Yahoo! JAPAN 、「広告品質のダイヤモンド」を宣言:世界基準の取り組みとは

デジタル広告の価値毀損に関する問題は、日本の広告主にとって「対岸の火事」ではない。

従来、欧米のアドテクノロジーのトレンドやその課題などは、数年遅れて日本に浸透するケースがほとんどだった。たとえば、RTBの普及にも時間を要したし、DMPや3PAS(第三者配信)、PMP(プライベートマーケットプレイス)なども同様だった。しかし、広告価値毀損については例外的に、ほぼリアルタイムに日本にも大きな影響を及ぼしつつあるのだ。

これは、情報化社会による均質化が要因というよりも、問題の深刻さゆえと捉える方が妥当だろう。わかりやすい例でいうと、YouTubeにおけるヘイトスピーチ動画への広告掲載は、日本を含め世界的な問題となった。国内だけの事柄に限っても、2018年の「漫画村」のような不当サイトへの広告掲載や不正サイトにおける不正広告(アドフラウド)は、業界だけでなく社会全体を巻き込んで、大きな話題となった。

「インターネット広告を取り巻く環境が複雑化しており、どこでどのようなフォーマットで掲載されているか、広告主が把握しづらいケースもある」と、ヤフー株式会社(以下、Yahoo! JAPAN)でメディアカンパニー マーケティングソリューションズ統括本部 事業推進本部 ポリシー室の室長を務める中村茜氏は、事態の深刻さについて説明する。中村氏が牽引するポリシー室は、広告に関わる各ガイドラインの制定と啓発を行っている部署だ。「当然ながら、広告主は安心して広告が掲載できる環境での出稿を望んでいる」。

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Yahoo! JAPANの中村茜氏

Yahoo! JAPANといえば、もはや説明の必要もないが、月間ログインユーザー数が4800万を超える、日本最大級のウェブサービス運営企業だ。1年間の広告関連の売り上げだけでも、3200億円を超える※1。そんな同社がデジタル広告の品質向上について、これまでの取り組みをより強化しはじめた。

2018年に実施した広告配信の健全化対策

Yahoo! JAPANは2018年9月、不正に広告費をだまし取ろうとする手法「アドフラウド」の対策を強化するために、次の対策を実施した。Yahoo! JAPANとYahoo!ニュースなどですでに直接契約があり、安全性が確認できているサイトを除いた、広告配信面の一部である、約6800件(ドメイン数。同じサイトでもパソコンとスマートフォンに配信していた場合、2件とカウント)を停止したのだ。

「その後、10月にガイドラインの改定・再審査を経て、新ガイドラインを満たした約900件の広告配信を再開した」と、中村氏は語る。「広告主の皆様へはご心配をおかけした。その後の対策についてご理解をいただき、おおむね信頼を回復できたと思う。いまは、ガイドラインを満たした信頼のあるメディアへのみ配信を再開している」。

Yahoo! JAPANが取り組んでいる、広告品質向上の取り組みは、これだけではない。ストレスのない広告体験を提供するための広告フォーマットおよび不正なトラフィックを排除するためのガイドラインや、ユーザーデータの利用が活発化してきたことにあわせて広告データの利用基準を制定している。中村氏は次のように続けた。

「発生する不正や不適切な事象の排除は、企業の責務であるとともに、業界全体の動きと連携することが重要と考えており、以前より取り組みを続けている。この数年、ブランドセーフティやアドフラウド、データ利用などは、インターネット広告業界で特に注目されてきた。そこで、あらためてYahoo! JAPANの姿勢を皆様に知ってもらうため、体系化して発信することにした」。

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中村氏とプロジェクトメンバー

世界に向けられた目線

Yahoo! JAPANの目線は、国内だけではなく、世界にも向けられている。その好例が、米国IAB(インタラクティブ・アドバタイジング・ビューロー)からスピンオフする形で、2014年に設立されたIAB Technology Laboratory(以下、IAB Tech Lab)だ。同団体は、グローバルなデジタル広告業界標準の確立および各社への導入支援を目的とした、独立系研究開発コンソーシアムである。その創設企業として、AppNexus(アップネクサス)、Google、Hearst Magazines Digital Media(ハースト・マガジン・デジタル・メディア)などとともに、Yahoo! JAPANが名を連ねているのだ。

インターネット広告業界において、IAB Tech Labが世界的に及ぼす影響は計り知れない。その取り組みには、RTBのプロトコルである「Open RTB」、アドフラウド防止のための「ads.txt(アズテキスト)」、ビューアビリティとアドベリフィケーションを目的としたオープンソースの開発キット「Open Measurement SDK」などの公開がある。ちなみに、動画の仕様である「VAST」の策定、クッキーシンクによるドロップ率を劇的に改善するなどのユニバーサルIDサービスである「DigiTrust」なども、IAB Tech Labによるものだ。

「IAB Tech LabのボードメンバーであるYahoo! JAPANは、共通の課題をグローバル企業と闊達に議論・検討し、得られた知見を自社のみならず、国内の業界に共有することで、日本のデジタルマーケティング市場の健全な発展に貢献できると考えている」と、中村氏は語る。「特に広告品質領域においては、IAB Tech Labに加えて、英国、ドイツ、フランス、イタリアのIAB加盟国がどのようにサプライチェーン健全化の取り組みを実現しているかなども参考にしている」。

