「Digiday+ Talk」は、業界のリーダーとディスカッション繰り広げるオンラインイベント。2020年12月3日に開催された第5弾には、I-neの取締役/ブランディング本部長/クリエイティブディレクターの今井新氏が登場。当日の動画(DIGIDAY+ プレミアム会員限定)と、簡単なレポートをお送りする。
ハードコア、ストリートミュージックカルチャーは、日本有数のD2C企業に大きな影響を与えていたーー。
創業15年目を迎えるビューティテックカンパニーで、D2C企業としても知られるI-ne(アイエヌイー)。「Chain of Happiness」をミッションに、ボタニカルライフスタイルブランドのBOTANIST(ボタニスト)や、美容家電ブランドのSALONIA(サロニア)などを展開する同社は、創業時からチャレンジ精神や、DIY(Do it yourself)マインドのもとビジネスを推進し、東証マザーズへ上場するまでに成長。現在は、250名ほどのスタッフを有し、主力ブランドのグローバル展開やP2Cブランドの展開など、事業の拡大を進めている。
その躍進を支えている要素のひとつが、ストリートミュージックからの影響だ。代表取締役社長の大西洋平氏をはじめ、同社の経営陣の多くがストリートミュージックを好み、その精神から学びを得ているという。
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取締役/ブランディング本部長/クリエイティブディレクターの今井新氏もまた、ストリートミュージックに分類される、「ハードコアミュージック」に傾倒しており、実際にバンド活動も行っている。「ブランド哲学やコンテクストの重要性、クリエイティブ思考法など、I-neを支えるビジネスモデルやマインドセットはハードコア、ストリートミュージックカルチャーから影響を受けている」。
今井氏は、2020年12月3日に開催されたオンラインイベント、DIGIDAY+TALKSの日本版第5弾「ストリートミュージックカルチャーから学ぶ、D2C・OMOビジネス作法」に登壇。バックグラウンドとしてのハードコアカルチャー、そしてI-neのビジネス展開について語ってもらった。以下は、その様子を収めた動画と簡単なレポートだ。(動画はDIGIDAY+の「プレミアムプラン」ユーザー専用のコンテンツです)。
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01:我々が学んだこと
ハードコアカルチャーの精神
- I-neを支えるハードコア精神:今井氏によると、ハードコアカルチャーは、DIY精神、PMA(Positive Mental Attitude)、社会思想、ヴィーガニズムなど、チャレンジ精神やクリエイティビティな要素を包摂しているという。たとえば多くのハードコアバンドは、作詞作曲はもちろん、ライブイベントの開催、グッズやポスター制作も、デザインからすべて自分たちで手がけ、コミュニティを大事にする。「自分たちの作ったものを、自らの手で発信して、その世界観をダイレクトに熱量をもった状態でお客さんに伝える、その上で共感をしてもらい、コミュニティ化する。これはD2Cビジネスモデルに繋がる部分でもある」と今井氏は話す。I-neが、クリエイティブ面、プロモーション面もインハウス化していることなどは、こうしたDIY精神から影響を受けている部分も大きいという。
- また、原宿にある実店舗、BOTANIST Tokyo(ボタニスト・トウキョウ)の2階にある、BOTASNITカフェでは、ハードコアバンド、Stand Unitedの山口博久氏が開発に協力したという、ヴィーガンメニューが振る舞われている。今井氏によると、近年よく聞かれるようになったヴィーガンという言葉は、80年代のハードコアカルチャーにおいて、すでに関りが深かった。ここでも、I-neを支えるハードコアカルチャーの影響がうかがえる。
- 強固なアイデンティティ:今井氏は「ブランドのアイデンティティがいかに強固であるかは、非常に重要だ」と強調する。その上で、プロダクトやサービス、コンテンツを表現していく必要があるという。これもまた、ハードコアの精神と通ずる部分だ。同氏がこうしたスタンスを強調するのは、近年の消費者は、ブランドの発信者やスタンス、ライフスタイルを購買理由にする傾向が見られるからだという。
I-neのこれから
- 海外展開とチャネル拡大:I-neでは、NICOLESS(ニコレス)、CAROME.(カロミー)、DROAS(ドロアス)、CHILL OUT(チルアウト)といった、新ブランドの積極展開とチャネル拡大を行っている。BOTANISTとSALONIAは、グローバル展開も進められており、特に中国での反響が強い。また、早くからインスタグラムの活用をスタートするなど、SNSへの感度が高いI-neだが、YouTubeやTikTokをはじめ、ポッドキャストなど音声コンテンツも視野に入れ、コミュニケーションチャネルを拡大していく。
- 幸せの連鎖を:I-neは「Chain of Happiness」というミッションを掲げ、イノベーティブな”アイディアとマーケティング”で幸せな体験を届けることを目指している。この「幸せの連鎖(Chain of Happiness)」には、「お客様とその家族、取引先や地域社会、そして地球環境まで含まれる」と今井氏。今後も、ブランドを通じた社会課題の解決にも注力していくという。
02:イベント動画
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Written by 小玉明依、村上莞
Photo by I-ne