[ DIGIDAY+ 限定記事 ]メディアバイヤーは、プログラマティックダイレクト取引にますます引き寄せられている。米DIGIDAYが2018年11月にメディアバイヤー214人を対象に行った調査で、84%が予算の多くをこのチャンネルに向けるつもりだと答えている。
[ DIGIDAY+ 限定記事 ]メディアバイヤーは、プログラマティックダイレクト取引にますます引き寄せられている。米DIGIDAYが2018年11月にメディアバイヤー214人を対象に行った調査で、84%が予算の多くをこのチャンネルに向けるつもりだと答えている。
プログラマティックダイレクト取引は、オープンなアドエクスチェンジでの購入よりコストがかかるが、パブリッシャーの優良なインベントリー(在庫)に固定価格でアクセスできることが保証されることから、バイヤーには魅力的だ。広告主の多くは、オープンなアドエクスチェンジを通じて購入するものより、このほうがインベントリーのパフォーマンスがよくなり、ブランドにとって安全だと考えている。
プログラマティックギャランティード取引への関心が高まっている主な要因のひとつはクライアントだ。プログラマティックマーケットプレイスに精通したクライアントたちは、ダイレクトベースでの購入をエージェンシーに求めてくることが多いと、エージェンシーのメディアバイヤーたちはいう。
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公開オークションとの優劣
だが、エージェンシーもオープンなオークションを完全に避けているわけではない。プログラマティックダイレクト取引が必要な特定の理由はあるが、そうでなければ、適切なセーフガードとターゲティングパラメーターがあるとの仮定から、オープンなアドエクスチェンジにおける購入の方がよりよいオプションになりうる。エンパワー(Empower)の上級プログラマティックスペシャリストであるサラ・ノース氏は、「個人的には、プライベートマーケットプレイス(以下、PMP)やプログラマティックギャランティード取引は嫌いではないが、時と場合にもよる」と話した。
バイヤーたちは、オープンなアドエクスチェンジに潜む安全性や詐欺行為のリスクに対する万能薬というよりは、アドエクスチェンジを第一とした戦略とのギャップを埋める方法として、プログラマティックダイレクト取引に関心を寄せているようだ。
ホライゾン(Horizon)の販売計画担当バイスプレジデントを務めるモニカ・カプラン氏は「プログラマティックダイレクトよりオープンなアドエクスチェンジのほうが断然いい」という。しかし、プログラマティックダイレクト、特にプログラマティックギャランティード取引は、特定の使い方をすることで価値を生み出すことがあると、カプラン氏は認めている。カプラン氏は、プログラマティックギャランティード取引は、たとえば映画の封切りのような短いサイクルのキャンペーンでパブリッシャーに一定数のインプレッションを保証するのに有益だと述べる。
「まずPMPで取引を」
プログラマティックダイレクト取引は、一定の支出習慣の結果を確定させるのに便利なツールになりうる。オープンなアドエクスチェンジで特定のパブリッシャーに対して一貫して支出しているバイヤーにとって、「プライベートでプログラマティックな取引をすることは、間違いなく理にかなっている。そうすることでパフォーマンスが保証され、最適化の視点からも時間の節約になる」と、ノース氏はいう。
「一般データ保護規則」(General Data Protection Regulation:GDPR)の施行を受け、プログラマティックギャランティード取引への関心が再び盛り上がってきた。バイヤーたちは、それがパブリッシャーのファーストパーティデータを活用する方法になると思っているからだ。しかし、バイヤーはプログラマティックギャランティード取引に本腰を入れて取り組むことはしないようだ。彼らは、そうした取引に関心があることは確かだが、もっと測定可能なアプローチを取っている。
プログラマティックギャランティード取引は、バイヤーにより高い最低保証を要求し、柔軟性が少ないので、プログラマティックギャランティード取引に肩入れすると決める前に、バイヤーはまずパブリッシャーとPMPを通じて取引するだろう。「まずPMPで取引をして、彼らが渡してくれるインベントリーの質や全体的なパフォーマンスを確認することなく、パブリッシャーとプログラマティックギャランティード取引をすることはない」と、ノース氏は話す。
大幅に見直すことはない
PMPやプログラマティックギャランティードの根本的な魅力は、広告主の広告が特定の環境で表示されることを保証することだが、ブランドセーフティについての不安がPMPへ支出が向かう主要因ではなかったことが以前のDIGIDAYリサーチから判明している。
バイヤーたちはいま、ads.txtや小規模なアドベリフィケーションベンダー、内製化技術など、さまざまなツールを自在に使い、アドフラウドや低品質な広告と戦っている。つまり、彼らは必ずしも、PMPやプログラマティックダイレクトな取引に飛びつく必要はないのだ。
メディアバイヤーは今年、プログラマティックダイレクト取引により多くの予算を振り向けるようになるだろうが、現在の支出を大幅に見直すことはないだろう。プログラマティックダイレクト取引には、バイヤーの関心をそいでしまうような問題がまだいくつか存在するからだ。ある匿名バイヤーは、「インベントリーの不足、取引ID生成のタイムラグ、法外な支出契約、柔軟性の制限」について不満を漏らした。
Mark Weiss(原文 / 訳:ガリレオ)