プロポーズをするのが火事の現場であれ、夜景の綺麗な場所であれ、プロポーズしたことは認知される。だが、相手の好意度はどうだろうか。同様の問題は広告を掲載する「場」にも当てはまる。ブランドのストーリーテリングが成功するブランドセーフティな場の提供を目指す、CCIとCHEQのソリューションを紹介する。
ストーリーテリングを行うには、適切な「場」についても考える必要がある。
DIGIDAY[日本版]主催のクローズドイベント「DIGIDAY BRAND LEADERS(DBL)」が、2018年9月11・12日にウエスティン都ホテル京都で開催された。2回目となる今回のテーマは「ストーリテリング」。ブランド、パブリッシャー、テクノロジーパートナーによる多数のセッションが実施され、数々の興味深い知見が紹介された。
そのなかで、昨今注目が集まるブランドセーフティの観点から、ストーリーテリングの「場」にフォーカスしたセッションを行ったのが、サイバー・コミュニケーションズ(CCI)のセールス・ディビジョンチームマネージャーを務める吉田大樹氏と、CHEQ(チェック)における日本のカントリーマネージャーである犬塚洋二氏のふたりだ。
ブランドセーフティの問題は、いまやブランドにとって大きなリスクとなっている。吉田氏は「リスク割合の国内平均は多少の変動があるものの、2017年時点で10%前後」と話した。「『何もしない』という選択はありえないとして、この約10%をどのように防止するのか、その手段はブランドにとって重要になる」。一見すると、ブランドの価値を毀損させないための消極的な取り組みにも思えるが、広告効果やそこに紐づくストーリーテリングにも影響すると吉田氏は指摘する。

「ブランドセーフティの手段は重要」と、CCIの吉田氏
「場」の重要性
さらに吉田氏は、CCIが調査した、ある外資系自動車メーカーの事例を示す。メーカーが実施したキャンペーンにおいて、ブランドセーフティなWebサイトとアンブランドセーフティなWebサイト、それぞれでユーザーが接触した際の広告効果を計測したのだ。その結果、ブランドや商材の認知は、どちらのWebサイトでもフリークエンシーを重ねるほど認知も高まっていたという。その反面、認知以降のフェーズではブランドセーフティであるほど効果が高く、アンブランドセーフティであるほど低くなっていることも確認された。
「プロポーズのシチュエーションを例に取ると、プロポーズをするのが火事の現場であれ、綺麗な夜景が見える場所であれ、『プロポーズした』ことは認知される」と、吉田氏は続ける。「問題は、いずれの『場』がプロポーズにふさわしいのか。プロポーズのメッセージをクリエイティブに、プロポーズする相手をターゲットに置き換えると、ストーリーテリングにおいて重要なブランドへの好意度が高まるのかという点だ。同じストーリーでも、場の違いが異なる結果をもたらすことになる」。
つまり、ブランドセーフティなWebサイトではフリークエンシーに比例してブランドへの好意度が高まるが、アンブランドセーフティなWebサイトではフリークエンシーを重ねるほど低下していくという結果になったのだ。さらに、商品への興味・関心もブランドセーフティであるほど高まり、広告認知後の態度変容も起きていることがわかったという。
PMPという解決策
「ブランドはカスタマージャーニーやパーチェスファネルを設定し、さまざまな取り組みを実施していると思われるが、ユーザーはブランドセーフティか否かに関係なく認知まで進む」と、吉田氏。しかし、認知からさらに先へと進み広告効果を高めるためには、ブランドセーフティであることが重要になる。「当然、アンブランドセーフティな状態では逆効果。ブランドセーフティとは、ネガティブな面に出さない以上の意味を持つ」。
では、ブランドセーフティを実現する具体的な手法はどのようなものがあるか。代表的な例ではオープンオークション、いわゆる従来型のRTBによるブラックリスト・ホワイトリスト型の対応方法がある。広告単価やリーチ数の点でメリットもあるが、吉田氏は「技術的な部分でブランドセーフティというには不十分な点もある」と話す。