欧米のデジタル広告事情

実際、米国のデジタル広告では、ブランドセーフティ、アドフラウド、透明性、ビューアビリティ、クリエイティブの質が引き続き重要な課題だ。フェイクニュースやヘイトスピーチなどの問題以降、どこに自分の広告が掲載されているのか、望まない掲載面に広告が掲出しないかを、広告主たちは強く意識するようになっている。

IABテックラボのデニス・バッカイム氏

IABテックラボのデニス・バッカイム氏

「その結果、広告主や代理店は、ベリフィケーションベンダーと連携して、ブラックリストや厳格なホワイトリストを作成し、それをもとにコントロールしている」と、IAB Tech Labのゼネラルマネージャー、デニス・バッカイム氏は語る。「そして不正な掲載面に広告が流れないよう、なりすましを防止するads.txtを導入しているパブリッシャーを指定し、広告を購入、配信する動きも出てきた」。

これにより、なりすましを劇的に減らすことができ、結果、広告主のブランドを守り、悪意のある人たちにお金が流れない動きに繋がってゆく。一方で、ユーザーによりよい広告体験を提供することもとても重要で、The Coalition for Better Ads (以下、CBA※2)やIAB Tech LabのNew Ad Portfolioで定義されている、ユーザーが好まない広告フォーマットを避ける動きも進んでいると、バッカイム氏は言う。

アドテク企業ピクサレート(Pixalate)が2018年に実施した調査では、米国とヨーロッパを比較すると、米国の方が若干アドフラウドが多いとバッカイム氏は説明する。また、ヨーロッパ諸国におけるプログラマティック広告のフラウド含有率は、日本より35〜65%ほど高いという結果になっているのだ。同地域の国々は、フラウド排除のためにより積極的な活動を行っている。アドフラウド撲滅にとどまらず、ブランドセーフティに向けた支援、よりよい広告体験づくりを促進するために、サプライチェーン健全化のための認証制度をそれぞれの国で立ち上げているのだ。

たとえば、IAB UKはゴールドスタンダード、ドイツのBVDW(IAB ドイツ)はデジタルトラストイニシアチブという認証制度を構築し、IAB Tech Lab、CBA、The Joint Industry Committee for Web Standards (JICWEBS)※3などが策定している既存のスタンダードをうまく認証制度のなかに取り込む工夫がなされており、素晴らしい取り組みになっていると、バッカイム氏は説明する。「例としては、パブリッシャーがIAB UKのゴールドスタンダードを取得する条件には、判定項目として、IAB Tech Labが策定したads.txtの導入などがある」。

「IAB Tech Labは、そうした動きを支援するためにアドフラウド撲滅のためのads.txtや、サプライチェーンに透明性をもたらす新たな規格であるsellers.json、広告とコンテンツをマッチさせ、制御するためのContent Taxonomyや、まもなくリリース予定のAd Product Taxonomyのような技術標準のポートフォリオを開発し続ける」と、バッカイム氏。「すべては、世界におけるフラウドの撲滅、ブランドセーフティのサポート、そして透明性の促進のためだ」。

広告品質のダイヤモンド

先述したようにYahoo! JAPANは、日本のインターネット広告業界が抱える課題に対して、真摯に向き合っている。そのうえで、IAB Tech Labでの活動を通して、広告品質に関するグローバルスタンダードを参考に、独自の「広告品質における3つの価値と6つの対策項目」(下図)を定義した。

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広告品質における3つの価値と6つの対策項目

「これを『広告品質のダイヤモンド』と称することにした」と、中村氏は語る。「それらに対して掲げているポリシーとその実行性、また各プロダクトの実装およびその運用状況について、これまで以上に透明性を確保し、可能な限り情報提供を行っていく」。

ダイヤモンドという名称には、広告の品質を担保するために必要な3つの価値を包括的に捉え、6つの課題(事象)への対策を磨き上げるという想いが込められており、総合的な評価度の高さをダイヤモンドの形で表現している、と中村氏は語る。「磨くほど輝くダイヤモンドの性質のように、インターネット広告の品質も磨き続けて輝かせたい」。

「Yahoo! JAPANは、広告主の皆様が、より安心してご利用いただけるよう、JIAA(日本インタラクティブ広告協会)や、IAB Tech Labなどの外部団体と引き続き連携を強め、業界課題を先行して取り上げ、対策を講じる」と、中村氏は締めくくる。「日本に即した独自の広告品質スタンダードを構築し、業界の健全化をリードしていくことを、Yahoo! JAPANは宣言する」。

「広告品質のダイヤモンド」の詳細については、こちらでご確認ください。

※1 ヤフー株式会社 2018年度通期決算発表より
※2 デジタル広告におけるユーザー体験をより良いものにすることを目的とした業界団体
※3 イギリスおよびアイルランドにおけるデジタル広告の透明性と信頼を保つために、取引の基準を定める団体。イギリス広告主協会、広告業協会、オンラインパブリッシャー協会、IAB UKの4団体により設立。

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Written by 広告制作チーム
Photo by Shutterstock