厳しい小売環境のなか、アスレチック用品の小売業者のディックススポーティンググッズ(Dick’s Sporting Goods)は人々を店舗に誘致するために、コンセプトストアを重視しつつある。
同社は、第2四半期に7つの新しい店舗「ディックス・ハウス・オブ・スポーツ(Dick’s House of Sport)」をオープンし、8月初めにはさらに2つの店舗を開設した。これらの店舗は、ほぼ同規模のコンボストア店舗と比較して、7月に「力強い」2ケタ成長を記録した。同社は現在ハウス・オブ・スポーツ12店舗を構えるが、2024年のあいだにさらに10店舗を新規オープンする予定だ。
ハウス・オブ・スポーツは、ディックススポーティンググッズの一般的な店舗とは外見が大きく異なる。商品は普通の一般的なアスレチックストアと同じ品揃えかもしれないが、ハウス・オブ・スポーツの店舗には、バッティングセンター、ゴルフシミュレーター、クライミングウォールのような体験型要素がある。これらの店舗は、消費者支出の鈍化が続くアパレル小売企業にとって、今後数カ月のあいだに重要な役割を果たす可能性がある。
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
厳しい小売環境のなか、アスレチック用品の小売業者のディックススポーティンググッズ(Dick’s Sporting Goods)は人々を店舗に誘致するために、コンセプトストアを重視しつつある。
同社は、第2四半期に7つの新しい店舗「ディックス・ハウス・オブ・スポーツ(Dick’s House of Sport)」をオープンし、8月初めにはさらに2つの店舗を開設した。これらの店舗は、ほぼ同規模のコンボストア店舗と比較して、7月に「力強い」2ケタ成長を記録した。同社は現在、ハウス・オブ・スポーツ12店舗を構えるが、2024年のあいだにさらに10店舗を新規オープンする予定だ。
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ハウス・オブ・スポーツは、ディックススポーティンググッズの一般的な店舗とは外見が大きく異なる。商品は普通の一般的なアスレチックストアと同じ品揃えかもしれないが、ハウス・オブ・スポーツの店舗には、バッティングセンター、ゴルフシミュレーター、クライミングウォールのような体験型要素がある。これらの店舗は、消費者支出の鈍化が続くアパレル小売企業にとって、今後数カ月のあいだに重要な役割を果たす可能性がある。
盗難増加が予想外の影響
「第2四半期のなかで、7月はかなりの回復が見られたが、それは新学期商戦が好調にスタートしたためだ。しかし、当社がオープンした7つのハウス・オブ・スポーツの業績が非常に良好だったことも重要な理由だ。現在、ハウス・オブ・スポーツは合計12店舗だが、これら店舗の業績は非常に良いと、自信を持って言える」とディックススポーティンググッズのCEOを務めるローレン・ホバート氏は語る。
ディックススポーティンググッズ全体で見ると、この四半期の売上はやや低いものだった。この四半期の純売上は3.5%増加し、既存店売上高は1.8%増加した。しかし、小売店における盗難が増加したことで、純利益はかなりの影響を受けた。今四半期の純利益は2億4400万ドル(約356億円)で、昨年の3億1850万ドル(約465億円)から減少した。
「第2四半期における予測外の影響でもっとも大きなものは、主にシュリンケージによるものだ。このことは十分に考慮していると思っていた。しかし、事件や組織的な小売での犯罪件数は、我々の予測をはるかに上回っていた」と、ディックススポーティンググッズのCFOを務めるナブディープ・グプタ氏は語る。
シュリンケージとは、組織的な小売での犯罪や盗難を指すため小売業者がよく使う用語で、同社の業績はこのシュリンケージによって大きく低下し続けると予測されている。この多さから、2023年度通期の収益は、以前の予測では株式ごとに12ドル90セント(約1880円)から13ドル80セント(約2010円)だったが、シュリンケージを考慮して11ドル33セント(約1650円)から12ドル13セント(約1770円)に修正された。別の大手卸売業者であるターゲット(Target)は、盗難による収益への影響は今年だけで5億ドル(約730億円)になると予測している。
2つの次世代型店舗
また、インフレは収まりつつあるものの、一部の人々が再び裁量的な品目への支出に抵抗がなくなるまでには、もう少し時間を要する可能性がある。商務省(Commerce Department)によると、小売での売上高は7月に0.7%増加した。
プレイサーエーアイ(Placer.ai)で分析調査の責任者を務めているアール・ジェイ・ホットビー氏は、コンセプトストアに投資することで、これらの店舗はより多くの来店者を獲得し、独自のな構成要素により、人々はより多くの時間をこれらの店舗で費やすようになると語った。
「当社のデータでは、これらの店舗が1つの場所につき15〜30%訪問者数が多いことが示唆されている。スポーツ用品は、購入の前に商品を試せることが重要なカテゴリーだ」と、同氏は述べている。
ディックススポーティンググッズは、2027年までに全国で75〜100店舗のハウス・オブ・スポーツを開設することを計画している。また、ハウス・オブ・スポーツの形式にヒントを得て、同じような高度な品揃えと体験を提供する、5万平方フィート(約4650平方メートル)の次世代型ディックスストアを立ち上げることも計画している。同社は最近、2つの新しい次世代型店舗を開設し、今年末までにさらに8店舗をオープンする計画だ。
「最新の6つのコンセプトは非常に優れた成果を収め、当社の今後にとって重要な部分となる。この数カ月のあいだに、これらの店舗を数多く訪問したが、そのたびに、我々のチームに感銘し、彼らが提供するアスリート体験に触発された」とホバート氏は述べている。
[原文:Dick’s Sporting Goods is investing more in its House of Sport concept store to drive growth]
Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Dick’s Sporting Goods