「やはり、プラットフォームのインベントリ(在庫)やフォーマットを指定して配信できるプライベートマーケットプレイス(PMP)が、非常にブランドセーフティな取り組みと言えるだろう」。
CCIは、IAB(インタラクティブ広告協議会)が定めたデジタル広告測定基準の認定を世界ではじめて取得したPMP、「BEYOND X PMP」を展開しており、買い付け手段の立場から「場」を提供している。
「何か」が起きる前に
しかし、どれほどコンテンツのクオリティが保証されたプレミアムな媒体であっても、報道機関として多種多様なニュースを扱うなかで、特定のニュースコンテンツがあるブランドにとってはあまり好ましくない、といった状況も起こり得る。そこで、テクノロジーなどを駆使しコンテンツレベルでより強固にブロックするサービスが、CCIとパートナーシップを結んでいるCHEQの展開する、「リアルタイムアドセーフティ」だ。
「リアルタイムアドセーフティは、従来のアドベリフィケーションのようなネガティブな事象が起きた場合に検知(ベリフィケーション)するサービスをさらに一歩進めたもの」だと、犬塚氏は続ける。「ブランドセーフティ、アドフラウド回避、ビューアビリティコントロールの視点から、検知したあとに、そもそもブランドの広告掲載にふさわしくないインプレッションへの配信を未然に防止する」。
つまり、「何かが起きた後に知る」だけに留まらず、その「何か」が起こらないようにスピーディに処理することを実現する、リアルタイムのブランドセーフティーサービスになる。

「リアルタイムアドセーフティは問題を未然に防ぐ」と、CHEQの犬塚氏
妥当なコンテンツか?
CHEQは現在gooニュースやWoman.exciteの協力のもと、どのようなコンテンツをブロックするのか、テストを行っている。セッションでも、実際にブロックされているインプレッションの事例がデモで紹介された。
まず取り上げられたのが、昨今話題となっていた女子体操競技選手に関するニュース記事。ある新聞社の報道で、内容に問題があるわけではなく、一般的な報道の範疇に含まれるコンテンツだ。犬塚氏も「ニュースは当然必要なコンテンツで、存在すべきもの」と語る。ただ、CHEQのサービスは、コンテンツの善し悪しを検閲しているわけではない。「このコンテンツにブランドの広告を配信する意味があるのか、その環境下で適切にストーリーテリングを実現できるのか、という点を主軸に分析しブロックしている」。このため、死亡事故の記事などもブロックしたコンテンツに含まれている。
さらに、従来のアドセーフティサービスが文字のみを分析しているのに対し、CHEQでは画像の解析も行っているという。つまり、文字情報としての記事内容には問題がないが、アダルトなエッセンスがある画像が記事中に存在するため、総合的に好ましくないといった場合でもブロックすることができる。「ブランドが本来配信すべきコンテクストのなかに、アドフラウドを完全に排除した形で広告を出すことが可能」になるのだ。
真にセーフティな状態
ブランドにとっては限られた予算で投下される広告が、実はロボットに見られているだけという状況に陥っていれば、貴重なコストを無駄に消費したことになる。さらにブランドとユーザーのストーリーを語るべき広告が、その広告にはそぐわない面、ネガティブな感情を持たれやすいコンテンツのなかに出てきてしまう問題も、いま現在は制御できていない。
そうしたなか、CCIとCHEQが「BEYOND X PMP」とリアルタイムアドセーフティで目指すのは、デジタル広告がブランドにとって真にセーフティな状態になることだ。吉田氏はそのビジョンをこう語る。「PMP+αによって、ブランドのストーリーテリングが成功する『場』を、広告展開においてターゲットが好意を持つ適切な『場』を提供するソリューションを作り上げたい」。
Sponsored by サイバー・コミュニケーションズ
Written by 広告制作チーム