BRANDS IN CULTURE

デジマ戦略 、バーチャル SXSW で話題の中心となる

デジタル化やデータドリブンのマーケティング戦略は、今に始まったものではない。だが、バーチャルイベントとなった2021年のサウスバイサウスウエスト(South by Southwest、以下SXSW)では、リアルとデジタルの融合に向けて、これらの戦略がどのように変化して来たのかが、大きなテーマとなった。

「デジタルは、間違いなく今後も重要であり続ける。そして『デジタルとリアルが混在する空間において、いかにデジタルを活用するか』。ここにイノベーションの余地がある」と語るのが、ウェイワード・クリエイティブ・スタジオ(Wayward Creative Studio)でクリエイティブディレクターを務める創業者のマイク・バルド氏だ。

パンデミックによるロックダウンで、外食や音楽イベント、小売店など屋内施設における客足は大きく落ち込んでいる。代わりに増えたのが、屋外で過ごす時間だ。それを踏まえて、2021年のSXSWでは、「これからのマーケティングは体験型の要素を入れなければ成功するのは難しい」と複数のマーケターが口にしていた。

パネルで登場したバルド氏もまた、「音楽分野で、インタラクティブなキャンペーンは昔から行われてきた。だがコロナ禍でその重要度は大きく高まった」と述べる。「ファンにとって刺激的な空間を作り上げるため、仮想現実(VR)や代替現実(AR)を活用すべきだろう」。

「今まさにルネッサンスのごとく」

バーや音楽会場で行われるライブイベントは、インスタグラムやFacebookのライブ配信に取って代わられた。バルド氏のチームは、あるキャンペーンでバーチャルなレコード店のウェブサイトを立ち上げた。クリックすると新しい音楽を試聴できるという仕組みだ。ほかにも、限定版を購入できるバーチャルストアをローンチしている。

「物理的には隔絶されていても、音楽を探す、つながるといった感覚を得ることはできる」とバルド氏。

Facebookで音楽レーベルとのパートナーシップを担当するアマンダ・マトソン氏は「これはソーシャルメディアでも同様だ」と話す。ミュージシャンもファンとのつながりを維持しようと、Facebookやインスタグラムでライブ配信を行っている。かつその内容も、演奏だけでなく、料理などさまざまな動画を配信してファンを飽きさせないよう努力しているケースも見受けられる。

「音楽業界では、今まさにルネッサンスのごとく新しいフォーマットが誕生し続けている。以前は考えられなかったようなクールなフォーマットだ」とマトソン氏。

伝え方についても細心の注意

またマーケターは、チャネルだけでなく伝え方についても細心の注意を払っている。

データを提示することで、特定の場所に消費者を集めるという手法がある。だが、フォースクウェア(Foursquare)は、屋外広告を手掛けるエージェンシー、インターセクション(Intersection)と提携して、これとは逆の取り組みをはじめた。つまり、人混みに関するデータを分析し、逆に店が比較的空いている、買い物に適した時間をリンクNYC(LinkNYC)のデジタル広告で表示したのだ。

ニューヨーク以外の小売店についても、リンクNYCのキオスクは待ち時間や人混みの多さに関する情報を提供している。

インターセクションのCMO、イーサー・ラファエル氏は「客足を減らすのではなく、適切なメッセージを届け、ユーザーに安全に買い物をしていただきたいという思いがあった」と語る。

場所についての再考は必要

新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、消費者の行動は再び変わっていく可能性もある。SXSWのパネリストは、マーケターもエージェンシーも、消費者が集まる場所について再考する必要が出てくるだろう、と指摘している。

ラファエル氏は次のように述べる。「今、モバイルやデスクトップ関連の戦略しか採用していないのであれば、ブランドや広告をオーディエンスはどのように見ているのか、想像してみる必要がある」。

[原文:Digital marketing strategies take center stage at this year’s virtual SXSW

KIMEKO MCCOY(翻訳:SI Japan、編集:長田真)

Illustration by IVY LIU