に失効した「1-Click」注文の特許を1999年に取得したことで、これまで同モデルのコピーを防ぎ多額の利益を生んできた。
ダッチ氏は、9月27日に開催されたウィー・アー・ソーシャル(We Are Social)のイベントの席で、「現実としていまは、何百万人という人々が(音声注文を)利用しているわけではない。初期の勢いを活用して、未来に向けて取り組んでいるところであり(中略)ゆくゆくはもっと多くの人に使ってもらえるようにする」と語った。
次の狙いは音声検索
ドミノ・ピザは目下、顧客がさまざまなトッピングを選べるようにしたり、もっとも近い店舗を見つけ出したりするなどの選択肢を提供することによって、音声デバイスからの直販を拡大させることを目指している。しかし、いずれは検索広告を検討することが必要になるだろう。インターネット調査企業のコムスコア(comScore)は、2020年までに全検索の50%が音声になると予測しており、これが現実になるならば、検索広告はますます重要になってくる。
ドミノ・ピザ以外では最近、酒造メーカーのディアジオ(Diageo)や生活用品のユニリーバ(Unilever)が、独自の音声検索プランを発表している。英国ユニリーバでは、家事のコツを紹介するウェブサイト「クリニペディア(Cleanipedia)」で、「Amazon Echo」から音声で掃除などに関する質問して回答を得られるだけでなく、同社のeコマースへのリンクも添えて購買行動にもつなげている。英国内では、すでに1万5000人のユーザーがいるという。さらに同社は、音声への投資を11%増やすことを計画している。
Seb Joseph (原文 / 訳:ガリレオ)