マッシュルームレザーへの関心はまだ消えてはいない。キノコ由来の代替レザー素材を開発する材料科学企業、マイコワークス(MycoWorks)は、8月8日、世界初の商業規模の製造施設を開業すると発表した。そこでは、同社の代替レザー素材のレイシ(Reishi)に含まれる独自の主成分、ファインマイセリウム(Fine Mycelium)に特に注力するという。
新規施設でレイシ生産をスケーリング
13万6000平方フィート(約1.3万平方メートル、約3エーカー)のこの新規施設は、9月、サウスカロライナ州にオープンする。350人の従業員が、菌糸体を育て、糸を加工して、レイシにする作業すべてを1カ所で担当するという。レイシはこれまではカリフォルニアで少量生産されてきた。
元エルメス(Hermès)のCEOで、現在マイコワークスの取締役を務めるパトリック・トーマス氏は、キノコ由来レザーという発想は何年も前からあったと述べている。だが、この施設の開業により、これまでは不可能だった素材のスケーリングが可能になるという。
「これはラグジュアリー業界が待ち望んでいた瞬間だ。紛れもない美しさとパフォーマンスを大規模に提供でき、プラスチックを使わないレザーの代替品だ」とトーマス氏はEメールで述べた。「供給の課題が解決されたので、ブランドはレイシを使ったアイテムの商品化に向けて迅速に動くだろう」。
マッシュルームレザーへの関心はまだ消えてはいない。キノコ由来の代替レザー素材を開発する材料科学企業、マイコワークス(MycoWorks)は、8月8日、世界初の商業規模の製造施設を開業すると発表した。そこでは、同社の代替レザー素材のレイシ(Reishi)に含まれる独自の主成分、ファインマイセリウム(Fine Mycelium)に特に注力するという。
新規施設でレイシ生産をスケーリング
13万6000平方フィート(約1.3万平方メートル、約3エーカー)のこの新規施設は、9月、サウスカロライナ州にオープンする。350人の従業員が、菌糸体を育て、糸を加工して、レイシにする作業すべてを1カ所で担当するという。レイシはこれまではカリフォルニアで少量生産されてきた。
元エルメス(Hermès)のCEOで、現在マイコワークスの取締役を務めるパトリック・トーマス氏は、キノコ由来レザーという発想は何年も前からあったと述べている。だが、この施設の開業により、これまでは不可能だった素材のスケーリングが可能になるという。
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「これはラグジュアリー業界が待ち望んでいた瞬間だ。紛れもない美しさとパフォーマンスを大規模に提供でき、プラスチックを使わないレザーの代替品だ」とトーマス氏はEメールで述べた。「供給の課題が解決されたので、ブランドはレイシを使ったアイテムの商品化に向けて迅速に動くだろう」。
マイコワークスはエルメスにマッシュルームレザーを供給しており、昨年にはヘロン・プレストン(Heron Preston)やニック・フーケ(Nick Fouqet)などのファッションブランドをクライアントとして獲得している。
マッシュルームレザーに関する最近の動向
マッシュルームレザーに対する熱が冷めつつあるかと思われた直後にこの発表が行われた。マッシュルームレザーの価格は1平方フィート(約0.9平方メートル)あたり約25ドル(約3600円)で、動物由来レザーとあまり変わらないにもかかわらず、動物由来レザーとそのサプライヤーが多く存在するために、採用は遅れている。7月には、材料科学会社のボルトスレッズ(Bolt Threads)が開発資金を調達できないという理由から、同社のキノコ由来素材、マイロ(Mylo)の生産を停止した。ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)のような大手ラグジュアリーブランドがマイロに投資したにもかかわらずの結果だった。
一方、マイコワークスは資金の確保に成功している。同社は、昨年、シリーズCラウンドでプライムモーバーズラボ(Prime Movers Lab)などの投資家から1億2500万ドル(約181億円)を調達し、調達総額は最大1億8700万ドル(約271億円)となった。また、マッシュルームレザーの競合他社、エコヴァティブ(Ecovative)は6月に投資家から3000万ドル(約43億円)を調達した。
新素材をサプライチェーンに組み込む際の課題
木材をはじめ天然素材をベースにした代替繊維を生産しているレンチング・グループ(Lenzing Group)のシニアビジネス開発マネージャー、シャロン・ペレス・アレバロ氏は、ファッション業界によるより持続可能な素材の導入が遅れていることについて、次のように説明している。動物由来レザーなどの既存素材やポリエステルのような合成繊維はグローバルサプライチェーンに深く定着している。ブランドの予算が厳しいなか、新素材を既存のサプライチェーンに組み込むことは追加コストとなり、多くのブランドは負担したいとは思っていない。
アレバロ氏は「現在は、より持続可能な素材に対する需要が高まっている。だが、課題にはファッション業界の製造プロセスが非常に時代遅れで非効率かもしれない点がある。ある場所で繊維が作られ、それが別の場所で糸になり、その後で別の場所で織られて、別の場所で製造される。サプライチェーンが分散しているため、新素材を非効率なシステムに組み込むことが困難になっている」と述べている。
一方、マイコワークスCEO、マット・スカリン氏は次のように語っている。「高級レザー代替品の数十年にわたる探求には、製品の品質とスケーラブルな製造という2つの障壁があった。我々は、2016年にレイシを世界に披露して最初の障壁を取り除いた。そして、9月には当社の最先端の施設でスケーリングの課題に対応する」。
[原文:Despite slow adoption, mushroom leather isn’t dead yet]
DANNY PARISI(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)