「デジタルには限界がある」: D2C ブランド勢、ダイレクトメールを試用中

D2C(Direct to Consumer)のマーケター勢がより多様なマーケティングミックスを求め、DM(ダイレクトメール)に目を向けている。ただ、インスタグラム(Instagram)とFacebookを主食に成長してきた彼らデジタルネイティブブランドにしてみれば、分析手段が圧倒的に少ないメディアへの適応は、かなりの困難を伴うようだ。

オンライン家具ブランド、アーティクル(Article)のCMOアンディ・プロハズカ氏は、デジタルチャネル以外を利用して新規顧客にリーチする努力の一環として、商品カタログの送付計画をまとめた。

「デジタルには限界がある。たしかに、いくつかの点では素晴らしい。フィードバックは即時だし、迅速なリーチも、無限にも思えるスケールでのアクセスも可能だ。しかし、ほんの少し視野を広げてみればわかるとおり、より多くの人々にリーチする方法は、ほかに山ほどある」と、プロハズカ氏は語る。「同時に、大半のマーケティングチャネルを試すたび、インフラの限界にはつねに失望させられている。デジタルは端から、いわば載貨容積が決まっていた。一方、TV、OOH(アウトオブホーム)、印刷物はどうだ?――どのチャネルにも、そんな限界はない」。

他チャンネルへ移行するD2C

ただ、多くのデジタルネイティブブランド勢がTVやOOH、DMといった他チャネルへの支出を増やすにつれ、効果測定に不可欠なトラッキングがより困難になっているのも事実だ。マーケティングミックスがFacebookとGoogleの半々であれば、支出の割合、効果の程度ともに見えやすい。だが、どちらのチャネルもいつかは飽和状態になる。高級寝具のボール&ブランチ(Boll & Branch)、スニーカーのグレイツ(Greats)、寝具&バス用品のパラシュート(Parachute)、パーソナルケア用品のハリーズ(Harry’s)、電動歯ブラシのクイップ(Quip)、コスメ/スキンケ用品のグロッシアー(Glossier)、旅行用品のアウェイ(Away)といったブランド勢は、現在どこもDMを試している。ディスカウントコード付きのチラシから豪華な賞品カタログに至るまで、種類はさまざまだが、いずれの試みも混沌のなかに光明を見い出すための施策だ。これに呼応し、シェア・ローカル・メディア(Share Local Media)やメールジョイ(Mailjoy)など、顧客のターゲッティングとリターンのトラッキングに精通するDM専門ベンダーも登場している。

「デジタルは騒がしく、DMは静かだ」と、グレイツ創設者/CEOのライアン・バベンジン氏は評する。

ただし、データに依存するブランド勢は、Facebookからの即時フィードバックに慣れきっており、それが期待できないダイレクトメールの場合、効果の見定めは容易ではない。たとえば、クイップといったブランドはコンバージョンの測定に、DMごとに異なるディスカウントコードを利用している。アーティクルでは、社内マーケティングチームにカタログをデザインさせ(プロハズカ氏いわく、「少なくとも最初のものを社内で作る前に、一緒に仕事をしたいと思えるエージェンシーがいないか、まずは探してみる」のが、同社の典型的姿勢だという)、自社データサイエンスチームとともに、カタログ送付後のトラフィックおよびコンバージョンのトラッキング計画をまとめたという。

「ハロー効果こそが最終目標」

同社は(プロハズカ氏いわく、Facebookなら、3時間あれば結果がわかるところを)2カ月という時間枠を設けて結果を調査し、ホールドアウトデータ集合を用いて、カタログを送った地域と送らなかった地域について、トラフィックおよびコンバージョンの比較を行なった。ここで言う「結果」とは、カタログに掲載した商品ページへのトラフィック、カタログを送った地域におけるソーシャルメディアへのエンゲージメント、そしてもちろん、売上だ――アーティクルはVCファンドを組成しておらず、したがって、どのマーケティングチャネルを試す場合でも、利益を生む必要がある。

「チャネルミックスを健全な状態に保ちたいと考えている。どのメディアが何%まで、という具体的な数字はまだ決めていない」と、プロハズカ氏。「したがって、チャネルを増やすほど、全体像は見えにくくなるが、その一方で、各チャネルが互いを高め合うようになる、いわゆるハロー効果も期待できる。そこが最終目標だ」。

Hilary Milnes(原文 / 訳:SI Japan)