[ DIGIDAY+ 限定記事 ]ウワサの新技術において、マーケティングや広告の簡易化や費用効率のアップに役立ちうると、約束するベンダーは多い。だが、DIGIDAYリサーチによると、機械学習や人工知能(AI)、ブロックチェーンのような技術の可能性を評価することにかけては、ほとんどのマーケターは、能力に自信を持っているとはとうてい言えない。
[ DIGIDAY+ 限定記事 ]ウワサの新技術において、マーケティングや広告の簡易化や費用効率の向上に役立ちうると、約束するベンダーは多い。だが、DIGIDAYリサーチによると、機械学習や人工知能(AI)、ブロックチェーンのような技術の可能性を評価することにかけては、ほとんどのマーケターは、能力に自信を持っているとはとうてい言えない。
米DIGIDAYが2018年11月にクライアントサイドのマーケター212人を対象に行った調査では、たとえば、ブロックチェーンに精通していると回答したのは9%にとどまり、AIと機械学習について同様の回答をしたのは14%だった。これは、比較的確立されたデジタルマーケティング戦略やチャネルと隔たりがある数字だ。たとえば、ソーシャルプラットフォームでのマーケティングについては、DIGIDAYの調査に参加したマーケターの82%が、精通していると主張し、60%は、インフルエンサーとの協力に「精通している」または「とても精通している」と自己評価した。
多くのマーケターによると、AIやブロックチェーンのような技術の影響はおおむね誇大宣伝だというが、ほかの者にとっては現実だ。高級ジムのオレンジセオリー(Orangetheory)は、AIを利用し、メディアバイイングのターゲティング能力を向上して、顧客獲得に掛かる費用を削減することに成功してきた。一方、ブロックチェーンは、メディアバイイングの透明性を保証して広告詐欺を減らす新たな方法として広くうたわれているが、そうした初期の熱狂はある程度冷めている。
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教育リソースの不足
マーケターがこうした新しい技術の理解で自身に低い評価を下すのは、入手可能な教育リソースの不足も理由のひとつだ。機械学習を利用して検索キャンペーンを分析して改善することが多く、自分は機械学習技術に習熟していると考えるあるマーケターはDIGIDAYに対し、「こうしたことを学ぶのが難しいのは、機械学習やAI、ブロックチェーンの基本を教えてくれるものが、あまり出回っていないからだ」と語った。一部の企業はこの問題に自社で対処しつつある。デジタルコンサルティング企業のPwC(PricewaterhouseCoopers)は、ブロックチェーンのような技術について学ぶ、2年間の従業員向け専門講座を開設した。
だが、大半のマーケターは、社内でこうした構想を支援するリソースがない。その結果、多くのマーケターは、Googleのチュートリアルやベンダーとの会合のようなリソースからしかAIやブロックチェーンについて学んでいない。あるいは、PwCのようなコンサルティング企業を利用するかだ。「ブロックチェーンについて顧客と話すときには、販売に取り組めるどころか、会合はもっぱら、基礎的レベルでブロックチェーンがどういうものか、理解を助ける教育だけで終わる」と、プログラマティック広告にブロックチェーン認証を導入している企業ルシディティー(Lucidity)の最高業務責任者、ニカオ・ヤング氏は語る。
学習機会が少ないことでマーケターを非難できないが、こうした技術はマーケターの会社や役割に常に適用できるとは限らないのが、確かな理解が得られていない主な理由のひとつだ。「中小企業の場合、機械学習のようなものの利用対象について十分なデータや指針がない。リソースは、そうした技術の導入よりもブランドのプレゼンスの構築によく費やされる」と、前述の検索マーケターは語る。
精通してなくてもいい
ソフトウェアエンジニアから転身し、機械学習やAIに詳しいあるマーケターは、自身のチームがこうした技術に精通している必要はないと認めた。「同様に、ウェブやメールサーバーの管理の複雑な細部について学ぶことをマーケターには勧めない」。さらに、「概念としてのブロックチェーンは興味深い」が、マーケティングへの適用性が不足していると付け加えた。
こうした技術の理解が限られているマーケターは、期待をゆがめている可能性もある。機械学習プロセスについて企業に相談しているあるマーケターは、「期待を現実と一致させるのは、とても骨が折れる場合がある」と認めた。たいてい、物事が「AIに動かされる」と主張するマーケターは、「システムの複雑さを誇張しているだけだ」と、そのマーケターは語った。
Mark Weiss(原文 / 訳:ガリレオ)
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