米DIGIDAYは2021年5月、バイサイドの業界人117人に対してアンケート調査を実施した。調査の結果、TikTokはSnapchatよりも、トラクション(牽引力)の大きなプラットフォームであるとブランドやエージェンシーから認められていることが分かった。
これまでさまざまな困難に見舞われてきたSnapchatは、見事な復活を遂げた。同プラットフォームは、パブリッシャーが信頼を寄せる収益源へと変貌し、2021年NewFronts(インタラクティブ・アドバタイジング・ビューロー/IAB主催の国際会議)の最新プレゼンテーションでは増額する支出先候補として、その存在感をいかんなく発揮した。
しかし、SnapchatがFacebookやインスタグラム、YouTubeのような大御所プラットフォームに追いつくには、戦い方を変える必要があるかもしれない。というのも、米DIGIDAYが先日実施した調査によると、マーケターの目には、SnapchatはすでにTikTokに大きく差をつけられていると見えるからだ。
米DIGIDAYは2021年5月、バイサイドの業界人117人に対してアンケート調査を実施。この調査では、ソーシャルプラットフォームが、ビジネスで(対象者がエージェンシーの場合は、クライアントのビジネスで)果たす役割について尋ねている。調査の結果、SnapchatとTikTokはどちらとも、トラクション(牽引力)の大きなプラットフォームであると、ブランドやエージェンシーから認められていることが分かった。
Advertisement
上位グループに属しても、首位にあらず
SnapchatとTikTok、このふたつのプラットフォームには共通点が数多くあり、その類似点はいまも増え続けている。TikTokは、Snapchatが開発した縦型動画フォーマットに大いに助けられた。またほかにも、ステッカーといったSnapchatがはじめて打ち出した数多くの機能を試している。
とはいえ、利用したり利用されたりはお互いさまだ。たとえば2020年11月にSnapchatが開始したスポットライト(spotlight)は、TikTokのユーザー体験を模した機能である。Snapchatの発表によると、2021年春には、スポットライトの人気コンテンツに対し、クリエーターに1日あたり100万ドル(約1億1000万円)を支出しているという。背景には、TikTokが独自のクリエイターファンドに拠出した10億ドル(約1100億円)に対抗するという目的があった。なお、スナップ(Snap)のCFOデレク・アンダーソン氏は2021年4月、スポットライトの月間アクティブユーザーは1億2500人であると語った。この数字は、最新公式データのTikTokオーディエンス数を上回る(TikTokは米国政府を提訴した2020年の裁判で、月間アクティブユーザー数が9200万人に迫る勢いであることを明かした)。
たとえ創業から日が浅くても、またトランプ前政権の手により、危うく米国国内の業務を一時禁止されそうになっても、TikTokはふたつの重要な点でSnapchatを凌駕している。ブランドやエージェンシーの多くが、「ブランド構築」および「収益拡大」において、TikTokの方が圧倒的に優れていると指摘しているのだ。
この傾向は、TikTokとSnapchat両者を利用するマーケターのあいだで根強いと考えられるものの、米DIGIDAYの調査対象者に関しては、該当するサンプル数が統計上十分ではなかった(なお米DIGIDAYはこの調査で、広告主とエージェンシーに両方に、どのプラットフォームをより利用しているかを尋ねている)。
マネタイズでも、ブランド構築でも
こうした気運が高まりはじめたのは2020年後半。ちょうどこの頃、TikTokの急激なプレゼンスに気づいたマーケターたちは、続々とTikTokに予算を回し指示しはじめた。
マーケターの大半から「マーケティング計画に不可欠なピースである」と認められるようになるまで、TikTokが成長できるかどうかはまだわからない。Facebookやインスタグラム、YouTubeは別にして、ソーシャルプラットフォームを収益拡大やブランド構築の有益なツールとして見なしているマーケターはわずかだ。さらにいえば、玉石混交のプラットフォームの価値を判断する方法は、エージェンシーやブランドごとで大いに異なる。
[原文:Digiday Research: TikTok has already surpassed Snapchat in the eyes of brands and agencies]
MAX WILLENS(翻訳:SI Japan、編集:村上莞)