MEDIA

「 ダイバーシティ は、いまや商業的に不可欠だ 」:ブランド・アドバンスのCEO、クリス・ケナ氏

創業から3年のメディアネットワーク、ブランド・アドバンス(Brand Advance)は、より多様なオーディエンスにリーチする広告サービスを提供している。共同創業者兼CEOのクリス・ケナ氏は、2020年、同社は大きく成長していると語る。同社のネットワークにおける広告主の支出額は、3月中頃から6月にかけて400%も増加した

「ブランド・アドバンスをいまローンチしたとしたら、現在の社会状況に非常に適合した企業として話題になっただろう」とケナ氏は語る。「実際、需要は非常に高まっている。しかし、サービス開始当時は、周囲から疑問の声が多く聞かれていた。パンデミックが起きてはじめて、メディアプランニングにおいて、ダイバーシティがいかに大切か認知されるようになった」。

ケナ氏の誠意と信念は、業界のなかでもひときわ目立つ。同氏は英国のマン島で生まれたはじめての黒人だ。「証明書もある。自分で頼んだわけでもないのだが」とケナ氏は語る。

「ダイバーシティはここ10年から15年ほどで商業的に必要不可欠なものになった」。ケナ氏は、クライアントに対して「ダイバーシティを後付けするのではなく、最初から多様な消費者を意識して商品やキャンペーンを作るべきだ」とアドバイスしている。また、特定の層にリーチする価値があるかを試すテストキャンペーンは、しばしば的外れだと指摘する。

「私は生まれたときから黒人だ。LGBTQ+の人たちもそうだ。しかし、そのこととと企業にとって良いカスタマーに値するかは別問題のはずなのに、なぜテストされなければならないのか」とケナ氏は語る。

以下に、同氏へのインタビューの一部をお伝えしよう。なお、発言の意図を明確にするため一部に若干の編集を加えている。


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状況は良くなってきている

「この10年から15年で、ダイバーシティが考慮されるようになってきた。もちろん、然るべきレベルにはまだまだほど遠い。しかし、ダイバーシティについて積極的ではなかった人たちも、その重要性を理解しはじめているはずだ。そして、いまやダイバーシティは商業的にも必須の要素となりつつある。『多様性ファースト』を主張するトップエージェンシーは、私が知るだけで5〜6社あるが、彼らが多様性を掲げるのは、広告主もそれを求めているからだ。それは、こうしたエージェンシー各社の戦略チームのメンバー構成からも見て取れる」。

キーワードブロックは市民の自由をおびやかす

「多くのメディアで『黒人』や『人種』、『イスラム』といったキーワードがブロックされるケースが見られる。実際、私はこうしたキーワードがブロックリスト化されるのを見てきた。ブランド・アドバンスは、こうした層にリーチする手助けをしたい。『黒人』もそうだが、もっともブロックされているのが『ゲイ』と『レズビアン』だ。これは業界の誰もが知っている。ブランドセーフティは、リーチを妨げているし、さらにいうと市民の自由を侵害している。人種や宗教、性的指向をひとくくりにしてブロックするというのはそういうことだ。現実世界では、『私が黒人だから利用できないサービス』というのは許されないのに、オンラインではなぜかそれが当然のように行われている。それは間違っている。これこそ、私がこの会社を立ち上げた理由だ。我々は業界として、個人として、そしてブランドとして、もっと良いことができるはずだ」。

新たな時代の幕開け

「我々も創業したばかりの頃は、単発のキャンペーンを請け負うことが多かった。予算200万円の範囲で、といった依頼だ。しかしいまでは2、3年かけて戦略的にキャンペーンを展開することが多い。消費者を調査し、これまでクライアントのブランドに見向きもしなかった人たちをカスタマーにする。ブラックメディアやLGBTメディア、障がい者向けメディアについて、これまで考慮してこなかった企業でも、コンテキストに沿ったクリエイティブによって多くのオーディエンスにリーチできる可能性がある。これは企業にとっても盛り込むべき計画であり、新たな時代の幕開けといえるのではないか」。

[原文:Diversity ‘is a commercial imperative now’ Brand Advance CEO Chris Kenna

PIERRE BIENAIMÉ(翻訳:SI Japan、編集:村上莞)